「10月21日解散」説のこれだけの理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月2日放送)にジャーナリストの須田慎一郎が出演。衆議院議員選挙を見据えた政局について説明した。

ニッポン放送「報道部畑中デスクの独り言」

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

立憲・蓮舫代表代行が自民・河村元官房長官を「オリンピックの政治利用」と批判

7月31日に、東京オリンピックで日本代表が活躍すれば政権に「大きな力となる」とした自民党の河村建夫元官房長官の発言を受け、立憲民主党の蓮舫代表代行は8月1日、「政治利用ではないか」と批判した。「オリンピックの盛り上がりと政府の危機管理は別問題だ」とも話している。

飯田)政治利用ではないかということですが。

与党も立憲民主党もオリンピックを政治利用している

須田)そもそもオリンピックの政治利用を徹底的にやったのは、どこの政党ですかと。都議会議員選挙に利用し、秋に予定されている衆議院選挙に利用しようとしているのは「どこの政党なのか?」と逆に聞きたいですけれどもね。政権与党の方も、オリンピック後に衆議院選挙をスケジューリングするとして、それも政治利用と言えなくもないのですが、どっちもどっちではないかと私は思いますね。

飯田)どっともどっちと。

須田)逆に言えば、オリンピック・パラリンピックが閉幕する9月5日の翌日くらいから、臨時国会が開幕し、この臨時国会においては、間違いなくどこかで解散が行われるわけですから、いよいよ選挙のタイミングをはかるような状況になるのだろうと思います。そういうところを踏まえて、いまのうちに徹底的に「批判できるところは批判しておこう」ということなのでしょう。

10月21日解散説~任期ギリギリまで

須田)ただ、オリンピック・パラリンピックが閉幕し、最初にやるべきなのは、やはりコロナ対策ということで、補正予算を組んできちんと成立させることです。そして、いよいよ解散というところなのですが、やはりいま第5波が懸念され、感染者数も増えているし、ここはそのまま政権批判にもつながりかねない。感染者数を減少させるためにも、ワクチン接種を進めるということを考えると、解散はギリギリになりそうな気がします。

飯田)ギリギリというのは、任期に対してギリギリということでしょうか?

須田)もっと言えば、衆議院議員の任期は10月21日までなのです。「10月21日解散説」というのがいま出ています。

飯田)本当にギリギリまで。

須田)目一杯の時間、猶予を確保しようということです。ですので、11月に投開票日を設定するという流れになる可能性も高いと思います。

解散をギリギリまで延ばしてワクチン接種を進めていい結果を出したい

飯田)もっともギリギリまで引き延ばすと、11月末くらいの投票日になる。

須田)そうですね。その間に若い人へのワクチン接種を進める。いまは医療従事者は完了して、高齢者もほぼ完了するという流れになっていますが、やはりワクチンによって重症化率は減っているではないですか。

飯田)2日の毎日新聞1面では、40~50代で重症化率が上がっていると書かれていますが、逆に言うと、これだけデルタ株が言われているなかで、高齢者がきちんと守られているというのはワクチンの力ですか?

須田)ええ。だから、ワクチン接種を進めて行くと、重症化が抑えられて結果が出て来る。「その辺りを見極めた上で」ということになると思います。そして10月21日の解散は、憲法上はセーフという状況ですが、奇手奇策ではあります。10月21日の任期満了以降に選挙をするというのは奇手奇策ではあるけれども、そういうことも十分にあり得るということを、念頭においていただきたいと思います。

「10月21日解散」説のこれだけの理由

2021年3月16日、発言する菅総理~出典:首相官邸ホームページ(https://www.kantei.go.jp/jp/99_suga/actions/202103/16kaigi.html)

10月末にはG20サミットがイタリアで開催~当初はそこに向けて9月解散という流れだったが

飯田)日程の話が出ましたが、10月末にはG20サミットがイタリアで行われます。解散はしても内閣総理大臣ではあるので、菅さんは行けると言えば行けると。

須田)行けます。ただ、選挙後にどうなるかはわからない。総理大臣がどれだけ日本を代表することができるのかというクエスチョンマークは付きますけれどもね。当初はG20に向けて、それまでに何とか選挙を終えてというスケジュール感だったのですけれども。

飯田)そうですよね。9月解散説はその辺りも折り込みつつでしたよね。

須田)ただ、都議会議員選挙が大惨敗という結果に終わってしまいましたから。戦略の見直し、立て直しをするのだと思います。

自民党総裁選~菅氏の無投票再選の可能性も

飯田)そうすると、自民党の総裁選が先に来るという形になるわけですね。

須田)先に来るけれども、場合によっては「無投票再選」という形にもなるのではないでしょうか。総裁選を仮に実施したとしても、他の人が立候補したとしても、コロナ対策で何か違う政策を打ち出すことができるのかと。

飯田)自分の独自色を。

須田)そうです。これがないのです。菅さんは後手後手に回っている感じはありますが、やるべきことは着実にやっている部分はあります。

飯田)ワクチンの接種も、接種する数を現場が積極的に回したからこそ、ワクチンが足りない状況になっていると言われていますものね。ある意味、計画よりも先に行ったという評価ができると。

問題は宏池会の岸田氏の動き~リスクは取らないだろう

須田)総裁選をするのならば、「菅さんと違ったコロナ対策」というところが大きな争点になると思うのですが、差別化が図れないのであれば、菅さんが続投するのがベストなのではないかという流れになって来ています。むしろ出ること自体が足を引っ張ることになるのではないかと。

飯田)最大派閥の実質オーナーのような安倍さんも、早くから菅さん支持を打ち出しています。

須田)問題なのは宏池会、岸田さんの動きです。岸田派がどういう判断を下すのかということだと思うのですが、やはり、そこでリスクは取って来ないだろうと。だから「ポスト菅」というのは、新しい総裁任期の向こう3年間のなかで、という判断になるのではないかと思います。

山口3区の争い~参議院から鞍替えの林芳正氏と二階派の重鎮・河村建夫氏

飯田)宏池会という話が出ましたが、岸田さんがいま派閥のトップでやっていると。他方、林芳正さんという方が実力者としていらっしゃる。ただ参議院議員のため、今度鞍替えするという話が、河村建夫さんの選挙区の山口3区であるということで、派閥の結束のことを考えると、出ておいた方がということになるのでしょうか?

須田)河村さんは林芳正さんが出た場合、70歳を超えていますから、比例復活がないのです。

飯田)なるほど。内規でそれはできないことになっていると。

須田)そこをどうするかという問題が1つ。ただ、河村さんは三権の長である衆議院議長になりたいのです。全面的に推そうと言う人がいないなかで、なぜそこまで次の衆議院選挙にこだわるのかというところが1つ疑問として出て来ています。

飯田)河村さんは二階派の重鎮でもあると。そのぶつかり合いになるのではないかということが書かれていますが。

須田)もし林芳正さんと激突したら、いまの情勢から考えると林芳正さんに軍配が上がるのだろうと思います。しかも比例復活がないとなると、そこは二階さんが采配を振るうのではないでしょうか。二階さんの幹事長としてのポジションを守るという点では重要だと思います。

飯田)この辺りはこの先また、いろいろな駆け引きが起きると。

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