11月30日(月)、東京・有楽町の街の新しいテーマソングを公募する企画「有楽町うたつくり計画」の結果発表及び授賞式が、ニッポン放送イマジンスタジオにて開催。受賞アーティストのゴリラ祭ーズ(ごりらまつりーず)、cozycozy(コジコジ)、nɔːmen(ノーメン)、クジラ夜の街、手塚しんや&すがのゆき、の5組が参加し、最優秀賞はゴリラ祭ーズが手掛けた楽曲『有楽町のうた』に決定した。
これからの有楽町を表現し、街を行き交う人々に愛される新しい街のテーマソング“まちうた”を創る企画「有楽町うたつくり計画」。262曲の応募があり、音楽プロデューサー・本間昭光氏を中心とした有楽町うたつくり計画事務局による選考の結果、最終候補5作品を選定していた。5作を手掛けたアーティストは、本間氏とのワークショップに参加し、アドバイスを受けつつ楽曲のブラッシュアップを行われ、これを対象に最終審査が行われた。
本間氏は、5組とのワークショップを振り返り「みなさんに感じ取ってもらいたかったのは、厳しく『こうやれ!』『ああやれ!』というよりも、『楽しみながら音楽を作っていく』
という基本に立ち返ってもらいたいということです」と、音楽の楽しさを改めて感じてもらいたかったと挨拶。
「有楽町うたつくり計画」では当初、「最優秀賞」と、ニッポン放送リスナーの投票数で選ばれる「オールナイトニッポンリスナー賞」の2つの賞が用意されていたが、惜しくも最優秀とはならなかった4作品それぞれに「優秀賞」が授与されると、サプライズで発表。これについて司会の上柳昌彦アナウンサーは、「本当に個性的な、そして有楽町のことを一生懸命考えてくださっているというのが、本当に伝わる楽曲でした」と、5つの楽曲に優劣をつけるのが難しく、新たな賞が設けられたことを説明。
「オールナイトニッポンリスナー賞」には、メンバーそれぞれが、作曲家やアレンジャー、シンガーソングライター、スタジオミュージシャンとして活動する5人組バンド、cozycozyの『有楽町ナイトアウト』が受賞。同賞は深夜ラジオ番組「オールナイトニッポン0(ZERO)の中で1か月間、毎日オンエアし、リスナーからの人気投票で決定した。プレゼンターのニッポン放送・檜原麻希 代表取締役社長は「『オールナイトニッポン』のリスナーはラジオ界の中で最も厳しいリスナーで、そのリスナーのみなさんに投票されて選出されたのは、本当に素晴らしいことだと思います」とコメント。
cozycozyに賞金20万円と、記念トロフィーが贈呈されると、クリスタルでできたトロフィーをまじまじと眺めて「すごい、これ、クリスタルに名前が(バンド名が)書いてあるんですね……」と、にんまり。「家の一番目立つところに飾ろうと思います!」と喜んだ。9月から行われた本間氏とのワークショップについては、「ずっと勉強だなとは思っていましたけど、改めて曲作りは一生勉強だなと再確認できました。本当にありがとうございました」と、しみじみと振り返った。
「最優秀賞」は、滋賀県発の3人組バンド、ゴリラ祭ーズの『有楽町のうた』が受賞。「ゆ~らゆらゆら有楽町~」という口ずさみたくなる歌詞や、リコーダーやピアニカを使用し、子どもたちの歌声も入った、ポップで温かみのある楽曲に仕上がっている。プレゼンターの本間氏は「これがいい形で、1つのまた新しい有楽町のテーマソングになればいいなと思って選ばせていただきました」と評価し、まだ大学生である3人を労い「学業もあると思いますが、どうかこれからも歌い続けていってほしいと思います」とエールを送った。
トロフィーと賞金100万円が贈られると、メンバーの古賀さんは驚きで言葉を詰まらせながら、「今こういう状況になってしまって、いろいろ思うようにいかないなと思っていた」と語り、本格的に活動しようとしていた矢先に新型コロナウイルスの感染拡大があったこと、メンバーの1人が鳥取の大学へ行ってしまったことなど、悩ましい1年であったと回想。これまで様々なコンテストに応募しても結果が伴わなかったことも明かし、「こういうライブではなく、楽曲主体のコンテストがなかなかなくて、こういう機会をいただけたのが本当にうれしくて、有難いです」と感謝を述べた。
同じくメンバーの平野さんは楽曲作りで難航した時、メンバーとZoomで真夜中まで会議をした思い出を回顧。
さらに、今回はリモートでの参加となったメンバーの船越さんは、目を潤ませながら「こうやって賞をいただけて、頑張ってきて良かったなと思います。他のバンドの曲も聞いていたんですが、どれもいいなと思って。だから、ほんまにこんな賞を取れると思っていなくて……」と感極まった様子で語った。
「優秀賞(三菱地所MicroSTARsDev.賞)」は、年齢不詳、経歴詐称、性別不明という不思議なプロフィールを持つアーティスト、nɔːmenの『有楽町』が受賞。プレゼンターの三菱地所株式会社 プロジェクト開発部部長・有楽町街づくり推進室長の吉村友宏氏は、選出理由を語るにあたり、三菱地所が進める有楽町エリア再構築に向けた先導プロジェクト「MicroSTARsDev.(マイクロ スターズ ディベロップメント)」について、「“マイクロ”というところに思いがあり、マイクロはまだ世の中で評価されていないような、メジャーになっていないような原石みたいなものです。マイクロの物がこの街でいろんな方と出会って磨かれ、そしてこの街から発信してスターになっていく。そういうものをたくさん作っていこう、そういった街づくりをしていこうというもの」と説明。その上で、nɔːmenの『有楽町』について「1番“マイクロ”な感じがした」と語り、「ぜひスターになっていただきたいという思いを込めて」と未知の力を秘めた覆面アーティストにエールをおくった。
賞金10万円とトロフィー、三菱地所ギフトカード5万円分が贈られると、nɔːmenは「ちょっと最初にどうしても言いたいことがあって……」と言いながら、マジックで“有難う有楽町”と手書きした紙を披露。「有難うの“有”という漢字と、有楽町の“有”の漢字が同じなんですよね。有難う有楽町というのは、キラーフレーズだなということで。絶対に1番最初に言おうと思って」と説明し、「本当に、有楽町がなければ今僕はここにいないんです」としみじみ。また、選考した三菱地所・吉村氏に「こんな怪しい者を本当によく選んでくださって、本当にすみません、ありがとうございます」と恐縮しつつ、感謝を述べた。
「優秀賞(bluesofa賞)」は、結成3年目で、オーディションを経て大型ロックフェスへも複数出演するギターロックバンド、クジラ夜の街『有楽町の神様』が受賞。プレゼンターの音楽プロダクション・bluesofaの畠山拓也氏は、彼らとのワークショップを振り返り「一見無茶ぶりと思えるようなアドバイスもあった中、(クジラ夜の街には)すごいアイデアがあって、曲がどんどん変わっていき、聞いていても、一緒にやっていても楽しかったです。新しい才能に会えて非常に嬉しいなと思っていました」と高く評価した。
賞金10万円とトロフィーが贈られると、「自分たちの曲をブラッシュアップするのはもちろんのこと、バンドの技術も凄くスキルアップできたと思っています」と同企画について感想を述べた。また、プロジェクトを進める中で、当初メンバーだった4人に新たなメンバーを加え、5人での活動になったとのことにも触れ、「5人でいつか天下を取りたい」と力強く語った。
「優秀賞(Eggs賞)」は、5人組バンドcozycozyが「オールナイトニッポンリスナー賞」とのW受賞となった。プレゼンターを務めた音楽プラットフォームEggsの曽我部淳也氏は「審査の時に初めて曲を聞かせていただき、その時にも完成されていて、いい曲だなぁと思っていましたが、本間さんとのワークショップを経て、さらにポップにキラキラした感じになり、凄くいい曲になっていました」とコメント。
賞金10万円と、トロフィーがおくられると、今回2つ目となるクリスタルをうれしそうに眺めて「本当は最優秀賞がもちろん欲しくて、悔しいなと思っているんですけれど……クリスタル、2個貰っちゃったので!(笑)」と会場の笑いを誘い、「励みにしてこれから頑張っていきます」と意気込んだ。
「優秀賞(ニッポン放送賞)」は、山梨県を中心に活動するユニット、手塚しんや&すがのゆきの『オレンジジュース』が受賞。プレゼンターのニッポン放送 牧田英之専務取締役は「ニッポン放送はこの地(有楽町)に会社を構えてから約60年、ここから番組をお届けしているんですが、私や司会の上柳さんはその2/3ぐらい会社におりまして、この街と共に歩んできました。振り返って、この街は何が魅力的か? と考えると、やはり大人が思い切り楽しめる街だと思っています。そんな世界観も素晴らしく歌にしてくれたのが『オレンジジュース』でした」と語った。
賞金10万円と、トロフィーがおくられると、手塚さんはチラりと上柳アナウンサーに視線を送り「この距離で上柳さんを見るだけでドキドキします……」と、ニッポン放送のリスナーであると報告。『オレンジジュース』という曲名は、初めて有楽町に訪れた時、喫茶店で頼んだオレンジジュースが700円以上でビックリしたことが由来と明かし、楽曲については「我々みたいな弾き語りタイプの歌は地味といいますか…。なので、逆に歌詞が浮き彫りになるという特色を活かそうと思い、歌っていても楽しい、歌いごたえがある曲、聞いていても覚えやすい、有楽町の懐かしさを織り交ぜた曲を書きました」と制作を振り返った。
授賞式の最後には「有楽町うたつくり計画」の総評として本間氏が「みなさん本当におめでとうございます!」と改めて祝福。ワークショップで各アーティストと、数か月にわたって濃い時間を過ごしたことを回顧し「ファミリー感のあるやり取りができたかなと思いますので、ここで線引きして終わりではなく、これからも何か迷うことがあったら何でも気兼ねなく聞いてほしい」と呼びかけた。さらに、6月から約半年かけて進行してきた同企画について、「時間をかけてブラッシュアップしていく、『これでいいのかな?』『本当に作品として世の中に出していいのかな?』と自分たちで問いかけたり、考えたり、悩んだりすることはとても良い機会だったのではないかなと思います」と語った。
同企画を長らく見守ってきた司会の上柳アナウンサーも、「やはり、ものづくりの過程は素晴らしいな、というのを見させていただきました。なんだかんだ言いながら、喧嘩したり意気投合したりしながらものを作っていくというのは、とても素晴らしいと改めて思いました」と、会場の5組を見つめてしみじみ語り、「僕たちのやっている毎日のラジオも、ものづくりなんですね。本当に効率の悪いことばっかりです。(朝4時から放送の「あさぼらけ」担当のため)2時半に会社に来ています。効率の悪いことなんですけど、それでも待ってくださっている人がいる、聞いてくださっている方がいる。音楽もまったく同じだなと思います」と、誰かと一から作り上げることの魅力を語り、式を締めくくった。
「有楽町うたつくり計画」で最優秀に輝いた、ゴリラ祭ーズ『有楽町のうた』は、今後、本間昭光氏プロデュースのもと、実際に楽曲のレコーディング、リリースを目指していく。
なお、「有楽町うたつくり計画」授賞式の模様は下記YouTube動画で視聴できる。
■有楽町うたつくり計画公式サイト
https://www.1242.com/project/yurakucho/
■有楽町うたつくり計画 最終候補5作品(YouTube)