愛し合ってるかい? なぜ、忌野清志郎は私たちの心を捕らえるのか。
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Tokyo cinema cloud X by 八雲ふみね【第1333回】
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信する「Tokyo cinema cloud X(トーキョー シネマ クラウド エックス)」。
昨年デビュー55周年を迎えたことを記念して、2026年は忌野清志郎さんにまつわるさまざまなプロジェクトが注目されています。

画像を見る(全5枚) (C)2025 Kiyoshiro Movie Project
ロック・フォトグラファー有賀幹夫氏が捉えた忌野清志郎の貴重なオン・ステージ、レコーディング、ポートレイトが展示された「Mikio Ariga Photo Exhibition 2026」の開催。アルバム・シングルなどの全作品やコンサート情報など、忌野清志郎の軌跡を網羅した「忌野清志郎 公式データブック」。そして、忌野清志郎の名曲を、長女で消しゴムハンコ作家・百世が表現した絵本「世界中の人に自慢したいよ」の発売。
その中でも重要なポジションを担っているのが、10月2日から公開となる映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』です。そこで今回は、“キング・オブ・ロック”忌野清志郎をクローズアップ。映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』を軸に、清志郎さんの魅力を深掘りします。
唯一無二の天才的アーティスト、忌野清志郎
RCサクセションをはじめ、ザ・タイマーズ、忌野清志郎Little Screaming Revue、ラフィータフィー、そしてソロ活動。さまざまなバンドやスタイルで音楽を追求してきた忌野清志郎さん。
音楽活動だけでなく、絵本作家、画家、俳優、自転車愛好家とさまざまな顔を持ち、清志郎さんが生み出す作品の数々はエキセントリックな一面を持ちながらも、ユーモラスで愛に溢れています。
その多彩ぶりは、あらゆるジャンルの表現者たちをも魅了。熱烈なファンが多いことも特徴のひとつです。まさに唯一無二の才能を持った天才的な芸術家と言えるでしょう。
そんな忌野清志郎さんの軌跡を辿ったドキュメンタリー映画が『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』。「トランジスタ・ラジオ」「雨あがりの夜空に」をはじめ、ヒット曲は数知れず。“ラブ&ピース”を歌い続けた忌野清志郎さんの貴重なライブシーンからインタビュー映像、そして関係者の証言まで、忌野清志郎を深く知ることができる一作となっています。
清志郎さんを知る人の数だけ“忌野清志郎像”が存在するかと思いますが、本作を手がけた相原裕美監督は忌野清志郎というアーティストをどのように捉えているのでしょうか。

これまで、『SUKITA 刻まれたアーティストたちの一瞬』(2018年)『音響ハウス Melody-Go-Round』(2020年)『トノバン 音楽家 加藤和彦とその時代』(2024年)といった、ドキュメンタリー映画を手がけたきた相原裕美さん。ミュージシャンの人生と時代を丁寧に描き出すことでも定評がある音楽映画監督です。
長年、音楽業界で確固たる実績を残してきた相原監督ですが、レコード会社が違ったため、意外にも清志郎さんとは仕事上でのつながりはなかったとのこと。それでも忌野清志郎という人物を客観的に見てきて「歌いたいことを自由に歌う。そこがすごい」と感じていたとか。
「『COVERS』のように社会問題になることもあったけど、決して反社会ということではないんですよね。同じ平和の歌を歌っていても、平和を声高に叫んでいる人とはちょっと違う。ロックンロールやラブソング、いろんなタイプの曲を歌っていますが、すべて彼の中では並列にあるんじゃないかなと思います」
確かに、物議を醸すような出来事が起こっても、それが話題となって、逆に楽曲の良さが再認識されるという出来事が多々あったように思い出されます。
清志郎さんが逝去されてから17年。いまを生きる人々に映画『愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた』を届ける意義は、どこにあるのでしょうか?
「清志郎さんは歌いたいことを歌うとか、夢を持つことの大切さを届けていた。言葉を返せば、自分の思うように行動することができて、夢を持てるような社会になっていくことが大事なんじゃないかな、と。ご存じのように、きな臭い世の中じゃないですか。たまに『今この時代に忌野清志郎が生きていたら、どう言っただろうか』とか書く人がいますが、そうじゃないんですよね。清志郎さんじゃなくて、あなたは何をするんですかって。そういうメッセージが伝わればいいなと思います」
私が忌野清志郎さんを追いかけることになったきっかけは、パーソナリティを務めるラジオ番組にコメントをくださったことでした。
あれは、アルバム「冬の十字架」が発売中止となった時期。あの清志郎さんからコメントが届くとは……、と感激したことを今でも覚えています。その後もリリースのたびに番組宛にコメントをいただき、ゲスト出演していただくこともありました。思えば当時の私は、ウクレレをかき鳴らして歌う、その熱いメッセージから、マイクの前に座る勇気を受け取っていたように感じます。
いつの時代にも、人々の心に刺さる音楽。不穏な世の中。だからこそいま、忌野清志郎の音楽に耳を傾けたい。

(C)2025 Kiyoshiro Movie Project
<作品情報>
愛し合ってるかい? 忌野清志郎が教えてくれた
2026年10月2日(金)から新宿バルト9ほかにて公開
出演:
忌野清志郎
三浦友和 竹中直人 三宅伸治 泉谷しげる 梅津和時
角田光代 金平茂紀 百世
SWEET LOVER SOULS:Rei ジェットセイヤ(go!go!vanillas) 休日課長(ゲスの極み乙女、DADARAY、ichikoro、礼賛) 渡 和久(風味堂) 梅津和時 Deu(PEOPLE1) Ito(PEOPLE1) Jean-Ken Johnny(MAN WITH A MISSION) アイナ・ジ・エンド jo0ji 茂木欣一(東京スカパラダイスオーケストラ) 東京スカパラダイスオーケストラ Horn Section
監督:相原裕美
エグゼクティブ・プロデューサー:佐藤現 案納俊昭
プロデューサー:宮本泰宏 武井哲 高根順次 竹下新悟
ラインプロデューサー:和田朋紘 岡田敏志
撮影監督:諸沢利彦 照明:鈴木大地 録音・整音:井筒康仁
サウンドエンジニア:小西康司 編集・カラリスト:茶圓一郎
アニメーションディレクター:伊藤有壱
制作協力:Padma 制作:スペースシャワーエンタテインメントプロデューシング
配給:東映ビデオ
(C)2025 Kiyoshiro Movie Project
公式サイト https://www.toei-video.co.jp/kiyoshiro-movie/
連載情報

Tokyo cinema cloud X
シネマアナリストの八雲ふみねが、いま、観るべき映画を発信。
著者:八雲ふみね
映画コメンテーター・DJ・エッセイストとして、TV・ラジオ・雑誌など各種メディアで活躍中。機転の利いた分かりやすいトークで、アーティスト、俳優、タレントまでジャンルを問わず相手の魅力を最大限に引き出す話術が好評で、絶大な信頼を得ている。初日舞台挨拶・完成披露試写会・来日プレミア・トークショーなどの映画関連イベントの他にも、企業系イベントにて司会を務めることも多数。トークと執筆の両方をこなせる映画コメンテーター・パーソナリティ。
八雲ふみね 公式サイト http://yakumox.com/













