キャスターの辛坊治郎が10月18日、自身がパーソナリティを務めるニッポン放送「辛坊治郎　ズーム　そこまで言うか！」に出演し、先週末に兵庫県西宮市の新西宮ヨットハーバーで開催されていたイベントを訪れた際のエピソードを披露。「4億円のヨットが出展されていた。日本はものすごい勢いで格差が広がっている」と指摘した。

うめきた2期地区開発事業「グラングリーン大阪」現地公開　2023年09月25日　大阪市北区　写真提供：産経新聞社

辛坊）12日の番組内で、JR大阪駅の北側で開発が進められている「うめきた2期（グラングリーン大阪）」の北側に建設中の高層分譲マンションの最上階にある最高額の部屋が25億円になるというニュースをお伝えしました。これまで大阪で最も高額なマンションは堂島ホテルの跡地に建つもので、最上階で10億円を突破していました。いずれにせよ、私のような者にとっては、10億円でも26億円でも一緒です。どうせ買えませんからね。ところが、買える人がいるわけです。

そんな中、先週末に新西宮ヨットハーバーで開催されていたイベント「関西フローティングボートショー」へ行ってきました。私がヨットを置いているのは淡輪ヨットハーバー（大阪府岬町）という比較的庶民的なところですが、新西宮ヨットハーバーはちょっとした高級ヨットハーバーです。艇置料金は関東の逗子や葉山に比べれば安いですが、関西では突出して高いです。その新西宮ヨットハーバーで開催されていたイベントで、衝撃的な体験をしました。

入場は無料でしたが、驚きました。出展されているヨットを見ていたんですが、担当者に価格を聞くと「4億円です」という答えが返ってきました。思わず心の中で「誰が買うねん」とツッコミを入れてしまいました。私はこのイベントに毎年、足を運んでいるのですが、私でも買えそうな価格帯のヨットがあるんです。ところが、いくら何でも4億円は無理ですよ。それでも、買える人はいるんですね。商売になっているわけですから。

ものすごい勢いでこの国の格差が広がっているのではないかと思い、統計を調べてみました。改めて、びっくりしました。日本の格差は今、とてつもなく開き始めています。

例えば年収です。1つのサンプルとして、100万円から1100万円まで100万円きざみで11人の年収があるとします。この平均値は600万円です。一方、100万円から1000万円までの10人は100万円きざみで年収が変わらず、1100万円の11人目だけが1億円を超えたとします。すると、平均値は1000万円を超えます。こうなると、100万円から1000万円までの10人は全員が平均値を下回ることになってしまいます。平均値とはこういうものであり、1人だけ突出して高額な年収の人間がいると、その人間に引っ張られてしまうわけです。

平均値に対し、中央値があります。中央値は、ちょうど真ん中の人間の年収を指します。ですから、先述したサンプルでいうと、11人目の年収が1100万円から1億円に大幅アップしても、中央値は600万円で変わりません。この中央値であれば、実感に近いはずです。

ただ、そこでまた驚きました。調べた統計によると、個人年収にしても世帯年収にしても中央値だと、この20年で100万円以上下がっているんです。つまり、国民の多くがものすごく貧しくなっているにもかかわらず、突出して裕福になっている人間が一部に現れているということです。日本の経済格差は大変なことになっていることが、統計からは明らです。

「今年は年収が上がっている」という発表がありますが、先述の統計からは、それがまやかしであることが分かります。メディアは、こうした日本の実態をしっかりと報道しないといけません。併せて「何やってんだ、岸田文雄政権」という感じです。