
画像を見る(全19枚) 『KINZOKU Bat NIGHT at Shibuya O-EAST』
ロックバンド・a flood of circleと漫才師・金属バットによる対バンライブ「KINZOKU Bat NIGHT at Shibuya O-EAST」が9月4日(木)に渋谷・Spotify O-EASTにて開催された。2021年に京都磔磔、2022年に大阪・なんばHatch、昨年3月には東京キネマ倶楽部で東京初公演を実現。4回目となる今回はストレイテナーをゲストに迎え、より一層のスケール感でお届けした。笑いとロックンロールが織りなす2時間半ノンストップのステージを振り返る。
“KINZOKU Bat NIGHT”と書かれたフラッグをバックに、まずはa flood of circleがステージに登場する。オープニングは『Party Monster Bop』。トレードマークの革ジャンに身を包んだ佐々木がシャウトすると、観客は拳を突き上げ今日この特別なライブの開幕に歓喜する。UNISON SQUARE GARDEN・田淵智也との共作『ミッドナイト・クローラー』で会場の温度はさらに上昇。ギターを置いた佐々木がステージを身悶えながら徘徊し、搾り出すように歌い上げる『Sweet Home Battle Field』、佐々木が叫ぶ「Sweet Home渋谷!」
「えぇ、よくきたね」少し照れたように微笑むと、「じゃあ『バタフライソング』」。「出来心で始めたイベントなのに……出来心ってなんですかね? 出来た心? 魔が差して? 人生魔が差すくらいがいいですよね。魔が差したことない人なんているんですか? 俺もなんでこのイベントやってるんですかね……」と禅問答のようなトークを繰り返す佐々木。『理由なき反抗(The Rebel Age)』を歌う佐々木は、そんな一瞬の「魔」に心から感謝しているように見えた。そしてイントロでフロアから歓声が湧き上がる『KINZOKU Bat』。不敵な笑みを浮かべながら佐々木が背後のフラッグを指差す。「じゃあ金属バット!」そう言い残してステージを去っていった。
会場からの大歓声に迎えられて、金属バットがステージに登場。白熱のライブから間を置かずしての登場に「ちょっとかっこよすぎるやろ」と友保が苦笑する。
小林「ほんまに失礼やけど、腕あげたよな」
友保「おまえみたいな人間に何がわかんねん」
小林「(今までで)一番よかったよ」
袖でライブを見ていたという2人。a flood of circleに対し、一つの疑問を投げかける。
小林「季節感ないよな」
友保「革ジャン着てるし、袖ないねーちゃんいるし」
小林「貧乏なんでしょ」
リハ終わり、誰もいないステージでギターをひいていた佐々木を目撃した金属バットは佐々木を「ジーパン履いてるスナフキン」と評していた。「曲終わりの「ふにゃあ」が似合うのあの人だけよ(小林)」
タイムリーな話題をいじりつつ、1つ目のネタへ。グルーヴ感たっぷりにオチまでたどりつくと「終わった空気になってるけど」「僕らセトリまだあるんですよ」。
「チューニングをこちょこちょする」「バンドマンをすぐ酒飲みよる」「どうなってんねんミュージシャン」とミュージシャンへの一通りの疑問を呈した後、2本目へ。最後はなぜか「柿」について力の込もった誹謗中傷を繰り広げ、悪口の音を拾われないようピンマイクを外してぶんぶん振り回す卓越したマイクパフォーマンスに多くのロックファンが熱狂した。
続いての登場はストレイテナー。グルーヴィーなサウンドで空気を一瞬で変える『The World Record』でライブスタート。そしてクラップで始まる『DISCOGRAPHY』へ。ザラザラと渇いたサウンドで客席をブチ上げたフラッドに対して、湿度をはらんだ重低音でファンの身体を突き動かしていくストレイテナー。ホリエが少し表情を緩ませながら、王道ロックナンバー『COME and GO』、そして『シーグラス』へ。ファンに愛され続ける名曲は刹那でメロディアス。客席が再び一つに収束されるような力強さを感じる。「ありがとう!」と叫ぶホリエ。
「名乗るのを忘れてました(笑)。ストレイテナーです。呼んでいただいてありがとうございます!」。金属バットのファンを公言するホリエは、昨年のイベントも見にきていたということで、「見にいったら翌年呼んでもらえました! めっちゃうれしかったんですけど……スタンバイでネタが見れなくて、あーそっか!ってなったんですけど、次のネタはみっちり見たいと思います」と笑う。そして「久しぶりに見たフラッド、めっちゃ腕上げてましたね」と小林のフラッド評にかぶせることも忘れない。
「負けてらんねえなということで、最近配信リリースになったばかりの新曲を聴いてください」。ストレイテナーの“新章”、愛と平和が込められた『Next Chapter』。先ほどまでの激しさから一転、静かに聞き惚れる観客たち。ここからはストレイテナー後半戦。『Zero Generation』では振り上げられた拳に応えるように、エッジの効いたサウンドを爆発させる。まだまだ残暑厳しいこんな夜にぴったりな、疾走感あふれる『Super Magical Illusion』、鍵盤を叩きながら魂の叫びをブチかます『Skeletonize!』、そしてストレイテナー、ラストは『From Noon Till Dawn』。待ってました!という客席の歓声に、ホリエの「KINZOKU Bat NIGHT、ありがとうございました!」もかき消される。テレ東ドラマ『勇者ヨシヒコと悪霊の鍵』オープニングテーマである『From Noon Till Dawn』、金属友保が「バイト行く時いつも聴いてた」という若手時代のほろ苦の一曲でもある。「鍵盤かたしたら金属バット!」メンバー4人は客席に深々とお辞儀をしてステージを去っていった。
おなじみの拍手出囃子に迎えられ、金属バットが再び登場。「最後のヨシヒコのやつね〜まさか袖で見れると思わんかった。生きてるといろんなことありますね。ラッキーラッキー元取れました」と感無量の友保。「盛り上がってるところ申し訳いんだけど」と切り出し、本日3本目のネタへ。哲学的な問いを続けた結果、「109にはめっちゃいい喫煙所がある(小林談)」という新たな気づきを披露。そして金属バットが「最後の曲です」とこの日4本目のネタに突入した。
「えーーー天使、天使、ひとつもとばさず天使の皆様!」。『KINZOKU Bat NIGHT』、ラストパートを飾るのはもちろんこのイベントの首謀者、a flood of circle。MVに金属バットの2人が参加している『如何様師のバラード』が始まると、客席は興奮の渦に。お茶割り片手にステージを縦横無尽に動き回るジーパン履いたスナフキンこと佐々木。「最高、静岡県産緑茶割り」。ギターを肩にかけ「元気? えっとね、元気だったらいいんだ」。次はどの曲が始まるのか、ワクワクした静寂の中、ひとり黙々とチューニングを続ける。「あのう、金属バット見たときに、好きだと思ったけど、好きだから一緒にやりたいってなんか変でしょ?」「けど、好きのエネルギーってすごいんですよ。好きだからやるってことだけで、ホリエさんにプロデュースたのんだのも好きだから」。そして少し間をおいて「好きだからでやってくと……人生は基本しんどいはずで、たまに今日みたいに美しい。『セイントエルモ』」。美しい旋律に汗まみれの歌声が乗り、思わず息を呑む。
再びロックンロールが加速していく『Boy』から「ライブは本番だけど休憩だと思ってるかもしれない。今が一番いい時間だから。ほんとみんな気をつけて、ストレイテナーでぶっとんで、金属バットで笑って、そうじゃない時間、そうじゃないとき、忘れないで」。かっこいいメッセージとも取れるし、酔っ払いの戯言とも取れる、そんな最高の言葉をつぶやいて『KILLER KILLER』へ。「かっ飛ばせ、渋谷!!」ライブの大定番曲『シーガル』が鳴り響くと、この日会場は最大のうねりに包まれる。演者も観客も汗だくのまま、ラストはストレイテナーのホリエアツシがプロデュースを務めた『ゴールド・ディガーズ』。佐々木がマイクを客席に向ける。誰もが声の限りに叫んでいた。
アンコール。金属バット2人がステージに顔を見せる。友保の足元はいつものビーサン。あきらか急に出されて戸惑う二人のアンコールネタは「演劇」。四十路男性2人の全力の犬の泣き真似に会場は盛り上がり、割れんばかりの拍手が巻き起こった。満足そうにフロアを見つめ「帰ります」と残してステージをはけていく2人。
それに続くように佐々木も犬のようになってステージにやってきた。アンコールは『月夜の道を俺が行く』。客席に手を振り、投げキッス。お茶割りを高く掲げた佐々木が「乾杯!」と言ってイベントは終了した。 (文/西澤千央)
本公演の終演後、追加公演となる「KINZOKU Bat NIGHT at 京都磔磔」が11月20日(木)に開催されることが発表された。そしてこの度、京都公演の映像配信が決定、配信チケットの販売がスタートした。
<追加公演概要>
■イベント名 「KINZOKU Bat NIGHT at 京都磔磔」
■開催日時:2025年11月20日(木)18:00 開場/18:30開演
■会場:京都磔磔
■出演:a flood of circle/金属バット
■チケット料金:会場チケット 5,000円(税込) ※完売
配信チケット3,000円(税込)
■アーカイブ期間:2025年11月27日(木)23:59まで ※販売期間は27日(木)21時まで
■チケットぴあURL:https://w.pia.jp/t/kbn/