中島啓太・西村優菜 快挙Vの21歳ゴルファーに共通する「準備力」

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話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回はゴルフ界のニュースター、アマチュアで5人目となるツアー優勝を果たした中島啓太選手と、2週連続優勝の西村優菜選手にまつわるエピソードを取り上げる。

中島啓太・西村優菜 快挙Vの21歳ゴルファーに共通する「準備力」

【女子ゴルフ ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープン】<最終日> 優勝杯を抱え笑顔を見せる西村優菜=2021年9月26日 利府GC 写真提供:産経新聞社

9月4週目のゴルフ界では、男女ともに21歳の新鋭による快挙が生まれ、ファンを沸かせました。男子では、日本体育大学3年の中島啓太がパナソニックオープンをプレーオフで制し、逆転優勝。アマチュアのツアー優勝は、2019年の金谷拓実以来で、史上5人目。21歳93日での優勝は、アマチュアでは石川遼(15歳245日)、松山英樹(19歳251日)に次ぐ歴代3番目の若さと、その偉業ぶりが話題を集めています。

一方、女子では、ミヤギテレビ杯ダンロップ女子オープンに出場した西村優菜が第1ラウンドから首位を守る完全優勝を達成。これで前週に続く2週連続優勝で、3位につける賞金ランキングではトップの稲見萌寧に約5300万円差と迫り、逆転賞金女王の可能性も出て来ました。

同日に快挙を達成したこの2人には、2つの共通点があります。1つは、ユース年代のナショナルチームにおいて、ガレス・ジョーンズ・ヘッドコーチに指導を受けた「ガレスチルドレン」であること。そしてもう1つは、ガレスコーチから学んだ「準備」の重要性を認識し、それを実践できている点です。

中島啓太は2018年にナショナルチーム入り。2学年上の金谷拓実らとともにガレスコーチのもとで腕を磨きます。すると、この年8月のアジア大会で、高校生ながら日本人男子として20年ぶりに金メダルを獲得。2020年11月には世界アマチュアランキング1位にのぼりつめた、日本ゴルフ界期待のホープです。

そんな中島がさらなる飛躍のため、昨年(2020年)・今年とテーマとして掲げて来たのが「準備」の2文字でした。

「2020年は、毎日毎日“準備をする”というのがテーマで、それが生きた1年でした。コロナの感染拡大が始まったころに、ジョーンズさん(ナショナルチームのヘッドコーチ)から『いい準備期間を過ごしていこう』と言われていました。試合がなくても応援してくれる人はたくさんいるし、妥協せずにスケジュールをしっかり管理して、自分の課題をこなしていきました」

~『ALBA』2021年1月28日配信記事 より(中島啓太のコメント)

実際、過去の中島のコメントを振り返ると、結果を出したときには「いい準備ができた」と語り、スコアメイクに苦しんだ際には「いつもより準備が足りない」と嘆くなど、どの場面においてもキーワードとして「準備」の2文字が付いて回ります。

たとえば今年(2021年)8月、前年の金谷に次いで日本人2人目となる世界アマチュアランキング1位の称号、マコーマックメダルを受賞した際のコメントではこんな言葉を残していました。

『金谷拓実さんに続いて受賞できたことはとても光栄に思います。次の目標は、松山英樹さん、畑岡奈紗さん、金谷拓実さん、笹生優花さんのように自信と代表としての自覚を持って世界の舞台で実力を発揮することです。それに向けて毎日の準備を大切にしたいです』

~『日本ゴルフ協会』2021年8月18日のナショナルチームニュース より

では、今回のツアー初優勝ではどんな準備をして臨んでいたのでしょうか。実は目先の優勝ではなく、先々のより高い目標をクリアするための準備でした。

『「調子が悪くてもドライバーを抜かないといけない時が来る」。白熱した優勝争いを迎えた時、すべて調子が良いとは限らず、そのなかで攻めのゴルフをしなければならない。そんな状況を想定しながら、今大会はパー3を除く14ホールすべてで「ドライバーを握る」ことを決めた』

~『GDOニュース』2021年9月26日配信記事 より

中島が見据えるのは、11月3日開幕のアジア・パシフィック選手権での優勝。いま最も欲しいタイトルで攻めのゴルフができるように……という先々の準備をしたなかでツアー優勝を果たしたのだから、恐れ入ります。

一方の西村優菜は、女子ゴルフ界の新勢力として話題の「ミレニアム(プラチナ)世代」のひとり。身長はレギュラーツアーを主戦場とする選手ではもっとも小柄な150cmで、飛距離は期待できません。それでも、今回の優勝で早くもツアー4勝目と、同世代のなかでも抜け出す成果を見せています。その強さの要因について、恩師であるガレスコーチはこんな言葉を残しています。

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『体は小さいが、頭脳が使えるので、身長10~15センチ分は頭脳のおかげで補っていると言っても過言ではないと思います。

優れているのは試合への準備。コースマッピング、情報収集、ヤーデージブックへの書き込みの仕方。まるで15本目のクラブを持ってプレーするかのように、ヤーデージブックを使います』

~『日刊スポーツ』2021年1月20日配信記事 より(ガレスコーチのコメント)

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そんな彼女だからこそ、史上3人目の3週連続優勝への期待がかかる次週、国内最高峰メジャーである日本女子オープンに向けては、こんな言葉を残しています。

『すごく難しいセッティングになると思うので、練習ラウンドでしっかり準備をして、いい形で初日を迎えられるようにしたい』

~『東スポWeb』2021年9月26日配信記事 より(西村優菜のコメント)

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