小橋賢司 思い通り行かないことがあっても「すべては最善に導かれている」

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(3月3日放送)にクリエイティブディレクターの小橋賢児が出演。自ら心掛けている「意識への旅」について語った。

小橋賢司 思い通り行かないことがあっても「すべては最善に導かれている」

小橋賢児

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。2月28日(月)~3月4日(金)のゲストはクリエイティブディレクターの小橋賢児。4日目は、「意識への旅」について---

黒木)27歳で俳優活動を休業され、現在はイベントプロデューサー、クリエイティブディレクターとして『ULTRA JAPAN』、『STAR ISLAND』などに関わり、ご活躍なさっています。モーターショーで500機のドローンを飛ばしましたが、あれはいったいどうなっているのですか?

小橋)ドローンは1台1台すべてコンピューター制御していて、AIで認識して飛行距離と場所などを全部プログラミングしました。出方、ストーリー、光の移り変わり、音楽などをすべてディレクションしました。

黒木)何もないところからつくりだすのですよね。

小橋)そうですね。まずはテーマから。

黒木)そうですね。

小橋)飛行自体は10分くらいなのですけれども、10分をただ普通に見せるだけでは「あれ?」という感じで終わってしまいます。ただのドローンショーをやっても意味がないので、10分間のなかで、「光の宇宙船に乗って意識の旅に出る」というストーリーをつくりました。

黒木)意識の旅。

小橋)宇宙船に乗るかのように、待機場から事前に「これから皆さんをゲートへお連れします」というところまで行き、そこから「これから発射します」というなかで突然、機械がシャットダウンして「故障しました」という小ネタも入れつつ、「復旧しました。では行きます」とスタートします。光の音を3Dサウンドでイマーシブル音響にして、没入感があって包まれているような環境で宇宙へ飛んだ先に、自分の意識のなかにある景色が見えて来る。

黒木)テーマを決めるとき、いまは「意識への旅」とおっしゃいましたけれども、どこからひらめくのですか?

小橋)普段は日本全国の神社などを回ったり、インドに3ヵ月旅をしたりしています。そうすると、現実に見えている世界だけはなく、見えないなかでのつながり、また、自然に生かされている感覚が見えて来るのです。

黒木)見えないなかでのつながり。

小橋)情報があってものが見えていると、「見えないつながり」のようなものを忘れてしまうのです。でも、日本は昔からそういう感覚が魂の奥底に眠っているのです。そういうことへの気付きのきっかけをつくりたいと思っています。

黒木)常日ごろから思っていらっしゃるということですね。

小橋)エンターテインメントは「翻訳言語」だと思っているので、直接的に物事を言うよりも、「楽しい」という想いのなかから、そういう見えない感情に気付いてもらいたいと思ってつくっています。

黒木)それが1つ1つのエンターテインメント作品のテーマでもあるわけですよね。小橋さんのおっしゃった言葉のなかで「行雲流水」というのがとてもいい言葉だなと思ったので、ぜひ小橋さんの方からおっしゃってください。

小橋)パラリンピックのときもそうだったのですけれども、この世界で生きて行く上で、いろいろな人たちが絡み合います。もちろん、夢を描くことや目標を立てるというのは決して悪いことではなく、いいことだと思うのですけれども、歩み始めるなかでいろいろな出来事が起きると、思い通りに行かないこともあると思います。僕が常に思っているのは、「これでいいのだ」と、「すべては最善に導かれているのだ」ということです。ありのままの流れのなかで、一見すると不条理なことやありえないことも……。

黒木)理不尽なこともありますよね。

小橋)そういうことも全部含めて、自然の流れに導かれているのではないかと思うのです。結果としては「これでよかったのだ」となるという意味で、この「行雲流水」という言葉は、自分の思っていた通りだなと感じました。

黒木)空を行く雲や流れる水のように、物事に深く執着しないで自然の成り行きに任せて行動をするという。

小橋)そうです。

黒木)「20代のうちは旅をしろ」ということですが、その旅は海外に行くだけが旅ではなく、意識への旅というのも旅の1つにあるのですね。

小橋)物理的に旅をするということだけではないと思います。例えば苦手だと思っている人と対話をしてみるのも旅だと思うし、話せていなかった親父と杯を交わすのも旅だと思います。自分が触れていなかった世界にあえて踏み込んで行くということが旅なのではないかと思います

黒木)それがまさに意識への旅ですね。

小橋賢司 思い通り行かないことがあっても「すべては最善に導かれている」

小橋賢児(こはし・けんじ) / クリエイティブディレクター

■1979年8月・東京都生まれ。42歳。
■8才で芸能界デビュー。以後、数々のドラマや映画、舞台に出演。
■2007年、27歳のときに俳優活動を休業。世界中を旅しながら多様な文化に触れながらインスパイアを受け、映画やイベント製作の仕事を開始。
■2012年、アメリカ縦断を描いた長編映画『DON'T STOP』」で映画監督デビュー。SKIPシティ国際Dシネマ映画祭にてSKIPシティアワードとSKIPシティDシネマプロジェクトをW受賞。
■また『ULTRA JAPAN』のクリエイティブディレクターや『STAR ISLAND』の総合プロデューサーを歴任。500機のドローンを使用した夜空のスペクタルショー『CONTACT』ではJACEイベントアワードにて最優秀賞の経済産業大臣賞を受賞。
■昨年は東京パラリンピック閉会式のショーディレクター(総合演出)を担当。2025年の「大阪・関西万博」では催事企画プロデューサーに就任。職業という枠にとらわれない、クリエイティブでマルチな活躍をみせている

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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