「カイロス」初号機打ち上げ失敗 気になる警戒水域に侵入した「謎の船舶」

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キヤノングローバル戦略研究所主任研究員でジャーナリストの峯村健司が3月14日、ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」に出演。民間ロケットの打ち上げ失敗について解説した。

カイロスロケット打ち上げ 打ち上げ直後に爆発し煙が上がった=2024年3月13日午前、和歌山県那智勝浦町(彦野公太朗撮影) 写真提供:産経新聞社

カイロスロケット打ち上げ 打ち上げ直後に爆発し煙が上がった=2024年3月13日午前、和歌山県那智勝浦町(彦野公太朗撮影) 写真提供:産経新聞社

民間初の衛星「スペースワン」社のロケット打ち上げ失敗、直後に爆発

宇宙事業会社「スペースワン」は3月13日午前11時過ぎ、和歌山県串本町の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」から人工衛星を搭載した小型ロケット「カイロス」初号機を発射したが、約5秒後に爆発し、打ち上げは失敗した。

民間の衛星が安全保障のキーになる

飯田)機体に何らかの異変を検知し、自ら破壊する処置に至ったということです。最終的に自分で爆破する部分は機能したようですが。

峯村)本当に残念です。民間による衛星打ち上げは現在、世界的な趨勢になっています。今回打ち上げたのは内閣衛星情報センターの衛星で、ある意味で安全保障にも直結するものです。これが失敗したことで、民間による衛星事業の参画が遅れてしまう可能性もあります。

飯田)昔であれば、宇宙ビジネスは政府機関が担うのが当然でしたが。

峯村)ロシアによるウクライナ侵攻の際もそうでしたが、ある意味で米国の民間の衛星である「スターリンク」が戦争の趨勢を決めたわけです。民間の衛星が安全保障のキーになると考えると、今回の取り組みは、非常に重要な取り組みだったということです。

もう少し実験を重ねてから衛星を積んでもよかったのでは

峯村)1つ思うのは、結果論ではありますが、もう少し実験を重ねてから衛星を積んでもよかったのかなと思います。

飯田)いきなり積むのではなく。

警戒水域への船の侵入は海上保安庁などがブロックするべき

峯村)あとは最初の打ち上げのとき、警戒水域に謎の船舶が侵入していたのも気になる話ですよね。

飯田)本来は3月9日の打ち上げ予定でした。

峯村)もちろんそれが直接の原因ではないと思いますが、この辺りの法整備も行うべきだと思います。今回もスペースワン社が手配した船によって警戒し、船が入らないようにしていたそうです。国の衛星を打ち上げているわけですから、民間に任せるだけでなく、例えば海上保安庁がブロックするなどして水域を守るべきではないでしょうか。また、日本における警戒水域が少し厳格過ぎるのではないかとも思います。もちろん安全確保は大事ですが。

飯田)相当、広く取っていますよね。

峯村)日本の場合は広く取るという話を聞いたことがあります。それなら、もう少しブロックすることも考えなければいけません。悪意を持った人がいかようにも妨害できてしまいます。

現代戦争のカギを握る衛星

飯田)確かにそうですね。いまは適用できる法律が見当たらない。

峯村)民間に任せるところは任せつつ、法整備した上で進めるのが本来あるべき姿だと思います。

飯田)ウクライナの例もそうですが、通信を途絶させないために複数ルートを持っておきたい場合、衛星の存在は大事ですよね。

峯村)とても大事です。日本の場合、有事の際に南西諸島などの海底ケーブルが切られたり、サイバー攻撃などによって通信できなくなったりするかも知れない。そのときの代替手段として、衛星は重要になってきます。現代の戦争の鍵を握るのは衛星です。今回もかなりの小型衛星でしたが、小型化というのも大事です。

番組情報

飯田浩司のOK! Cozy up!

FM93/AM1242ニッポン放送 月-金 6:00-8:00

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