政策アナリストの石川和男が1月18日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。このところ関係改善に向けて潮目が変わったと報じられる日中関係の現状と今後について、中国情勢に詳しいジャーナリストの近藤大介氏と議論した。
石破茂首相と中国の習近平国家主席は昨年11月、訪問先のペルーで初めて会談した。1年ぶりの日中首脳会談では「戦略的互恵関係」を包括的に推進し、「建設的かつ安定的な関係」を構築することを改めて確認。さらに、昨年末12月25日には岩屋毅外相と王毅外交部長が北京で第2回「日中ハイレベル人的・文化交流対話」を行い、10項目で合意に達するなど日中関係改善に向けた動きが加速している。一方で、日本政府は尖閣諸島をめぐる東シナ海情勢や中国軍機の領空侵犯など中国軍の活動を「極めて憂慮している」と表明している。
潮目が変わったとも報じられる日中関係について、番組にゲスト出演した中国情勢に詳しい明治大学国際日本学部講師でジャーナリストの近藤大介氏は「中国からすると(石破政権は)福田康夫政権(2007年9月-2008年8月)以来の望ましい政権とみている」と指摘。「石破首相をはじめ、岩屋外務大臣、林官房長官、森山幹事長と外交でも全面に出てくる“4トップ”が割と中国に理解のある政治家で、(中国側は)非常に好ましく思っている」と述べた。
また、日本に対する外交姿勢が軟化してきている例について近藤氏は「例えば去年8月26日に起こった領空侵犯について、内々ではお詫びではないが『もう二度とあのようなことは起こさないから』と釈明してきたり、ビザなしで訪中できる期間を15日間から30日間に延ばすことを一方的に宣言するなど、いくつか(軟化のサインが)出てきている。さらに、昨年末12月25日に岩屋外相が訪中し、今月は森山幹事長が訪中。2月には王毅外交部長が来日予定で、その後習近平氏の来日も考えているなど首脳往来が活発になってきている」と語った。
そのうえで、日本への態度が変化してきている背景について「2つ理由があって、1つは中国の経済状況がものすごく悪く、とにかく隣国日本からの投資を増やしてもらいたいため。もう1つが今月20日に発足する米トランプ政権が中国に対してものすごい強硬姿勢のため、周辺国を1か国でも多く味方につけておきたいという“防衛本能”からだ」と言及。
今後については「習近平氏が軍を完全に掌握しているのかよくわからない状況。どんどん軍幹部がクビになるなどしており、尖閣に対する挑発や領空侵犯など軍の方が暴走して、どんどん押し込んでくる可能性は非常に高くある」と述べ、「いくら政府間の関係がよくなっても、来るものは来る。そういうことをよく把握して、警戒を怠らず毅然とした態度を取りつづける一方で、経済貿易は戦略的互恵関係に基づきお互いうまく発展させていくのが望ましい」と語った。
石川は「石破政権は中国に対して超ゆる(ゆるい)。これはいい関係じゃないと思う。どこかで距離をもたなきゃいけない。そういう意味ではどっぷり浸かりすぎ。これは特に中国という国に対してはあまりよくない。国会では、与野党ともに金銭スキャンダルの追求ばかりでなく、そういうところをしっかり議論してもらいたい」と注文をつけた。
番組情報
政策アナリストの石川和男が、暮らしに欠かせないエネルギー問題の様々な“見方”を提起。
日ごろ、テレビや新聞などで報じられることが少ない専門家ならではの視点やデータを駆使して、歪んだ情報を正し、あなたのリテラシー向上をお手伝いします。
※2024年4月6日(土)までは『石川和男のエネルギーリテラシー』