「正直に勝る武器はなし」模擬謝罪会見の体験談を芸人が披露
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唯一無二の体験談を語るドキュメンタリー芸人のコラアゲンはいごうまん氏が12月18日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。危機管理コンサルティング会社が行う模擬謝罪会見の体験談を披露し、「謝罪会見では『正直に勝る武器はなし』ということを学んだ」と語った。
コラアゲン)ある危機管理コンサルティング会社が行っている模擬謝罪会見を体験させていただいたことがあります。参加費は何と145万円もします。対象が主に法人なので、高額なんですね。僕はドキュメンタリー芸人の活動の一環として体験させていただきたいとお願いしました。すると、僕が当時所属していた劇団「ワハハ本舗」の公式グッズであるタオルを謝礼として差し上げることで、快く参加を許していただきました。
参加すると、まずヒアリングが行われます。何をしている企業、人なのかを尋ねられるんです。そのうえで、起こり得る可能性のある不祥事が台本にまとめられ、この台本を基に模擬謝罪会見に臨みます。
当時、僕はワハハ本舗内でちょっとした問題を起こした後でした。インターネットの生配信番組で、ワハハ本舗の演出家である喰始(たべ・はじめ)さんをゲストにお招きしたときのことです。喰さんは、僕の恩人なので番組内でお礼を申し上げたかったのですが、結果として大げんかになってしまいました。
僕が全面的に悪いんですよ。何があったかというと、喰さんが一方的に話したため、話す間がなくなってしまった僕はすねて黙り込んでしまったんです。すると、僕の態度にキレた喰さんも黙り込んでしまいました。2人とも黙り込んだまま、その様子を十数秒間、配信してしまったんです。
この失敗談を模擬謝罪会見の担当者にお伝えしました。担当者は「いい失敗談を持っていますねえ。攻めがいがあります」と言うんです。さらに、「その番組は何人が見ていましたか。多ければ多いほど、こちらは責めることができます」とも言うんです。ところが、視聴者は4人しかいなかったんですね。すると、担当者は「4人なら、会見を開かなくても、誤りに行ける人数です」とトーンダウンしてしまいました。僕は「そうおっしゃらずに体験させてください」と改めてお願いしました。
こうして、模擬謝罪会見の体験です。僕が謝罪を終えると、いよいよ質疑応答になります。「あなたはいい年齢なのに、なぜすねたんですか」「お世話になった方がたった一度ミスをしたくらいで、あなたは全否定するんですか」「足を洗ったほうがいいんじゃないですか」。担当者が、ガンガンに攻め込んできます。
さらに、「批判の矛先が親に向けられますよ。親に悪いと思わないですか」「今回の一件で、ワハハ本舗内にあなたの居場所はなくなったことにお気づきですか。キャリアはある、プライドだけは高い。そんな人間は扱いにくいですよ」と散々な言いようです。最後には、「あなたは駄目な人です」ときました。「それ、質問ちゃうやん。総括やん」と心の中でツッコんでいました。
僕はこのとき初めて思い知りました。それまでネタにしていましたが、不祥事で号泣する政治家の気持ちが分かったんです。僕も心の中で大泣きしましたよ。全人格を否定され、逆ギレしたくなるような気持ちになりましたが、「怒ったら駄目です」と担当者から指導されていましたから、何も言い返しませんでしたが…。これが模擬ではなく本当の謝罪会見だとしたら、失言する感覚も分からなくはありませんでした。
模擬謝罪会見は体験しておいてほうがいいですよ。謝罪を正しく行うための方法はいろいろあるそうですが、危機管理コンサルティング業界で最も一番大事にされている言葉を担当者に教えていただきました。それが、「正直に勝る武器はなし」です。謝罪の場で隠し事をするから、必ず二の矢、三の矢が飛んでくるのだということを学びました。
番組情報
辛坊治郎さんが政治・経済・文化・社会・芸能まで、きょう一日のニュースの中から独自の視点でズームし、いま一番気になる話題を忖度なく語るニュース解説番組です。
[アシスタント]増山さやかアナウンサー(月曜日~木曜日)、飯田浩司アナウンサー(木曜日のみ)