東京パラ大会で印象に残る ~トライアスロン・宇田秀生選手の言葉
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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(9月3日放送)に東京2020パラリンピックレポーターである新行市佳アナウンサーが出演。東京パラリンピックにおける影のMVPについて解説した。
ボランティアスタッフのボードには「誰にでも大きな声で挨拶しましょう」
飯田)パラリンピックについてです。東京2020パラリンピックレポーターの新行市佳アナウンサーに、東京パラリンピックの影のMVPについて聞いて行きたいと思います。
新行市佳アナウンサー)影のMVPということですが、正直決められないところがあります。
飯田)そうですよね。
新行)連日、素晴らしい試合をしているアスリートの皆さんあっての大会という部分なので。ただ、この大会を支えているボランティアスタッフの皆さんの気遣いというものは、本当に嬉しかったなと思っています。どこへ行っても丁寧に挨拶をしてくれ、声をかけてくれる。そして、ボランティアスタッフの通るところにはホワイトボードがあって、確か幕張メッセの会場だったと思うのですが、「誰にでも大きな声で挨拶しましょう」と書かれていたのです。
飯田)ホワイトボードに。
新行)そしてメディアが待機している「ベニューメディアセンター」という場所があります。そこでは記者の皆さんが記事を書いたり作業をしているのですが、ここで「ご自由にお取りください」と、折り紙でつくった鶴や手裏剣が置いてあるのです。海外メディアの皆さんは興味深そうに持って行く方もいました。
選手村に帰るバスに向かってスマホのライトを点けて手を振るボランティア
新行)アクアティクスセンターから選手村に帰るバスに向かって、沿道にボランティアスタッフの皆さんが1列に並び、大きく手を振ってお見送りしていたのですが、その場面がいちばん感動しました。私も取材が終わって帰るときに、その様子を見ることができました。このようなお見送りというのは、オリンピックのときからやっていて、それを知っているバスの運転手さんは、ゆっくり走らせて通るようにしているのだそうです。
飯田)なるほど。
新行)特に私が見に行ったときは、ボランティアの方から「スマホのライトを点けて手を振ったら、より綺麗に見えるのではないか」というアイデアが出たということで、皆さん光を手に大きく振ってお見送りをしていました。本当に美しかったですね。
飯田)スマホのライトを。
新行)海外メディアの方がボランティアスタッフの皆さんに「ありがとう」と言っている姿や、ピンバッジをお礼に渡している場面も何度も見かけました。誰もが気持ちよく過ごせるように、このようなおもてなしがあっての大会なのだなということも改めて感じました。
飯田)そのようなことは、誰に言われるわけでもなく始まって行くのですよね。
新行)そうなのです。
日本ならではの「おもてなし」のある大会
飯田)いろいろな大会を新行さんは取材されていますが、東京のボランティアの皆さんはどうでしょうか?
新行)とても丁寧で親切ですね。他の国のボランティアの皆さんも優しくて、リオパラリンピックに行ったときは、「どこの国から来たのですか」などとフレンドリーに話しかけてくれて、一緒に応援していただき、盛り上がりました。今回は、日本ならではの「おもてなし」もあるなと思いました。折り紙であったり、ケータリングのところには「きょうも1日元気に行きましょう」というようなことが英語で書いてあったり。
飯田)メッセージが添えられているような。
新行)はい。
コロナ禍で叶わなかったパラリンピックのプレイヤーと一般の人との交流
飯田)鈴木さんはオリンピック、パラリンピックにいろいろと取り組んでいたところがあります。
ジャーナリスト・鈴木哲夫)新行さん、毎日聴いています。
新行)ありがとうございます。恐れいります。
鈴木)コロナ禍で叶わなかったのですが、本当はパラリンピックのプレイヤーの方が街に出て来て、一般の都民の方たちと交流をするような、共生社会の機会にしたかったですね。私としては本当にそう思うのですが、どうでしょうか?
新行)それは本当にあります。リオに行ったときも、ボランティアの皆さんが杖を持った方や車椅子の方にフレンドリーに話しかけて、「一緒にこちらに行きましょうか」と誘導しているところもあって、素敵だなと感じていました。そのような光景が東京でもあるといいな、ということは、私も以前から思っていました。そうなればよかったなという気持ちは確かにあります。
鈴木)そうですよね。本当に残念です。
パラアスリートは健常者と同じ量、同じ質のトレーニングを日頃から一生懸命積んでこの舞台に立っている。その競技力を評価して欲しい
飯田)パラリンピック、パラスポーツを「スポーツとして見るべきなのだ」と鈴木さんはずっとおっしゃっていました。新行アナウンサーも、それを心がけているところはあったのではないでしょうか?
新行)取材するなかで、アスリートの皆さんは、自分の体の可能性を最大限に出すために、日々トレーニングを重ねています。今回の大会で印象に残っている言葉の1つに、トライアスロンで銀メダルを獲得された宇田秀生選手の言葉なのですが、「パラアスリートは健常者と同じ量、同じ質のトレーニングを日頃から一生懸命積んでこの舞台に立っています。その競技力を評価してもらいたいと常々考えています」ということを、フィニッシュした直後におっしゃっていました。
飯田)トライアスロンの宇田選手が。
新行)まさにその通りだと思います。パラアスリートの皆さんが新聞で取り上げられるときは、昔は社会面に取り上げられることがあって、「スポーツ面に載りたい」という気持ちがあった。今回の東京パラリンピックでは、これをきっかけとして、スポーツ面にも記事が載るようになったではないですか。そのような変化を感じられる大会になったのではないかと思います。ただ、これで終わってしまうとやはり意味がありません。これをきっかけとして、続いて行って欲しいと思います。
パラスポーツをあくまでもスポーツとして伝える
飯田)「どうしてこのような障害を負ったのか」というような、その部分の経緯を紹介する番組も多いなかで、新行アナウンサーは一切それを言わなかった。スポーツの部分だけで、ここまで勝負ができるのだということが伝わって来たような気がします。
鈴木)本当にそうです。スポーツとして新行さんは毎日伝えていましたね。それは素晴らしい。私もまったく同感です。
飯田)ここの積み重ね、取材というのはいろいろと大変だったのではないですか?
新行)楽しかったですね。日本のアスリートの皆さんはもちろん、海外の皆さんの高い技術や身体能力を目の当たりにして、幸せな時間でした。
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