米バイデン大統領と中国・王毅外相の面会 会うのは“形式上”サリバン補佐官

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外交評論家で内閣官房参与の宮家邦彦が10月27日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。バイデン大統領と王毅外相の面会について解説した。

米軍横田基地に到着し、大統領専用機に乗り込むバイデン米大統領=2022年5月24日午後、東京・米軍横田基地 写真提供:産経新聞社

米軍横田基地に到着し、大統領専用機に乗り込むバイデン米大統領=2022年5月24日午後、東京・米軍横田基地 写真提供:産経新聞社

アメリカのバイデン大統領が中国の王毅外相と面会か

アメリカのバイデン大統領が、ワシントンを訪れている中国の王毅外相と10月27日にも面会する見通しだと、さまざまなメディアが報じている。中国の外交トップの訪米は2021年3月以来となる。

飯田)王毅外相はブリンケン国務長官と26日、ワシントンで会談したことが報じられています。これが米中首脳会談に向けた最終調整ではないかと言われていますが。

王毅氏が会うのはあくまでもサリバン補佐官

宮家)アメリカの大統領が外国の外相レベルと公式に会うことは、ほとんどありません。私の知る限り、写真もないはずです。格下ですからね。

飯田)撮影したりもしない。

宮家)王毅さんは元外相で、国務委員になり、政治局員になり、党の外交トップになって、外相を1回辞めたのです。私と同じ年齢で、私より8日だけお兄さんなのですが。

飯田)誕生日が近いのですね。

宮家)王毅さんがホワイトハウスへ行くとしたら、おそらくサリバン補佐官に会いに行くのでしょう。

バイデン大統領が格下の外相とメディアを入れて握手する写真は形式上、出ないはず

飯田)27日に会うと報じられています。

宮家)そこにバイデンさんが「ヒョイ」と顔を出す。こういうやり方が普通だと思います。

飯田)補佐官はホワイトハウスで働いているから。

宮家)「少し寄ってみたのだけれど」と言ってバイデンさんがサリバンの部屋に入り、実質的に会談するというやり方だと思います。今回公式の写真が出るかどうかを見てください。メディアを入れて王毅さんとバイデンさんが2人で握手する写真が出たら、おそらくいままでとは違う扱いになるはずです。私の見立てが間違っていなければ。

飯田)外相として扱うというよりは、政治局員、かなり高位の人間として。

宮家)でも、私はそんなことをするわけがないと思います。

飯田)プロトコル上そうではない。

米軍横田基地に到着し、大統領専用機に乗り込むバイデン米大統領=2022年5月24日午後、東京・米軍横田基地 写真提供:産経新聞社

米軍横田基地に到着し、大統領専用機に乗り込むバイデン米大統領=2022年5月24日午後、東京・米軍横田基地 写真提供:産経新聞社

目的はお互いの信頼醸成措置

宮家)それは形式上の話ですが、中身はどうかと言うと、中身はあまりないと思います。これだけ拗れに拗れて、意見が違うところはたくさんあるけれど、意見が一致するところはほとんどないのだから。

飯田)一致する意見はないのに。

宮家)では、なぜ会うかと言えば、お互いの信頼を醸成する措置です。お互いに疑心暗鬼で何を考えているかわからないと困るから、疑心暗鬼を取り除くため、そして判断ミスをしないためにも、とにかく会って対話はする。

飯田)信頼醸成措置として。

宮家)中国が言うことは、いつも同じだと思うけれど、それでも微妙に変えてくるかも知れない。この種の会談では一生懸命メモに取って相手の発言を勉強し、「やはり変わっていないな」と確認する。中国も同じように分析しますよ。米中関係は、いつ変になるのかわかりませんから、この種の対話は定期的に行っていただきたいですね。

首脳会談をしても大きな進展があるわけではない

宮家)ただし、目的はあくまで会って信頼を最低限持ち合うことであって、何かそこで大きな進展や政策変更が生まれとは思いません。

飯田)首脳会談もその流れのなかで行われる。

宮家)その通りです。会って中国側が「わかりました。これからは心を入れ替えます」などと言うわけがありません。そこはあまり期待しない方がいいけれど、会わなければ本当に険悪になってしまいます。ただでさえ南シナ海では中国空軍の戦闘機がわずか6メートル先まで米軍機に接近したのですから。実に恐ろしい行為です。

飯田)中国機が米軍機に。

宮家)それらを踏まえれば、やはりトップレベルで意思疎通をしておかないといけない、下の人が何をするかわかりませんからね。大変危険なことになるし、習近平さんに正しい情報が上がっていないかも知れませんからね、独裁者には情報を正しく伝える必要があります。

飯田)直接。

宮家)プーチン大統領の失敗は、独裁者になりすぎて正しい情報が入ってこなくなり、正しい判断ができず、ウクライナ侵攻に至ってしまったことです。

飯田)アメリカは来ないと踏んで。

宮家)もしくは早く勝てると思った。しかし、そうではありませんでした。日本としては東アジアの隣人にも同じような間違いをして欲しくない、ということです。

 

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