9月25日（日）、女優で声優の戸田恵子がパーソナリティを務めるラジオ番組「戸田恵子 オトナクオリティ」（ニッポン放送・毎週日曜14時～14時30分）に、番組最終回のスペシャルゲストとして声優・山寺宏一が出演。1988年から放送されている、テレビアニメ「それいけ！アンパンマン」で長らく共演する2人が、番組開始当時のこと、山寺がジャムおじさん役のオファーを受けた時のこと、2019年までジャムおじさん役を担当した故・増岡弘さんとの思い出など、収録の舞台裏を明かした。

アニメ「それいけ！アンパンマン」で戸田はアンパンマン役を、山寺はめいけんチーズ、カバお、かまめしどん、そして2019年からはジャムおじさん役など、多くのキャラクターを担当している。

■最初はチーズ役だけだった

山寺：本当にね、戸田さんには長いことお世話になっています。

戸田：1988年に「それいけ！アンパンマン」がスタートした当時のこと、覚えていますか？

山寺：覚えていますよ！

戸田：その時、私は31歳になるかならないかぐらいで、山ちゃんはまだ20代だったでしょ？

山寺：そう、まだ新人に毛が生えたような時で。やっと食べられるようになったか、ならないかぐらいの時で、まだ、鰻屋さんのバイトを辞めていなかったかもしれませんね。

戸田：ああ、鰻屋さんのバイトね。その時やまちゃんはチーズの役だけでね。

山寺：そうですね。

戸田：やまちゃんの還暦のお祝いをした時、「アンパンマンで育ちました」って挨拶をしてくれて……。チーズという役から、そのあと本当にいろんな役をやるようになって！

山寺：それは、致し方なくっていうのもありますよ。だって僕、「かまめしどん」とか「カバお」が出ない時は、チーズだけやって帰って行くわけですから。だから戸田さんに「ギャラどろぼー」って言われましたよ（笑）

戸田：ふふふ（笑）

山寺：チーズ役で「アンアン！」って3回鳴いて帰ったら、戸田さんが「あれっ、山ちゃん、今日は……。アンアン！ って、それだけ？ ギャラどろぼー（笑）」って言われましたよ！ だから今やっと、ちょうどいい感じなんじゃないですか？

戸田：いやいや！ たくさん、本当にたくさんやっていただいて、感謝の気持ちでいっぱいですよ！ 最近は、やまちゃんが“ジャムおじさん”の声も担当していて。

■元ジャムおじさん・増岡弘さんとの思い出

山寺：はい、担当させていただいています。戸田さんと僕で、増岡さんの家にお邪魔したりしましたよね。本当に、いろんなことを教えてくださいました……。

戸田：ジャムおじさんのオファーを受けた時、どうでしたか？

山寺：とりあえず代打として、増岡弘さんが卒業されるなら、誰かが決まるまではと思って。僕も増岡さんをずっとそばで拝見していたので、真似的なことはね。『自分に務まるのかな？』と思っていたんですけど、戸田さんが「やまちゃんがやらないなら、私、アンパンマンやめる」って言ったから。

戸田：あははは（笑）

山寺：あれで全て決まったんですよ。

戸田：私だけじゃなく、アンパンマンチームのみんなも、そう思っていたと思いますよ。

山寺：増岡さんは、（ジャムおじさん）そのものでしたから。本当に、生き方までね。

戸田：そう、増岡さんはジャムおじさんだったね。スタジオにいてくれる存在そのものがね。分からないことは、増岡さんに聞けば何でも分かる！

山寺：そう、優しくてニコニコして。ジャムおじさん役をやると決まって、増岡さんの“ジャムおじさん集”をスタッフさんに作って頂いて、そのDVDを毎日聞いて収録に行って。で、自分の中に入れて、やる、みたいなことを最初はやっていて。

戸田：うん、うん。

山寺：それで感じたのは、やっぱり笑顔で喋ることなのかな、って。特徴をなるべく残すとか、そういうこともするんですけど、それよりも心の温かさとか笑顔が大事なのかなって気付きました。

現在は「それいけ！アンパンマン」でいくつものキャラクターを担当して有名の山寺だが、初めはチーズ役だけで、飲食店でバイトもしていたという。戸田も昔のことを懐かしみつつ、「増岡さんだけじゃなくて、アンパンマンの出演者のみんなが、やまちゃんを頼りにしている。なんたってムードメーカーで、困った時は山寺宏一です！」と改めて活躍を労った。

この他にも番組では、山寺が出演するNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」のこと、脚本家・三谷幸喜から受けた無茶ぶり、戸田と山寺が日本語吹替版で出演する米人気ドラマ『マーダーズ・イン・ビルディング』についても語った。

また、2015年から放送された「戸田恵子 オトナクオリティ」はこの日が最終回。リスナーに感謝を述べつつ、充実していたというこの7年間を振り返り、戸田が最後の挨拶をした。

「ラジオでお喋りするというのは、元々大好きで、久しぶりにこのお仕事を頂いて。テレビでフリートークするのも楽しいけれど、ラジオだと直接そこにいらっしゃる人に話しかけられるみたいな、そういう感じがとても気に入っていて、楽しいお仕事でした。

三菱電機さんで（女優の）杏ちゃんと一緒にお仕事をして、杏ちゃんが元々やっていたラジオを、私がバトンタッチして、この番組を7年間やらせていただきました。そんなご縁もあり、杏ちゃんと本当に親しくさせていただくようになり、いろんな方とのご縁ができた番組です。

また機会があれば、ラジオを通してお喋りできればなと思っています。それでは、またどこかで。」