経済アナリストのジョセフ・クラフトが1月31日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。防衛増税について解説した。
岸田総理大臣が防衛財源確保に理解求める
岸田総理大臣は衆議院予算委員会で、防衛費増額に伴う増税に関し「財源調達の見通し、景気や賃金などの動向を踏まえて、税制措置の実施時期を柔軟に判断する」と表明した。また財源確保について、増税に理解を求めた。
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飯田)きのう(1月30日)から予算委員会で本格的な論戦が始まったところですが、増税という言葉が出てからずっと揉め続けていますね。
クラフト)理念の問題で、確かにインフレ状況で増税は厳しいのですが、では果たして、それを将来世代に回すのかと。どちらがいいのかという議論です。もう1つは、4月に統一地方選があるので、野党としても増税を政争にしていく考えがあり、追及しているのだと思います。
飯田)実際に、防衛費を増やして「日本をどう守るのだ」ということより、増税の話や、反撃能力について「これは先制攻撃ではないか」というところなど、昔からの議論になってしまうのですよね。
米空軍の内部メモにある台湾有事は2025年 ~「なぜ防衛費を増額しなければならないのか」を国民にわかりやすく説明するべき
クラフト)米空軍の内部メモで、台湾有事を2025年と予想するものが出てきています。増税問題も大事ですが、「なぜ防衛費の増額が必要なのか。それでどうするのか」をもう少し深く掘り下げ、国民が理解できるようにするべきだと思います。増税ばかりの議論なのは残念です。
飯田)2025年と言うと、あと2年後ですよね。
クラフト)日米両政府は相当な危機感を持って動いています。だから防衛費を増額するのです。ただ、増税というのも大事な問題なので、政府には議論した上で、世論が納得できるように説明していただきたいと思います。
少子化対策は増税ではない方向に進むのでは
飯田)予算委員会で言うと、昨日は子育て支援や少子化対策の議論が大きかったですね。
クラフト)防衛費の増税があまりにも議論になってしまったがために、おそらく少子化対策は増税しない方向で進むのではないでしょうか。
飯田)少子化対策は増税ではない方向に。
配偶者の「130万円の壁」を200万円まで上げられれば子育て支援にもなり、労働供給にもなる
クラフト)いろいろな案が検討されているけれども、1つはいわゆる社会保障費が掛かってくる「130万円の壁」です。補助金を出すのか、金額を引き上げるのか。それによって収入を高め、子育てにあてる策も考えられています。
飯田)130万円の壁。特にサラリーマン家庭では奥さんの場合が多いと思いますが、配偶者の方で産後、被保険者という形で社会保障を受ける人に対し、年収130万を超えてしまう場合は、自分の分の国民年金を払わなくてはならない。そのラインでだいたい調整するため、パートは12月になるとなかなかシフトが組めないことになる。
クラフト)コロナ禍と円安で外国人労働者が入りづらくなっています。労働不足のなかでは、対策としても適用できるので、いままで130万円の収入だった人が170万円~180万円、あるいは200万円まで上げられることになれば、その分を子育てにあてられる。なおかつ労働力不足の供給になるため、期待できるのではないでしょうか。
飯田)世帯年収としても、いまのインフレを上回るくらいのアップが期待できる。
クラフト)最も効果的なのではないかと思います。
飯田)法律改正ではなく、政令で対応できるのでしょうか?
クラフト)おそらく政令でいけるはずです。こういう案を3月までに出して、6月までに法改正が必要な部分に関しては議会で議論する感じだと思います。
医療費や学費などの負担軽減の財源は増税ではなく、歳出整理からか
飯田)コロナ禍以前、労働力が不足したときにも議論になりましたけれど、最近は沙汰止みになっていました。
クラフト)さすがに国税庁も容認せざるを得ない状況だと思うので、政府としては、これを機に一気に策をあげていくのではないでしょうか。その他、医療費や学費などの負担軽減も模索している状況ですが、ポイントとして今回、こういう財源は増税に頼らず、歳出整理で進めるのではないかと思います。
飯田)実は具体的な準備を考えている段階かも知れない。
クラフト)いま出してしまうと、おそらく批判や攻撃を受けるので、もう少し調整して3月に出し、議論するという戦略ではないかと思います。
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