政策アナリストの石川和男が12月7日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送Podcast番組「石川和男のポリシーリテラシー」に出演。今後、拡大が予想される電力需要と再稼働に向けた地元同意が焦点となっている東京電力柏崎刈羽原子力発電所(新潟県)について専門家と議論した。
東京電力柏崎刈羽原子力発電所が立地する新潟県柏崎市で11月17日、任期満了に伴う市長選が行われ、無所属で現職の桜井雅浩氏が3選を果たした。桜井氏は原子力規制委員会が認めた6号機と7号機の再稼働を地元自治体として容認する考えを表明しており、態度を明らかにしていない花角英世知事の判断が今後の再稼働に向けた地元同意の焦点となっている。一方、経団連の十倉雅和会長は11月21日、柏崎刈羽原発を視察し原子炉建屋などの安全対策を確認。視察後には「地元の理解を得られることを大前提に、早期に再稼働できることを期待している」と述べている。
番組にゲスト出演した国際環境経済研究所理事・U3イノベーションズ共同代表の竹内純子氏は、今年6月に現地を訪れており「正直ここまでコストをかけて、何重にも安全対策をしてと感じた。また、今の柏崎刈羽原発の所長は“フクシマ50”のひとりと言われていて、福島の事故を経験した方。彼の話を伺うと、もう二度と部下を殺してしまうかもしれない、死なせてしまうかもしれないという思いはしたくないので、自分自身が少しでも不安があれば再稼働をさせてほしいとは申し上げないと断言しておられた」と明かし、再稼働に向けた安全対策が万全に整っているとの印象を述べた。
そのうえで「(2011年の東日本大震災前までは)日本の電気の3割弱をまかなっていた原子力発電が一時はゼロになった。サッカーチームでいうと11人いる中の3人ぐらいがメンバーから欠けた状態になった」と振り返った。その後も思うように原発の再稼働が進まない中、天候に左右されやすい再生可能エネルギーや燃料の高騰リスクがつきまとう火力発電で電力需要を何とかまかなっているものの、原発再稼働が進む西日本に比べて東日本エリアの電気代は2割ほど高いと指摘。電気料金が高い地域からは「産業が流出する危機に直面している」と言及した。
また竹内氏は、国内各地で急速に新設計画が進むデータセンターは大量の電気を必要とすると指摘。「すでに東京電力に対して、ここにデータセンターを作りますという申請を既に出されてある分だけで、必要とする電気の量は2030年までに600万kW。あと5~6年で原子炉6基分の電気が新たに必要となる。これは柏崎刈羽原発の1~7号機まですべて再稼働してトントンかなというボリューム」と明かし、5~6年という短い期間でいかに電力需要をまかなっていくかが喫緊の課題だと述べた。
石川は「今後、今日話題にあげた柏崎刈羽原発をフル稼働させてもおぼつかないぐらいの電力量が必要になるので、再稼働はきちんと進めていくべき。一方で、電気を使う需要家側も、こういうところで電気を作ってくれているんだということをしっかり認識することも大事だ」と締めくくった。
番組情報
政策アナリストの石川和男が、暮らしに欠かせないエネルギー問題の様々な“見方”を提起。
日ごろ、テレビや新聞などで報じられることが少ない専門家ならではの視点やデータを駆使して、歪んだ情報を正し、あなたのリテラシー向上をお手伝いします。
※2024年4月6日(土)までは『石川和男のエネルギーリテラシー』