ジャーナリストの須田慎一郎が5月16日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮における新型コロナ感染について解説した。
北朝鮮で新型コロナの感染が拡大
北朝鮮は5月12日、国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されたと発表した。また16日に朝鮮中央通信は、15日夕方までの1日で新型コロナ感染が疑われる発熱患者が新たに約39万2900人確認され、この間に8人が死亡したと報じた。感染が拡大しているとみられる。
PCR検査もできていないことが予測される北朝鮮
飯田)いままで「感染者0」と公式では発表していましたけれども、ここへ来て、大変なことになっているのでしょうか?
須田)朝鮮中央通信の報道を分析してみると、いま感染者が公式には「0%」ということです。恐らくそうなのだと思います。どうしてかと言うと、発熱という症状だけでしか検証することができない。つまりPCR検査そのものが行われていないのだと思います。新型コロナ感染症に対して「どう治療するのか、どう予防するのか」というステージには達していないのだろうと思います。
飯田)いろいろな国々がワクチンの提供についてアプローチしましたが、断ってきたという経緯もあるようです。
須田)その辺りについては、「最も進んだ科学力があるのだから、ワクチンについても」という自負があるのでしょうね。海外から支援されるということになると、国民の政府に対する不信感、体制に対する不信感につながる可能性がありますから。
中国製のワクチンに頼るしかないか
飯田)オミクロン株は症状が少し穏やかだということですが、それはワクチンを打っているからこそです。
須田)そうですね。
飯田)それがなかったら大変なことになります。
須田)仮に人道的な意味合いでワクチン支援をするにしても、その間に何か問題が発生した場合の対処が必要になります。例えばアメリカのワクチンメーカーが日本に提供する際にも、「問題が発生したときにそれを問わない」などという法的な取り決めがあるではないですか。そういう前提がないと、この手のものは提供できないのです。そうすると中国製ということになるけれども、中国製は効きませんから。
飯田)中国そのものが苦しんでいて、ゼロコロナはもう無理ではないかということになっていますものね。
須田)北朝鮮が今後、何を国際社会に求めてくるのかというところが見えてこないですよね。
国民の健康や安全よりも自らの体制維持に力を入れる金正恩氏
飯田)そんななかでもミサイルの発射を続け、核実験もやるかも知れないというのは、どういうことなのでしょうか?
須田)国民の健康や安全は横に置いておいて、自らの体制維持に100%全力投球をしているのだろうということしか見えませんね。
体制が崩れる要因となる飢餓や疫病のまん延
飯田)ミサイルの発射に関して、ここ1週間くらいのものは国内ではあまり報じていないと言われています。やはり新型コロナに対して一生懸命やっているということを、国内的にアピールしたいという意図があるのでしょうか?
須田)いい指摘だと思います。国内的には、権力基盤が揺らいできたのではないでしょうか。これまでは強権的に進めることができたのだけれど、これだけのコロナ感染者と思しき人が出てきています。飢餓や疫病のまん延は、体制が崩れる要因と言われます。その条件がいくつも重なってきて、いよいよ厳しい状況になりかねないという危機感が、体制側にあるのではないですかね。
飯田)確かに飢餓の部分で言うと、都市部はともかくとして、地方部などでは軍の兵士ですら食べられていないという話が出てきています。
須田)そこに加えて疫病がまん延し、悪い条件がいくつも重なる状況になってきているのではないかと思います。
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