小祝さくら、2週連続V 悪天候ほど強くなる「秘密の練習」

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、女子ゴルフの国内ツアー賞金ランキングで現在1位。2週連続優勝で波に乗る小祝さくら選手にまつわるエピソードを取り上げる。

小祝さくら、2週連続V 悪天候ほど強くなる「秘密の練習」

【女子ゴルフ「CAT Ladies2021」最終日】優勝トロフィーを手に笑顔の小祝さくら=2021年8月22日 神奈川県足柄下郡箱根町の大箱根カントリークラブ 写真提供:産経新聞社

女子ゴルフの国内ツアーCATレディースで小祝さくら選手が逆転優勝! 2週連続優勝で今季5勝目と、賞金ランキングトップの貫禄を見せつけました。

『まさか優勝できるとは思っていなかった。最終ホールで(順位の)ボードを見たとき、ビックリしました』

~『サンケイスポーツ』2021年8月22日配信記事 より

本人が驚きのコメントを残したように、この大会、当初は東京五輪で銀メダリストになった稲見萌寧選手が初日から首位を走り、注目されていました。ところが最終日、最大瞬間風速15.4メートルの強風が吹き荒れる天候に悩まされたのか、自己ワーストとなる4連続ボギーを叩くなど2バーディー、7ボギーと一気にスコアを落とします。

一方の小祝選手は強風のなかでも4バーディー、3ボギー。スコアを落とさず、最終日スタート時点で首位の稲見選手とは4打差もありましたが、すさまじい巻き返しでの逆転劇となりました。

これで今季の獲得賞金は1億7千万円を突破。2位の稲見選手と一時は約202万円差と僅差でしたが、一気に約1900万円の差をつけ、初の賞金女王獲得の可能性もより高まって来ました。

また、今回の優勝で小祝選手はツアー通算6勝目。勝みなみ、畑岡奈紗、渋野日向子選手ら才能ひしめく「女子ゴルフ黄金世代(1998年度生まれ)」のなかで、通算6勝は畑岡選手と並んでトップタイ。名実ともに世代のトップランカーとなっています。

小祝選手の強さの要因。その1つは、悪天候であるほど結果を出すことです。今回の「CATレディース」は最大瞬間風速15メートル超の強風が吹きつけるなかでの勝利。前週の「NEC軽井沢72ゴルフトーナメント」も最終日は大雨の影響でスタートが2時間遅延するなかで集中力を切らさずに優勝。他にも、今年(2021年)の初戦「ダイキンオーキッドレディス」も雨のなかで勝利。3月の「Tポイント×ENEOS」も強風のなかでの勝利と、いずれも悪天候に負けず勝利をつかんでいます。

前週の「NEC軽井沢72」優勝後、悪天候でも結果が出ることについて、こんな自己分析をしています。

『自分でも、今年優勝した試合は全部悪天候のイメージで。前はそういう日は全然駄目だったんですけど、やっぱりいろんなボール(球筋)を打てるようになったっていうのが大きいのかなと思います』

~『中日スポーツ』2021年8月15日配信記事 より

この「いろんなボールを打てるようになった」のは、もちろん練習の賜物。とくに、横風や向かい風に負けない低い弾道の強いボールを打てるように取り組んで来たのが「スリークォーター(4分の3程度の力のスイング)」の練習でした。

『――雨、風に強い。自信も出てきた?

最近、低い球を安定して打てるようになってきたと思います。ちょっと短く持って、スリークォーターのコントロールショットがうまくいっています。ボールをちょっと右において、手が先に切り返さないように、下半身から切り返すようにしています』

~『GDOニュース』2021年3月21日配信記事 より

また、小祝選手は北海道出身で夏の暑さは苦手のはずなのに、今回の「真夏の2週連続優勝」が証明するように、アマチュア時代から「夏の試合に強い」という不思議なデータも……。この夏に強い点も「過酷な状況下で結果を出す」という意味では悪天候での強さに通じます。師事する辻村明志コーチはその要因に「忍耐力」をあげ、それが小祝選手の代名詞である「練習の虫」にもつながっているのです。

『一方でコーチである辻村明志(はるゆき)氏は、教え子の夏の強さについてこんな見方をしている。

「忍耐力が人の倍あるからではないでしょうか。それを作りだしているのが、普段から人に優しく自分に厳しい姿勢です。自分に対しての妥協のなさは、素晴らしいものがあります」』

~『ゴルフ情報ALBA.Net』2020年9月7日配信記事 より

この忍耐力があるからこそ、優勝した日でも負けた日でもトレーニングを怠らず、ときには辻村コーチが止めるまで練習を続けてしまうことも。小祝選手といえば、2018年のツアーデビュー後、114戦連続出場中と「皆勤」を続けていることでも有名ですが、東京五輪開催で休みとなった1週間、久々のオフかと思いきや、地元北海道でトレーニングを積んだというから驚かされます。

こうした積み重ねが、試合において天候が乱れたり苦しい場面を迎えたりといった過酷な状況でも、力を発揮できる要因となっているのでしょう。

その努力の先に見据えるのは、8月26日から地元北海道で開催される「ニトリレディス」での3週連続優勝です。達成すれば史上3人目の快挙。小祝選手としてはスポンサー契約を結ぶ大会であり、ホステスプロとしてより注目が集まる大会でもあります。夏に強い小祝選手が満開のさくらを咲かせるか、大いに注目です。

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