黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(8月29日放送)に落語家の春風亭一之輔が出演。落語の楽しみ方について語った。
黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。8月29日(月)~9月2日(金)のゲストは落語家の春風亭一之輔。1日目は、落語の楽しみ方について---
黒木)YouTubeチャンネルを開設して、オンライン配信をなさっていらっしゃいますが、YouTubeで簡単に落語が聴けるようになりましたよね。
一之輔)そうですね。
黒木)私もたくさん聴かせていただきましたけれど、おかしかったです。
一之輔)地方で公演すると「生で落語を聴くのは初めて」という人にお会いしますが、きっかけはコロナ禍で観た「YouTubeの生配信」だという人がかなりいます。「家で親とYouTube観た」と、それで興味持って来てくれたお子さんもいました。
黒木)やはりライブの方がいいでしょうけれど、「そうやって知っていただく、それで寄席に来ていただく」という流れができ上がりつつありますよね。
一之輔)きっかけとしてはね、いいと思いますよ。
黒木)私の落語との出会いは飛行機です。
一之輔)機内放送ですか?
黒木)はい。飛行機で、落語のチャンネルを聴いたのが最初です。1人で乗るときにイヤホンで聴くのですが、面白いところで笑いたいではないですか。でも隣の人は知らない人なので笑えませんよね。その状況で笑いをかみ殺すのが、快感なのですよ。
一之輔)快感なんですか(笑)。「笑いたいけど笑わない」という、「モヤッ」とした感じがいいのですか?
黒木)本当は「わはは!」と笑いたのですが、飛行機のなかだし、隣は知らない人だから笑えない。そういうなかでイヤホンで聴くというのが、私のなかでの落語との出会いです。
一之輔)私の落語もたまに機内放送で流してもらうことがありますが、落語を聴いている人は一定数いるのですよ。同じものが流れて聴いているわけではないですか。「笑ってるかな?」と気になりますよね。落語聴いていそうな人が笑っていると嬉しいですね。
黒木)そうなのですね。
一之輔)「それ、私です」と言わないですけどね、言いたくなりますよね。
黒木)落語は不思議なエンターテイメントですよね。
一之輔)お客さんの間口が広いですよね。子どもからお年寄りまでどんな人でも、日本語さえわかれば笑える。意外と「敷居が高い」と思われがちですけど、耳だけでイメージを膨らませていただければ笑えるという意味では、とてもいいものだなと思います。
黒木)声変えて、何役もやられるではないですか。絶妙な芝居で。
一之輔)演出、主演、言ってしまえば小道具や大道具はありませんが、それをイメージして、「ある」と見立ててやっています。1人でできるエンターテイメントとしては、いいものを選んだなという気はしますね。
黒木)だからこそ、不安や恐怖、いろいろなものを背負って、出ていらっしゃるのではないかなと思います。
一之輔)スベったら全部自分の責任。もしくはお客さんと意見が合わないということになります。そこで折り合いをつける感じですね。「きょうはダメだ」と。
黒木)スベることもおありなのですか?
一之輔)ありますよ、そんな。
春風亭一之輔(しゅんぷうてい・いちのすけ)/ 落語家
■1978年・千葉県生まれ。
■小学校時代の部活動・落語クラブで「弥次郎」を演じる。
■日本大学芸術学部放送学科入学し、すぐに落語研究会に所属。
■大学卒業後、春風亭一朝に入門。春風亭一朝に師事。
前座名は「朝佐久」。2004年、「一之輔」として二つ目昇進。
■NHK新人演芸大賞落語部門大賞、文化庁芸術祭大衆芸能部門新人賞受賞など、
数々の賞を受賞し、2012年、異例の21人抜きの抜擢で真打昇進。
■2012年、2013年に2年連続して国立演芸場花形演芸大賞の大賞を受賞。
■年間900席もの高座をこなしながら、ラジオ・テレビなど多方面に活躍。
■10月28~30日、落語会・独演会『2022落語一之輔~三昼夜ファイナル~』を開催。
番組情報
毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳