市川紗椰 × 佐久間宣行 ポッドキャストの今と未来

By -  公開:  更新:

3月5日(金)、ニッポン放送が主催する、優良なPodcastコンテンツを発掘し応援する日本初の大規模アワード『JAPAN PODCAST AWARDS 2020 supported by FALCON』のオンライン授賞式が開催され、全6部門の受賞作品が発表されました。

Clubhouceの台頭により、音声コンテンツへの注目度が更に高まる中、昨年を超えるハイレベルな作品が勢揃いし、華やかに開催されたポッドキャストアワードを、最終選考委員を務めたモデル・市川紗椰とテレビ東京プロデューサー・佐久間宣行の2人が、高音質ワイヤレスイヤホン FALCON 2で試聴しながら振り返りました。

――今回の選考では、それぞれ20作品ほど聴いて頂いたのですが、まずはノミネート作品の全体的な印象からお聞かせいただけますか?

佐久間宣行:僕は去年も担当させて頂いたんですけど、こんなにレベルが高いものがあるんだと驚いて、アワードの後もいろいろなポッドキャストを聴き始めたんですよ。今回ノミネートされた作品には、僕が年間を通して聴いているものが多かったので、まずは選定が素晴らしいなと思いました。

市川紗椰:私は十年くらい前から英語のポッドキャストをほぼ毎日聴いているのですが、今回のノミネート作品に関しては、初めてのものが多かったのですけど、いろんなジャンルのものがあって幅広いなと思いました。距離が近いものと、なんだこれ?って惹きつけられるバランスがすごくいいなと思いました。

――幅広いジャンルでの選考作業は大変だったと思いますが、市川さんは大賞部門で『味な副音声~voice of food~』を1位に挙げられました。こちらの印象はいかがでしたか?

市川:はい。『味な副音声』が一番しっくりきました。平野さんの本は以前から好きだったんですけど、音声コンテンツだと彼女の言語的センスがストレートに刺さってくるので、すごくいいなと思いました。私も、ご飯をやたらと語るのが大好きなので、「わかるー!」 「この気持ちを言葉にしてくれてありがとう!」というものと、「何言ってるの!?」っていう、あるあると変態目線のバランスがたまらなく好きで、一気に全部聴いちゃいました。

佐久間:僕が好きな回は『ロイヤルホスト、プチフルコースの儀』なんですけど、二人の偏愛が、なんかね……友達にいたらめんどくさいけど、このくらいの距離で聴いてるとちょうどいいなって感じがいいんですよ(笑) しかも、ふんわりした雰囲気のわりに、味の描写が完璧なんですよね。楽しい雑談だけじゃなくて、食べたくなるシズル感がしっかりある描写をしてくれるんで、音声コンテンツにすごいあってるなと思いました。

市川:理論的すぎるのがちょっと気持ち悪くて、食べ物を愛しすぎて、食べ物じゃなくなってる感じがすごく面白いですよね(笑)

佐久間:因数分解しすぎて気持ち悪いんだよね(笑) うちの番組(テレビ東京)で『孤独のグルメ』があるじゃないですか。これまでも似たものってたくさんあったんだけど、やっぱり『孤独のグルメ』には敵わなかった。でも、平野さん目線の『食』の愛し方は、モノローグもひっくるめてドラマにしても面白そうだな。って感じがしましたね。

市川:分解しすぎて崩壊しながら……原始的な部分をあんなにずっと見せられると、徐々に恥ずかしくなってくるというか、エロさとは違うんですけど、そんな貪欲で煩悩だらけの感じが好きでした。

――この作品は、音声だけではなくオープニングのASMR表現も特徴的で、包丁の音や、グラスの中で回る氷の音などが微細に表現されているのですが、こういったオープニング表現についてはどう思いますか?

佐久間:はい。面白いと思います。僕もポッドキャストは移動中にイヤホンで聴くことが多いので、そうするとASMRの表現は掴まれると思いますね。

――ちなみにポッドキャストのオープニング表現に関しては意見が分かれていて、オープニングテーマからしっかり始めるか、いきなり会話から始めるか。など、いまだに最適解が固定されていないのですが、このくらいクオリティの高いオープニングが毎回入る仕様に関してはどう思いますか?

佐久間:ストリーミングは、放送と違って初めての人は頭から全部聴くだろうし、レギュラーの人は飛ばせば良いので、そういう点ではあった方がいいと思います。Youtubeも頭にオープニングつけるじゃないですか。

市川:私もあってほしいです。久々に聴くときってあるじゃないですか、しばらく離れてからもう一回聴くときに「あっ。これこれ!」ってなる感覚がたまらないので、付けない理由が思いつかないです(笑)

――接戦の結果、この作品が大賞に選ばれたわけですが、その点での納得感はありましたか?

佐久間:僕はありますよ。でも『歴史を面白く学ぶコテンラジオ』に関しては、去年の大賞作品だったから採点が厳しくなったんですよね。去年はもう衝撃的でぶっちぎりでした。今年が初見だったら高い点数を普通に付けていると思います。そこから一年間聴いてるポッドキャストではあるので。

市川:私は『コテンラジオ』には初めて触れたので好きです。ポッドキャストは物語として語れる魅力があると思うので、その点をうまく使っているというか、お勉強感ナシで長尺で最後まで聴くことができるので、ものすごくバランスが取れてるなと思いました。割と念入りに準備されたものが好きなので、事前にものすごくリサーチしてやってるところも好きです。

――その他の大賞ノミネート作品に関してはいかがでしたか?

佐久間:僕は『ロバートpresents聴くコント番組〜秋山第一ビルヂング〜』の評価を高くしました。そもそもお笑いを音声だけでやるのはすごい難しいんだけど、ロバートが声に力のある芸人と演技力のある芸人をしっかりキャスティングしてるので、コントとしてすごくレベルが高かったです。その他では、『三原勇希 x 田中宗一郎 POP LIFE:The Podcast』に入れたんですけど、やっぱ多少ムカついても熱と感情が乗ってる作品の方がポッドキャストには向いてるなって思いましたね。『POP LIFE』は、面白い回とすげえムカつく回もあるんで(笑)

市川:その自由度も魅力ですもんね。『POP LIFE』は、確かにそんな気がします(笑)

――『ベスト・パーソナリティ賞』では、『ジェーンスーと堀井美香のOVER THE SUN』 が選ばれましたが、この作品を中心に全体の印象をお聞かせいただけますか?

佐久間:はい。どの作品も面白かったです。すげえ悩んだんですよね。ジェーンスーと堀井美香は頭抜けて面白いんだけど、レギュラーでラジオもやってるし、コンビネーションもできてるし、そりゃそうだろってのもあって(笑) 個人的には『ゆとりは笑ってバズりたい』を3位に入れたので、彼女にあげたいなって気持ちもありながら、でもしょうがないよなって。

――『OVER THE SUN』は得票的にもぶっちぎりではあったのですが、『ゆとりは笑ってバズりたい』も肉薄するくらいの票を集めましたよね。市川さんはいかがでしたか?

市川:私は『ゆとバズ』を1位にしたんですよね。スーさんと堀井さんは安定の面白さで、本当は心の中では一番なんですけど、まあでも評価するの難しいなと思って、そんな感情と理性のぶつかり合いで決めたんですけど(笑) ただやっぱり、スーさんと堀井さんの作品は、ポッドキャストの意義を考えるきっかけにもなったというか、ラジオがテレビでは言えない話や裏話が聞ける場所だったとしたら、ラジオパーソナリティにとってのそれはポッドキャストで、そういう場になり得るんだなっていう可能性も感じましたね。

佐久間:ラジオの生放送に慣れてるパーソナリティにとっては、タイム感に縛られずに思考を深めて雑談できる感じが魅力だと思いますね。あと『kemioの耳そうじクラブ』に関しては、まだ未熟なんだけど、彼の魅力によって音声コンテンツに新しい人を連れてきてるな。と思ったので、そういう意味も込めて2位に入れましたね。

市川:kemioさんは、ちゃんと聴いてみると言葉に無駄がなくて、ものすごく洗練されてるなって感じました。そばにあっても邪魔にならないけど、ちゃんと聴いたら「おっ!なんか面白い話してるな。」っていうちょうど良い距離感だなって思って選びました。

佐久間:流れで聴いていくと、やっぱり旬な人だけあって、自分の話法を加速度的に身につけていくのが面白いんですよね。最初のぎこちなさからモノにしていく様が(笑)

――次は『ベストエンタメ賞』に絞って伺いたいのですが、今回は『令和版・夜のミステリー season1』が選ばれました。こちらの部門は佐久間さんが担当されましたが、この作品に関しての印象はいかがでしたか?

佐久間:ジャンルとしてはベタだし、ストーリーに裏切りがあるわけじゃないけど、クオリティと作り込みをあのレベルまで持っていった作品が、ついに日本のポッドキャストにも登場したという意味ですごく意義深いと思っていて、今後も「怖い」だけじゃなく「感動」とか「笑い」とかでの進化も見てみたいなという期待も込みで点数を入れましたね。

――音声ドラマに関しては、マイクや編集ソフトなどの録音機材の進化に加え、ワイヤレスイヤホンの爆発的な普及も追い風にして、表現の可能性が更に広がってきましたね。

佐久間:音質的にもイヤホンの性能が上がってるから面白くなると思います。僕は、飯野賢治さんが作った『リアルサウンド 〜風のリグレット〜』という、音だけで作られたゲームを大学生の頃にシナリオまで買ったくらい好きだったので、ああいう過去の名作コンテンツをリメイクしてポッドキャストで聴きたいなってすごい思いましたね。その他には『営農とサブカル』も好きだったんですけど、毎回しっかり構成を準備しているので、営農ジャンルから見た作品の副読本としては面白かったです。でも、構成と話法がまだちょっとだけ拙くて、もっとソリッドになるのになと思って聴いていたんだけど、試みとしては面白いなって思いましたね。

市川:うん。ポテンシャルはすごいですよね、この作品は。

佐久間:音声コンテンツというものは映像よりは準備が大変じゃないから、本業が別にある人の話をもっと聴きたいなって思いますね。先ほど触れられなかったですけど『ノウカノタネ』とかも、専門家の生の声を聴ける楽しさがあります。

市川:それはありますね。私は『TALK LIKE BEATS by Real Sound』に、それを感じていて、本当に豪華な方々が地上波では企画にならないようなニッチな話題を、ずーっと喋っている感じはポッドキャストに求めているものだなって思います。

――そのポイントは『ベストナレッジ賞』にも共通する魅力かもしれませんね。今回は『researchat.fm』が受賞いたしました。こちらの部門は市川さんが担当されましたが、印象はいかがでしたか?

市川:そうですね。私も『researchat.fm』を1位にしたのですが、論文の解説だったり、サイエンス系のニュースの解説だったりを解りやすく伝えていることはもちろんなんですけど、雑談の間口がすごく広いっていうか、付属する話題が身近なものなので聴きやすいです。あとは、仲の良い友達が喋ってるという魅力ですね。全然知らない人が聴いても、仲の良い友達の会話ってだいたい面白いじゃないですか。

佐久間:そうそう。それはありますね。音声コンテンツって空気も伝わるんですよね。話している内容だけじゃなくって、その人達が放つ空気を一緒に味わってる感覚。

市川:私は、そういう親密性をすごく大事にしています。距離感が近い感じで「この輪に入って楽しみたい。」って思わせるものが、やっぱりいいなって思います。

佐久間:僕は『別冊アフター6ジャンクション』も嫌いじゃなくて、これはラジオの別冊だから面白くない回もあるんですよ。でも本編で入りきらなかった熱がそのまま転がってって「どうしても喋りたいんだよ!」っていう感じで、本編よりめちゃくちゃおもしれーなって時がある(笑)

――その他、ノミネート全体で飛び抜けて違うジャンルとしては『朝日新聞 ニュースの現場から』が挙げられますが、この作品の印象はいかがでしたか?

佐久間:これは、ウェブサイトにおける『日経電子版』とかに近くて、もしかすると新聞にとってすごい鉱脈になるんじゃないかって気がしました。『日経電子版』も先駆けてやってたら、今はちゃんとマネタイズできているので可能性がありますよね。新聞記者のレベルの高さって本当はすごいんですよ。そこが媒体の時代遅れによってちゃんと届いてない現実があって、ネットの即時性やデマなどによって新聞のイメージがどんどん悪くなっている中で、記者の肉声が聴けて、かつ取材力の高さも同時に出せるってことは、もしかしたら鉱脈かもしれないから、もっと仕掛けていく方が良いんじゃないかな。って思います。

――グローバルでは『 The New York times - The Daily』がモンスターコンテンツになっているので、時事ネタをワンテーマで深堀するスタイルとして『朝日新聞』と比較可能です が、日頃から英語圏のコンテンツに触れられている市川さん的にはどんな印象を受けましたか?

市川:『The Daily』と比べると、テーマ自体がニッチな内容が多かった印象です。『朝日新聞』に関しては、取材相手にも出てほしいなって思いました。取材で録音した音声が入るともっと物語チックになるかなって。

――確かに『The Daily』は、取材相手の音声も見事に繋げて編集されてますもんね。

市川:はい。そうなんです。なので今後はそういったものもあると楽しいなって思います。

――では最後に、ポッドキャストが今後こうなってほしいな。というご意見などを伺えればと思うのですが、いかがでしょう。

佐久間:ポッドキャストは、プロだけの場所になって欲しくないし、今回だと『ゆとりは笑ってバズりたい』とか、前回では『忘れてみたい夜だから』みたいな一人しゃべりとかが面白かったので、そういう人に等しく出会いたいなって思うんですけど、出会うのはなかなか難しいから、こういうアワードが出てきてフックアップしてくれると嬉しいですね。僕は去年の賞のおかげで散歩するときと家事をする時に聴くものが増えたんで、もっといろんな人に参戦してきてほしいなって思います。

市川:私は、ニッチで専門的になってほしいのと、くだらなくなってほしい気持ちがあって、例えば、昨日見たバラエティやドラマの感想をただ語る。とか、もっと全力でバカをやってるものを聴いてみたいな。って思います。あとは早くスポンサーがつく仕組みができてほしいなと思いますね。ポッドキャストのスターがいっぱい出てくれば全体的にクオリティも上がると思うので。あと、個人的には調査報道っぽいものがもっと聴きたいです。時事問題だけじゃなく「昔あった、あのお菓子どうなった?」でもなんでもいいんですけど、そういった、しょうもないけど面白い作品ができる環境があると良いと思います。

FALCONは、アメリカの高級イヤホンメーカーNoble Audioが展開する完全ワイヤレスイヤホンブランド。世界最高峰のオーディオブランドとして非常に高い人気を誇っています。J APAN PODCAST AWARDS 2020の「大賞」「Spotify NEXTクリエイター賞」「ベストパーソナリティ賞」「ベストエンタメ賞」「ベストナレッジ賞」「リスナーズ・チョイス」全6部門の受賞者には、「FALCON 2」(ファルコン ツー)が贈呈されました。

今回の対談でも使われた「FALCON 2」は、国内の数多くのオーディオ賞を受賞した初代「FALCON」の後継モデル。音のきめ細やかさや途切れにくさ、そして快適な操作性が更に向上 し、音楽をストレスなく楽しめる仕様となっています。発売後、数多くのミュージシャンから非常に高い評価を得て、優れた音質で音楽やpodcastを楽しみたいユーザーに支持されているベストセラー製品です。また、高級イヤホンブランドにも関わらず、お求め安い価格も人気の一つ。今なら、公式サイトにて「FALCON 2」のお試しキャンペーンを実施中です。

佐久間 宣行
株式会社テレビ東京 プロデューサー
1999年テレビ東京に入社。『TVチャンピオン』などで経験を積みながら、入社3年目に異例の早さでプロデューサーとして抜擢される。『ゴッドタン』のプロデュース・総合演出をつとめるほか、『ピラメキーノ』『キングちゃん』『ウレロ☆未確認少女』『有吉のバカだけどニュースはじめました』テレビ東京開局50周年記念企画『トーキョーライブ24時〜ジャニーズが生で悩み解決できるの!?』などのプロデュースを担当。『ゴッドタン』の名物企画「キス我慢選手権」の映画化の脚本・監督をつとめるなど、さらに活躍範囲を広げている。
市川 紗椰
モデル
愛知県名古屋市生まれ、アメリカ・デトロイトで育つ。16歳の時にスカウトされモデルデビュー。鉄道、食べ歩き、地形、アニメ、相撲、美術、音楽など、さまざまな分野のカルチャーに精通している。モデルとしてファッション誌で活躍する他、テレビ・ラジオなどにも多数出演。2020年3月、『鉄道について話した。』(集英社)を上梓。

両名をはじめ、8名の最終選考委員による選考の詳細はコチラ
『JAPAN PODCAST AWARDS 2020 』公式サイト

3月20日(土)ニッポン放送で特別番組が放送決定!

「JAPAN PODCAST AWARDS 2020」の開催を記念した、ニッポン放送の特別番組の放送が決定しました。放送日時は3月20日(土)17時40分~19時の80分間。授賞式と同じくフリーアナウンサーの荘口彰久がパーソナリティを務め、「JAPAN PODCAST AWARDS 2020」を振り返ります。

■番組名 :JAPAN PODCAST AWARDS ラジオ 2020 supported by FALCON
■放送日時 :2021年3月20日(土) 17:40~19:00
■パーソナリティ :荘口彰久
■放送局 :ニッポン放送(関東ローカル)


Page top