話題のアスリートの隠された物語を探る「スポーツアナザーストーリー」。今回は、大注目の「ロサンゼルス・ドジャース×サンディエゴ・パドレス」の韓国開幕シリーズで実況を担当するアナウンサー視点での注目点、見どころにまつわるエピソードを紹介する。
いよいよ3月20日(水)、21日(木)、韓国・ソウルを舞台に「MLBソウルシリーズ2024 ロサンゼルス・ドジャース×サンディエゴ・パドレス」の2連戦が行われる。大谷翔平&山本由伸を擁するドジャースと、ダルビッシュ有&松井裕樹が所属するパドレスの一戦は、もはや社会現象と言ってもいい盛り上がりだ。
では、その戦いを「伝える側」はどんな思いでいるのか。ニッポン放送開局70周年特別番組「ニッポン放送ショウアップナイタースペシャル MLBソウルシリーズ2024 ロサンゼルス・ドジャース×サンディエゴ・パドレス」で実況を務める師岡正雄、洗川雄司両アナウンサーに、戦いの見どころ、実況する上での心構えを語っていただいた。
《運命的な「大谷翔平vsダルビッシュ有」》
―― いよいよ開幕戦です。開幕実況を務める師岡アナウンサーの、いまの率直な思いは?
師岡:ちょうど1年前、WBCで侍ジャパンの世界一を牽引した大谷翔平が、今度はMLBでも世界一になるため、赤から青にユニフォームを変えて臨む勝負のシーズン。その初戦の相手は、奇しくも1年前、ともに侍ジャパンを世界一へと導いたダルビッシュ有。日本の侍を勇気づけた2人が、今度はメジャーの開幕戦で対決するという筋書きがもう、ものすごいじゃないですか!
―― 1年後にこういう構図になっているとは予想もできませんでした。
師岡:去年(2023年)まではア・リーグとナ・リーグに分かれていましたが、今年から大谷もナ・リーグに移ったことで、ようやくこの開幕戦で対決が実現します。まさに運命的です。ダルビッシュとしては、今回で4度目の開幕投手。ただ、過去3度はすべて勝ちがついていない。今度こそ、という思いもあるでしょうし、古巣のドジャース相手にどんな投球を見せてくれるのか。一方の大谷も、打者一本で挑むシーズンの最初の打席でどんなスイングを見せてくれるのか。見どころは初回の攻防から目白押しです。
―― 大谷はオープン戦で打率5割という順調な仕上がりでした。
師岡:過去5人しかいない40本塁打・40盗塁超えの「40-40」も狙えるんじゃないか、という期待感も含め、解説を務める元ドジャースの石井一久さん、MLBに精通するベースボールコメンテーターのAKI猪瀬さんにも注目点をしっかりうかがいながらお伝えしていきたいです。
洗川:石井一久さんは、ドジャース3年間(2002~2004年)で36勝と実績を残しました。その背景で、球団のどんなバックアップがあったのか。そして、野茂英雄さんから始まり、なぜ日本人選手はドジャースに惹かれるのか。その辺は在籍した人じゃないとわからない部分があると思うんです。また、楽天の監督では松井裕樹投手を間近で見てきた人ですから、その視点でもじっくり話をお聞きしたいですよね。
師岡:ドジャースのロバーツ監督は、ドジャースでまさに同僚だった人ですからね。そして、私のなかではダルビッシュが出て、後ろで松井裕樹がバトンを受け取って、という最高のストーリーを初戦から期待しています。
洗川:パドレスとしては、昨年秋にオーナーが亡くなり、チームの年俸総額を削減する方向にシフトしてと、なかなか明るい話題が少ない状況です。そんななか、この開幕シリーズで11年連続ポストシーズン進出中のドジャース相手に1つでも勝利すれば、本国に戻ったあとのシーズンにも勢いがつく、大事な戦いになると思います。
《山本由伸、伝説の始まりになる開幕シリーズ》
―― 第2戦で実況をされる洗川アナウンサーはどんな点を注目していますか?
洗川:NPBで史上初めて、3年連続で「投手4冠」「MVP」「沢村賞」というとんでもない実績を残した山本由伸がいよいよメジャーデビューするのがこの第2戦です。日本で頂点を極めた投手だからこそ、今年(2024年)の成績で「メジャーに挑む日本人投手のレベル」を示す大きな指標になると考えています。
―― オープン戦3試合の成績は9回2/3を投げて14奪三振9失点、防御率は8.38。こちらは大谷と違って「順調」とは言いづらい状況ですが、持ち前の修正能力を期待したいですよね。
洗川:当然、この開幕第2戦は注目すべき登板になりますが、このあとシーズンを通してローテーションを守り通してくれるかどうかも重要な指標です。この1年、ローテを守って評価を確実なものにできれば、来年(2025年)は投手に復帰する大谷翔平とともにローテの両輪となり、日本人投手2人が伝統球団ドジャースの屋台骨を支えるという、さらにすごいことが起こります。そのための第一歩、ある意味で伝説の始まりになる開幕シリーズである、というワクワク感をぜひ中継でお伝えできたら、と思っています。
師岡:パドレスには、韓国人選手として初めてゴールドグラブ賞を受賞したキム・ハソンがいるわけで、山本対キム・ハソンは盛り上がるでしょうね。
洗川:韓国プロ野球も「下火」と言われた時期が長く続いていましたが、こうやってメジャーで実績を残す選手が出てくれば、韓国の国内野球も上昇ムードになるでしょうし、翻ってそれは今後のWBCだったり、日本を含めたアジアの野球界全体が盛り上がっていくチャンスにもなると思います。
師岡:韓国ではじめてのメジャーリーグ開幕戦ということで、スタジアムの応援、反響もものすごいことになると思うんです。そういった応援風景もお伝えしたいと思います。
―― 日本人選手以外で注目している点はありますか?
師岡:やっぱり、ドジャースのベッツとフリーマン。大谷を含めたMVPトリオですよね。試合開始早々に1番から3番として登場するだろうと言われているこの3人の打球や一挙手一投足を逃すことなく伝えることが序盤の大事なポイントだと思っています。
洗川:韓国での開催ですが、当然、去年話題になったピッチクロックもあります。
師岡:そうそう。しかも、走者がいる場合は昨季の20秒から18秒に短縮。投手がボールを受け取ってから18秒なので、その前にもう球種はピッチコムで決めるのでしょうね。それでも、対応しきれずにボールになる場面が出てくるかも知れません。開幕戦だから打者も投手も状況が把握し切れない状況が生まれる恐れもありますから、その辺のバタバタ感もお届けしていきたいです。
洗川:あとは、何と言ってもメジャーリーグ公式戦が時差なく楽しめる、ということですよね。第1戦、第2戦ともに午後7時5分試合開始予定です。まだお仕事中の方や移動中の方もいらっしゃると思いますので、ラジオを通して共有できたらありがたいことです。
師岡:もう日本中がものすごく盛り上がる2日間だと思います。そのワクワク感を共有できるような放送をお届けしたいです。
ニッポン放送開局70周年特別番組「ニッポン放送ショウアップナイタースペシャル MLB ソウルシリーズ2024 ロサンゼルス・ドジャース×サンディエゴ・パドレス」
■放送日時:3月20日(水)、21日(木) 19時~ 完全実況生中継
■解説:石井一久(元ドジャース/東北楽天ゴールデンイーグルス 取締役シニアディレクター)、AKI猪瀬(ベースボールコメンテーター)
■実況:20日(水)師岡正雄、21日(木)洗川雄司(ニッポン放送アナウンサー)
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