キャスターの辛坊治郎が3月29日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。中国でスパイ容疑により日本人が相次いで拘束されていることを巡り、「日本政府はもっと強い態度で日本人を取り戻すべきだ」と苦言を呈した。
林芳正外相は今週末にも中国を訪問する方向で調整に入った。中国当局に今月、反スパイ法違反の容疑で拘束されたアステラス製薬の日本人社員の早期解放を求めるとみられる。日本の外相の中国訪問は約3年3カ月ぶりとなる。
辛坊)問題は、アステラス製薬の日本人社員が拘束された理由が分からないことです。中国は2014年、反スパイ法をつくりました。しかし、何がスパイ行為にあたるのかが、よく分からないんです。
中国の反スパイ法の条文には、いくつか具体的なスパイ行為を挙げていますが、最後には「その他のスパイ活動を行うこと」といったことが書いてあります。これでは、具体的なスパイ行為をわざわざ書いている意味がないです。要するに、中国当局が「スパイだ」と思えば、何でもスパイに行為なるということです。
14年以降、中国当局にスパイ容疑で拘束された日本人は、今回拘束されたアステラス製薬の日本人社員も含め、少なくても17人います。このうち、刑期が満了して釈放された方が6人。取り調べなどの途中で解放された方が5人。拘束中に亡くなった方も1人います。そして、いまだに拘束中の人が5人もいるんです。その現在も拘束中の5人も、なぜ拘束されたか分からない状況です。日本の裁判は基本的に公開で行われますから、拘束された理由が分かりますが、中国の裁判は密室で行われるため、分かりません。
中国に出先を持つ日本企業は困っています。そこで働く日本人社員らが何をしたら拘束されるか分からないからです。ある日突然、「スパイだ」と拘束され、弁護士もつけられずに暗い場所に押し込まれて、最終的に懲役刑を宣告される恐れもあります。
日本政府は拘束された日本人を本気で助けなければいけません。にもかかわらず、「林外相の訪中を調整」とは何事ですか。中国になめられているとまでは言いませんが、腰が引けています。北朝鮮に拉致されている日本人に対する姿勢とほぼ変わらないという感じがします。日本政府は、もっと強い態度で日本人を取り戻す努力をすべきです。
こうした状況が続くことは、中国経済にとってもよくないと思います。中国で経済活動をする場合、当然ながら許認可権を持っている立場の人にアプローチしようとします。しかし、このように理由も分からずスパイ容疑で拘束されるようでは、日本人としては怖くて、中国でまともな経済活動はできません。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)