ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」（10月28日放送）にAPI主任研究員の相良祥之が出演。ガソリン価格が167円台に突入し、8週連続で値上がりしたというニュースについて解説した。

ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」

ガソリン価格167円台突入、8週連続値上がり

経済産業省が10月27日に発表した、25日時点のレギュラーガソリン1リットルあたりの全国平均小売価格は、18日時点の前回調査と比べて2円70銭高い167円30銭となった。8週連続で値上がりし、7年1ヵ月ぶりに167円台に突入している。また、灯油の価格も8週連続で上昇し、18リットルあたり50円高い1910円と、こちらも7年ぶりの高値となっている。

飯田）相模原市の“キヨシ”さん、27歳会社員の方から灯油についてのメールをいただきました。「冬に使う石油ファンヒーターなどの灯油も高騰しそうで、家計が大打撃になりそうですね。もう少ししたら値段が下がるかわからないので、いま買うべきか、もう少し待つか迷いますよね」といただきました。価格が上がって来ていますね。

世界的な経済社会活動の再開によって石油需要が増加　～さらに円安も影響

相良）いくつか理由があると思います。まずは世界的に経済社会活動が動き出していて、そのために石油需要が増加しているということが1つあります。

飯田）コロナが収まって来たということで。

相良）産油国がコロナ禍で、経済社会活動の見通しがよくわからないということで減産して来たわけですけれども、これだけ動いて来るとどうしても需要が高まりますし、イベントの入場制限の解除があれば、「大阪に行きたい」など、国内でも移動したいという希望が出て来ます。そういうことが背景にあると思います。

飯田）まず、需給のひっ迫というところ。さらに日本としては輸入しなければならない。円安の影響もありますか？

相良）円安が続いていますから、それも1つあります。

各国の国内線や欧州域内の航路もコロナ前の水準に近付きつつある

相良）世界を見ると、アメリカ、中国、ロシアなどでは国内線が再開されています。欧州も域内での航路は、コロナ前の水準に近付きつつあります。そうすると、ジェット燃料の需要も当然高まりますから、それも加わって灯油、石油の需給がひっ迫しているのだと思います。

電力発電においても世界中で石油の引き合いが強まっている

飯田）油の値段が上がっているということで、電気代なども上がっている。他方、環境面を考えると、天然ガスなどを使いたいという国が増えているようですね。

相良）アメリカもそうですけれども、再生可能エネルギーを動かして行きたいという話があります。再生可能エネルギーを動かし、それを補うために火力発電をどのくらい稼働させればいいのかという状況があったのですが、やはり石油火力発電所を動かさないと持たない。そうしないと電力が賄えないという状況が出て来ていると思います。

飯田）世界中で引き合いが強まって来ていると。

相良）そうですね。

注目される次のOPEC会合

飯田）そうすると、産油国が増産してくれないかなと思うのですが、おいそれとはできないのですか？

相良）「これだけ需要が高まって来ている。経済社会活動も世界的に高まっている」という見通しが立って来れば、産油国も増産しやすいと思うのですが、次のOPECの会合が開かれなければ、わからないところがあります。

飯田）産油国からすると、これだけ値段が上がって来れば財政的には楽になるから、本音はこのままの方がいいと思っているのですか？

DXが進み、さらに電力の需要は高まっている

相良）それもあるかも知れません。これだけ上がって来ると、電力の方はどうしても課題が出て来ますし、電気が足りないのはDXが進んで来て、データセンターの稼働も非常に増えていると言われています。

飯田）デジタル化によって。

相良）そうです。これもものすごく電力を食うので、冷やさなければいけない。そうなると、「増産してもいいのではないか」となってもいいと思います。

世界中で経済社会活動が再開しているので、原油国が増産することに期待したい

飯田）そうすると思惑も含めて、すぐに下がるということは考えづらいですか？

相良）気候変動についてのCOP26もありますし、様子を見ているということもあるかも知れません。産油国としては、実際に増産しても「本当にみんな買ってくれるのか」というところが、見通しにくく難しかったところです。これだけ世界中で経済社会活動が再開し出すと、だいぶ状態は変わって来ていると思います。しかし、お願いして増産してくれるというわけには行きませんが、何とか期待したいところです。