元内閣官房副長官で慶應義塾大学教授の松井孝治が7月21日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。日本の鮮魚などの輸入を実質的に停止した中国の処理水放出への対抗措置について解説した。
福島第一原発の処理水放出めぐり、中国が日本の水産物の輸入規制を強化
飯田)日本の水産物に対する中国の輸入規制について、一部の輸出が実質的に停止されています。福島第一原発の処理水放出に対してですが、安全性は国際原子力機関(IAEA)なども入って科学的に証明されています。
松井)「ここまでやっても、こんなことを言われるのか」という感じです。もう言い尽くされていることですから、改めて私が申すまでもありません。「では、中国の原発はどういうものを放出しているのか」を日本のものと比較すれば明らかです。
EUはIAEAの報告を受けて日本産食品の輸入規制を撤廃 ~中国が行っていることは非科学的であると国際世論のなかで明らかにするべき
松井)歴史の問題でいろいろ言われますけれど、いつまでも非科学的に議論されるのに対して、気の毒なのは魚業者の方々、あるいは中国で新鮮な日本の海産物や農産物を求めておられる方々です。どこまで話し合いで解決できるのか、西村大臣も頑張っておられますが。
飯田)西村経済産業大臣。
松井)EUは今回、IAEAの報告をしっかりと受け止め、日本産食品の輸入規制を全面的に撤廃しました。国際世論のなかで、中国の行っていることがどれほど無理難題なのか、きちんと明らかにしていくしかないと思います。
情報戦になっている処理水問題 ~政府は国際世論に訴えていかねばならない
飯田)国際世論などを考えると、情報戦のような状態になってきていますね。
松井)だから油断できないのです。「非科学的」と一言で言っても、香港を含めて中国の影響力により、いろいろな国々がそういうことを言い始めていますから、情報戦としては大事です。
飯田)そうですね。
松井)(処理水の海洋放出に関しては)日本のなかでの世論形成も含め、とても丁寧に進めてきた。それは震災の教訓があるから当然なのですが、他方では、いろいろな人たちの合意を得て初めて何かができるというやり方に対し、逆にごねてしまう人たちはごね得と言うか、政治的なプロパガンダに使われている側面もあるわけです。
飯田)プロパガンダに。
松井)昔、輸入規制において非関税障壁がありましたけれど、安全を理由にしたまったく非科学的な輸入制限です。政府はきちんと国際世論に訴えていかなくてはならないと思います。
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