「H3」ロケット打ち上げ成功 今後の宇宙開発に必要なもの
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元日本銀行政策委員会審議委員でPwCコンサルティング合同会社チーフエコノミストの片岡剛士が2月19日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。打ち上げに成功した新型の国産主力ロケット「H3」2号機について解説した。
JAXAが新型の国産主力ロケット「H3」打ち上げに成功
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2月17日、日本の新たな主力ロケット「H3」2号機の打ち上げに成功した。「H3」は日本の今後の宇宙ビジネスや探査を担う基幹ロケットで、国際的に激しくなる宇宙開発競争を担う存在として期待されている。
飯田)2023年の失敗を乗り越えて今回、打ち上げが成功しました。
片岡)喜ばしい話だと思います。現状の宇宙開発自体が、例えばロケットもそうですが、国主導で打ち上げを行うような話がメインになっており、それが1つの特徴です。また、それを動かす会社も、どちらかと言うと国策会社のような側面が強く、国が主導しています。
一般向けのエンタメ事業などが展開されるのは何年後になるのか
片岡)今後の宇宙ビジネスをどのように広げていくかという話になったとき、宇宙ステーションもそうですし、相手側、つまり地球ではなく月などの方向にテクノロジーも含め、どんな形で宇宙開発事業を行うのか。そういう視点が必要になると思います。事業としては政府や宇宙飛行士など、少し特殊な方々向けのビジネスから、インターネットを使ったエンタメ事業など一般向けのビジネスも含めて期待される。しかし、(実現が)何年後になるかはまだよくわからないところがあります。
飛行機の航路と地上の間の空間認識が未整備
飯田)夢のような部分はいろいろと見えますが、実際に着地させるとなると、なかなか難しいですよね。
片岡)中国もそうですし、アメリカもアルテミス計画など、具体的な宇宙開発のビジョンを打ち出しつつあります。日本としても今回の「H3」打ち上げに成功したという話を橋頭堡に、発展させていこうという流れなのだと思います。宇宙の場合、地上もそうですが、空間のようなものをどう捉えるかが大事です。地上では車や新幹線、鉄道などの交通網があり、空中には飛行機がありますが、その間の部分がまだ未整備なのです。ドローンなどの話があるとしても、空間認識をどうするかはまだ決まっていません。
宇宙開発においても今後、空間IDのようなものが必要になる
片岡)事業分野としては空間IDのようにIDを振って、「どの高さでどのような形で何が通っているのか」というような話を把握すると、いろいろな付随するサービスが進みます。同じような話が宇宙空間においても必要になりますし、遠い将来かも知れませんが、それらを見据えて早いうちに事業を先導していく目線が必要だと思います。宇宙ステーションの話もそうですが、これも早い者勝ちのようなところがありますからね。私もアニメが好きなので熱くなってしまいます。
飯田)月の裏の話や、中継基地がどこに必要か、スペースコロニーをどうするのか、など。
片岡)コロニーで地上から離れた人たちがニュータイプになれるかどうかなど、そのような話が気になってしまいます。
日本の宇宙開発への今後の期待
飯田)早い者勝ちだと考えると、日本は小型月着陸実証機「SLIM」をピンポイント着陸させるところまで成功しました。あとは上手いこと太陽光パネルを展開できればよかったのですが。その辺りの技術で何とか先行できないのでしょうか?
片岡)ただ残念ながら、そのような話も含めてアメリカや中国に遅れをとっている感じですよね。
飯田)資金力の部分も関係しますか?
片岡)向こうは資金力、技術開発力もありますし、2000年代を含めて、宇宙開発に対する努力を他の国々もコツコツと進めていました。相対的に、日本が劣後している部分は否めないと思います。いずれにしても、ここからどう伸びていくかが大事です。日本の場合はアニメもそうですが、「こういう設備をつくろう」というような構想力があるので、それが大事になると思います。実際にロケットを飛ばし、そこから他の惑星の話を考えた場合、アメニティや設備、スペースコロニーをどうするかなどのイマジネーションが大事になると思うので、期待しています。
飯田)ここ30年はイマジネーションを潰す傾向、「お金がかかるから」というドリームキラーのような動きが多かったのかも知れませんね。
片岡)もう少し夢のある話を進められるといいですね。
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