朝鮮半島情勢に詳しい龍谷大教授の李相哲氏が2月21日、ニッポン放送「辛坊治郎 ズーム そこまで言うか!」に出演。北朝鮮メディがロシアのプーチン大統領から金正恩朝鮮労働党総書記にロシア製の首脳専用車が贈られたことを報じたことに触れたうえで、プーチン大統領による北朝鮮訪問の可能性が指摘されていることを巡り、「プーチン大統領は金総書記に東アジアで暴れてほしいと考えている」と解説した。
北朝鮮労働新聞は20日、ロシアのプーチン大統領から金正恩朝鮮労働党総書記に対してロシア製の乗用車が贈られたと伝えた。両国を巡っては、北朝鮮がロシアに武器を供与していると欧米などから懸念が強まっているが、プーチン大統領が3月の大統領選挙以降、北朝鮮を訪れる見通しも示されている。
李)プーチン大統領の訪朝の可能性については、私は半々だと思っています。なぜなら、旧ソ連時代も含めてロシアのトップが北朝鮮を訪問したことは一度しかないからです。それは、2000年に日本で開催された沖縄サミットに合わせ、プーチン大統領が平壌経由で日本に来ました。その時だけなんです。
辛坊)自国を「巨大な国」と意識している人にとっては、「そんなに大きくない国なんかに行けるか」という感じなのでしょうね。
李)そうだと思います。しかも、モスクワから平壌まではとても遠いです。平壌に用事があれば別ですが、わざわざ金総書記に会いに行くことは、プーチン大統領の性格からしても考えにくいです。
ただ国際政治上、プーチン大統領が今、北朝鮮に少しでも関心を示している理由は、金総書記に東アジアで暴れてほしいと考えているからです。金総書記が暴れれば、アメリカはロシアとウクライナの戦闘や(イスラム原理主義組織)ハマスとイスラエルの戦闘に全力投球できなくなります。ですから、プーチン大統領が北朝鮮との友好関係を演出しているのは、アメリカを牽制する目的が大きいと思います。