「その瞬間『ブラボーッ!』と」坂東彌十郎が語る、中村勘三郎とのニューヨーク公演の思い出

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黒木瞳がパーソナリティを務めるニッポン放送「あさナビ」(12月22日放送)に歌舞伎俳優の坂東彌十郎が出演。中村勘三郎さんとの思い出について語った。

「その瞬間『ブラボーッ!』と」坂東彌十郎が語る、中村勘三郎とのニューヨーク公演の思い出

「渋谷・コクーン歌舞伎『東海道四谷怪談』」舞台安全成功祈願 (左から)坂東彌十郎、中村勘三郎 撮影日:2006年03月03日 写真提供:産経新聞社

黒木瞳が、さまざまなジャンルの“プロフェッショナル”に朝の活力になる話を訊く「あさナビ」。12月19日(月)~12月23日(金)のゲストは歌舞伎俳優の坂東彌十郎。4日目は、中村勘三郎さんとの思い出と、日々のリフレッシュ法について---

黒木)市川猿翁さんのところに15年間いらして、このままでは、ということでお辞めになって、そこから中村勘三郎(※当時 勘九郎)さんに声を掛けていただいたというお話ですが。

坂東)猿翁さんのところを辞めて、準備をし始めようと思ったときに声を掛けていただきました。子どものころから可愛がっていただいていましたし、ことあるごとに、「一緒に芝居しような」と言っていただいていましたので、ありがたいことです。ご一緒して、勘三郎さんも海外公演をされました。

黒木)ニューヨークですね。

坂東)ニューヨークとベルリン、ルーマニアの方にも行きましたが、ご一緒しました。楽しくて、つい自分のやりたいことよりも、そちらに乗っかってしまっていたのですね。

黒木)ニューヨークはいかがでしたか?

坂東)いい経験でした。既存の劇場ではなくて、「平成中村座」を建てたので、お客様も江戸時代にタイムスリップさせてもらったという感じで、興奮なさっていましたね。

黒木)浅草のように、奥が……。

坂東)それを使って、うしろの開いたところから、夏祭りの逃げるシーンでニューヨーク市警の格好をした人たちが最後に出てくるのです。うしろから、現地で雇った役者さんたちには日本人の方も向こうの方もいらっしゃって、「フリーズ」と銃を構えて、ストップモーションで終わるのですが、その瞬間、お客様は総立ちですよ。「ブラボーッ!」と。

黒木)浅草で拝見したときも驚きましたが、ニューヨークでもそうだったのですね。

坂東)いい経験でしたね。

黒木)中村勘三郎さんからいろいろなことを学ばれたと伺いましたが。

坂東)あの方は有言実行なのです。あの方の生き方が好きだったので、亡くなったあと、私も有言実行にしようと考え方が変わりました。

黒木)亡くなってから何年も経ちましたが、寂しいですよね。

坂東)今年で10年ですか。早いですよね。

黒木)勘三郎さんも三津五郎さんも、本当に寂しいですね。

坂東)若いころ、一緒に飲みに行くと「お前の葬式、俺たちが葬儀委員をやってやるからな」と言われていたのです。ですから、告別式では、聞こえないようにそれぞれの方に「嘘つき」と言っておきました。

「その瞬間『ブラボーッ!』と」坂東彌十郎が語る、中村勘三郎とのニューヨーク公演の思い出

平成中村座を率いてニューヨークで公演を行う歌舞伎役者の中村勘九郎。リンカーンセンターに建てる仮設劇場のイメージ図を紹介 撮影日:2004年02月19日 写真提供:産経新聞社

黒木)話は変わりますが。彌十郎さんのプライベートは、山登りで足腰を鍛えて、気分もリフレッシュされていますが、どのような生活習慣をされていますか?

坂東)基本的にだらしない方なので、気を付けるようにしています。時間にもルーズですし。

黒木)歌舞伎俳優なのに? オンとオフで?

坂東)オフのときは、スイスなどに行ってしまえば、朝早く日の出も見ますし、きちんと生活できるのです。そうしないと、いくらでもだらしなくなってしまいます。

黒木)生活習慣で、かかさないことはありますか?

坂東)毎日一杯のビールですかね。

黒木)一杯で済むのですか?

坂東)ここのところはそうですね。次の日に何もなければワインをいただきます。

黒木)ワインお好きなんですよね。

坂東)家族が誰も飲まないので、1人で開けて飲みます。ワインは開けたら一本飲まないともったいないような気がして。最近は3日間くらいで飲むようにしていますが。

黒木)赤ワインなら開けても。

坂東)赤なら置いておけますが、言い訳で一本飲んでしまうのです。

「その瞬間『ブラボーッ!』と」坂東彌十郎が語る、中村勘三郎とのニューヨーク公演の思い出

坂東彌十郎/ 歌舞伎俳優

坂東彌十郎(ばんどう・やじゅうろう)/ 歌舞伎俳優
■1956年(昭和31年)5月10日・東京都出身。屋号:大和屋
■往年の銀幕の大スター・初代坂東好太郎の三男として生まれ、昭和48年5月歌舞伎座『奴道成寺(やっこどうじょうじ)』の観念坊で坂東彌十郎を名のり初舞台。
■昭和53年2月『文七元結(ぶんしちもっとい)』の鳶頭役で名題(なだい)昇進。
■昭和58年から15年間、三代目市川猿之助の門下に入り、猿之助一門の若手で構成する21世紀歌舞伎組のメンバーとして活躍
■猿之助演出のオペラ「コックドール」等で演出助手を務め、坂東玉三郎の「夕鶴」では演出も務めた
■コクーン歌舞伎、平成中村座など、十八代目中村勘三郎との共演も多く、平成中村座の海外公演にも参加
■2014年坂東彌十郎・新悟自主公演「やごの会」を立ち上げ、日本橋劇場にて第一回公演を開催。また2016年にはフランス、スイス、スペインの3ヵ国を巡る「やごの会」ヨーロッパ公演を開催した
■映像作品でも活躍され、2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では北条時政役を演じ、TBS「クロサギ」では主人公の復讐相手となる詐欺師を演じている

番組情報

黒木瞳のあさナビ

毎週月曜〜金曜 6:41 - 6:47

番組HP

毎朝、さまざまなジャンルのプロフェッショナルをお迎えして、朝の活力になるお話をうかがっていく「あさナビ」。ナビゲーター:黒木瞳

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