北朝鮮との技術協力はロシアの弱さの表れ
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地政学・戦略学者の奥山真司が1月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。北朝鮮の核・ミサイル開発をめぐって開かれた日米韓担当高官による協議について解説した。
北朝鮮をめぐる対応について、日米韓の担当高官がソウルで協議
核・ミサイル開発を続ける北朝鮮をめぐり、日米韓の担当高官による協議が1月18日にソウルで開かれた。日本の外務省の発表によると、北朝鮮による弾道ミサイル発射などの動きが「地域の安全保障にとって重大かつ差し迫った脅威」だとする認識を改めて共有した。
飯田)弾道ミサイルを次々と撃ってくるし、先日は金正恩氏が演説で韓国を非難していました。
奥山)統一は不可能であり、敵対国として定めた。
飯田)「統一」と言わなくなったのは大きいのではないですか?
奥山)北朝鮮にとって、政策の大きな動きだと思いました。
ロシアと北朝鮮が技術協力
奥山)気になるのは、ロシアと北朝鮮が技術協力をしていることです。利害の一致があるのです。
飯田)北朝鮮の外務大臣がロシアに行き、相当厚遇されたようです。
奥山)国連にとっての制裁対象国である北朝鮮に対し、安保理常任理事国のロシアが協力を深化させるのはいかがなものか。以前からかも知れませんが、ロシアは国際法や国際的な規範を打ち破る国なのだと、ここ数年の行動で再認識しました。
ロシアの弱さの表れが北朝鮮との技術協力に向かわせている
奥山)北朝鮮にすべてあからさまに渡しているわけではないと思いますが、宇宙開発の分野で協力関係を構築し、国連の威信に対しても疑問を呈するような動きをしている。1つ思うのは、ロシアの弱さの表れが、北朝鮮との技術協力に向かわせているのではないかということです。
飯田)弱さの表れ。
奥山)一般的に不発弾の割合は1~2割だと言われています。しかし、北朝鮮が持つ砲弾のうち、3~4割が不発弾とされている。そんな北朝鮮の砲弾をウクライナで使うため、本来なら制裁すべき北朝鮮に協力している状況を見ると、どう考えてもロシアは相当弱っているのだと思います。ロシアの国際的な立場は、北朝鮮と協力しなければならないほど弱まっているのではないでしょうか。
島根県と同規模のGDPで効率的に核開発する北朝鮮
飯田)北朝鮮はこの先、どうなるのでしょうか?
奥山)北朝鮮のGDPは島根県や愛知県蒲郡市と一緒です。そのくらい小さな経済規模のなかで、あれだけの戦力を保持していると考えると、彼らはとても効率的に核開発を行い、国防に向けていると言えます。対して日本は、効果的なミサイル防衛がまったくできていない。秋田に陸上のイージス・アショアを配備しようと試みましたが、失敗しています。我々が無防備な状態であるにも関わらず、北朝鮮のミサイル発射実験に慣れてきている部分がよくない。しっかりと北朝鮮の脅威にも目を向けなければいけないと思います。
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