「日朝首脳会談」の実現による「起死回生」の思惑も透ける岸田総理
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ジャーナリストの有本香が7月25日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮の国内情勢について解説した。
コロナ禍前から制裁のために海外での出稼ぎ労働ができなくなった北朝鮮 ~外からお金が入ってこない状況に
飯田)北朝鮮の国内情勢についてですが、コロナ禍もあり、経済的な部分の送金なども止まっていると言われます。どうご覧になりますか?
有本)北朝鮮にはいろいろな稼ぎ口があったと思うのですが、コロナが到来する前に出稼ぎ労働者の多くを止められました。
飯田)コロナ前に。
有本)東ヨーロッパの国々やロシアにも、多くの労働者が入っていました。コロナ感染が始まる前年にロシアへ行ったのですが、「こんなにいるのか」という感じで、工事現場やさまざまなところで北朝鮮の労働者が働いていました。
飯田)北朝鮮の労働者が。
有本)しかし制裁を掛けられ、みんな帰されることになった。そのあとにコロナで移動できない状況になったので、やはり外からお金が入らず、厳しいのでしょうね。
制裁とコロナの影響で窮乏する北朝鮮
飯田)一時期はいろいろなところに「北朝鮮レストラン」がありましたね。
有本)「北朝鮮レストラン」には行ったことがあります。北朝鮮の女性がサービスしてくれます。
飯田)そのようですね。
有本)あれも外貨稼ぎだったわけですが、そういった活動が一切できなくなった数年間でもあるわけです。
飯田)それがいまになって、かなり顕著になってきているのでしょうか?
有本)制裁も効いたでしょうね。制裁とコロナが。
飯田)外貨稼ぎについては、ロシアによるウクライナ侵略に関して、兵器や人員を求めているというような報道もありますね。
有本)そういうことも言われていますが、あまりうまくいっていないようです。軍の人たちにもいろいろなものが回りにくくなっていると言われています。
飯田)いままでだと、軍は優遇されてきましたよね。
有本)真っ先に優先されてきました。
拉致被害者を取り戻す以前に北朝鮮との関係修復を期待する人が進める日朝間の調整
有本)日朝首脳会談があるやなしやと言われていますが、そのような話もあることはあるのです。一定方向のパイプがあるからなのですが。
飯田)一定方向のパイプが。
有本)日本側にも日朝の国交正常化を進めたい人たちがいるのです。つまり、「拉致被害者を取り返す」ということ以前に、「北朝鮮との関係を修復できるのではないか」と期待している人たちがいる。
飯田)拉致被害者を取り戻す以前に。
有本)個人的には、いくら何でも優先順位が違うだろうと思うのですが、そのような界隈が少し騒がしくなっているところを見ると、従来からのパイプがかなり密になっているのかなと感じます。
支持率を上げるためにも日朝首脳会談を行いたい岸田総理
有本)岸田総理ご自身も繰り返しおっしゃっていますが、日朝首脳会談をやりたいのです。
飯田)「条件を付けずに首脳同士で会う」と言っていますね。
有本)歴史的なことにはなりますからね。それと、そんなことばかり考えているわけではないと思いますが、裏にあるのは選挙です。いま支持率がどんどん落ちていて、選挙をしようにもやりにくくなっています。そこで起死回生を狙いたい思惑もあるのではないでしょうか。
飯田)外交的なところで点を上げる。
有本)可能性が全然ないわけではないですが、だからと言って小泉さんがやったときのように、特定のところに絞り込んで進めているわけではないという情報もあります。
飯田)なるほど。
有本)期待感がお互い高まっている界隈があり……。
飯田)そこがしきりに情報を出している。
有本)言っているのではないかなと思います。誰かキーパーソンを決めて、両方がきちんと話を詰めている段階までは至っていないのではないかと、自民党の多くの方々も言っています。
期待感だけでは何も動かない
飯田)あのような独裁国家は、最終的に金正恩氏の「GO」がなければ、何も動かないですよね。
有本)いまの岸田政権も、アメリカのあと押しがなければ無理でしょう。
飯田)そこを差し置いてまで動くわけにはいかない。
有本)トランプ政権時代は、トランプ氏が乗り出して2回の首脳会談が行われました。そういう世界的な動きがあるなかで、日本が動けるかどうかということになると思います。日本が単独で動き、こちらが取り返したいもの、「得たいものだけをきっちり得られるか」と言われると、なかなか厳しい状況でしょう。
飯田)これから先、期待感だけでは何も動きませんよね。
韓国との対話を重視する日本
有本)ただ、いま韓国の世論は変わってきています。韓国の主要マスメディアや政治の力は、世論に対する影響力が強いのか、前政権のときには反日感情がとても強かったのですが、さすがにそんなことをしている情勢ではないという危機感があるのでしょう。だいぶ変わってきています。
飯田)韓国の世論が。
有本)日本も、いままでの懸案事項を日本側が全部折れる形で、韓国との対話を重視しています。本当に危機的状況であることは間違いないのです。
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