キャスターの辛坊治郎が6月20日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。北京の人民大会堂で19日に行われた中国の習近平国家主席とアメリカのブリンケン国務長官による会談の様子を巡り、「写真を見た。国際慣例に反する今の中国はヤバい。恐怖に近いものを感じた」と解説した。
中国を訪れたアメリカのブリンケン国務長官は19日、北京で外交を統括する王毅・共産党政治局員と会談したのに続き、習近平国家主席と会談を行った。会談後には北京で記者会見を行い、「米中関係に前向きな一歩があった」と述べた。
辛坊)こんな座席の配置は見たことがないですね。一般的にこうした会談では向かい合わせに座るか、隣同士に座るのが国際慣例です。会談の様子を伝える写真を見ると、向かって左側にブリンケン国務長官らアメリカの出席者、右側に王毅・共産党政治局員ら中国の出席者が座っています。そして、中央の一番奥にある、いわゆる「お誕生日席」に習近平国家主席が1人で座っています。つまり、ブリンケン国務長官は習国家主席から見て右斜め前の席です。この扱いは、国際慣例上からすると、あり得ないです。
そもそも、今回の会談は習国家主席からすると、どちらかといえば「アメリカを受け入れてやったんだ」という感じなのでしょう。逆に、アメリカは「今は、中国との関係をこれ以上、悪化させたくない」というのが本音だと思います。アメリカとしては「緊張感を高めると、習国家主席は本気で台湾を併合しにかかるのではないか」と危惧しているはずです。そうなると、アメリカはウクライナ、台湾の両面で、ロシアと中国に立ち向かわなければならなくなります。
とはいえ、アメリカの各長官の中で最も格上の国務長官を迎える習国家主席が、「自分が王様だ」と言わんばかりに上座に座し、ブリンケン国務長官を下座に配するというのは、いかがなものかと思います。ちなみに、中国では古くから、丸テーブルが発達してきました。丸テーブルにも上座、下座はありますが、四角いテーブルよりも曖昧にできます。
左右の配置についても、偉い人を基準に左手側が右手側より格上となります。これは中国も日本も同様で、日本では左大臣が右大臣より格上です。現在でも、例えば舞台上から見て左手側が上手、右手側が下手と呼ばれます。今回の会談ではどう捉えようが、ブリンケン国務長官が下手に座らされたことになります。これを見る限り、今の中国の国家体制はヤバいところにきてしまっているとしか思えません。
なぜなら、「この座席配置は国際慣例上、まずいのではないか」と進言できる人が国内にいないということですからね。また、習国家主席自身も当然のように「お誕生日席」に座しています。誰も怖くて何も言えない中国の今の状況というものが、この1枚の写真に象徴されています。この写真1枚だけを見ても、今の中国は何をするか分からない感じがします。もしかすると、中国は本気で台湾に武力統一を仕掛けるのではないかという恐怖感さえ覚えます。
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番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)