#56 R.ブライアント(近鉄) 優勝導く4打席連続ホームラン

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#56 R.ブライアント(近鉄) 優勝導く4打席連続ホームラン

 

◎1989年10月12日 西武球場
(ダブルヘッダー第1試合)

近鉄 0 1 0  1 0 4  0 1 0 =6

西武 1 3 0  0 1 0  0 0 0 =5

HR(近鉄)ブライアント46号・47号・48号

(西武)辻3号

 

◎1989年10月12日 西武球場

(ダブルヘッダー第2試合)

近鉄 2 0 4  3 3 0  1 1 0 =14

西武 2 0 0  0 0 0  0 2 0 =4

HR(近鉄)ブライアント49号 リベラ24号 鈴木19号・20号

(西武)清原35号

 

「打った! 今度は高く上がった! 左中間だ! センター下がった! 下がった! ボールが、ズン、ズン、ズーン! 伸びる! どうなんだ? グラブかすめるようにして、左中間スタンドに、ギリギリいっぱい飛び込んでいきました! 今度は、左の方向に持っていった! ダブルヘッダーの第2試合のブライアントの1発。49号のホームランです。ダブルヘッダー2試合で4本のホームラン!」(第2試合、当時の実況より)

 

「ああ、野球の神は、こうやってきっちりと“お返し”をしてくれるんだなぁ」……そんなことを思ったのは、今から37年前、1989年の10月12日のことだ。

 

その前年、昭和最後のシーズンとなった1988年のパ・リーグは、首位を走っていた森祇晶監督率いる西武ライオンズを、仰木彬監督率いる近鉄バファローズが驚異的な勝ちっぷりで追い上げ、シーズン最終盤までデッドヒートを展開。10月19日、近鉄は川崎球場で行われたロッテとのダブルヘッダーに連勝すれば優勝、という状況になった。ただし引き分けは許されず、近鉄が連勝できなければ、先に全日程を終了した西武が優勝だ。

 

近鉄は、延長戦のない第1試合で9回に1点を勝ち越してギリギリの勝利を収め、第2試合も、この年シーズン途中に中日から移籍してホームランを連発、快進撃に貢献したラルフ・ブライアントが34号ソロを放って勝ち越し。逆転Vに大きく前進した。ところが……第1試合に続いてリリーフ登板したエース・阿波野秀幸がロッテ・高沢秀昭(この年の首位打者)に痛恨の同点弾を浴び、延長10回、4時間経過によって規定により引き分け。近鉄はわずか2厘差で優勝を逃した。このダブルヘッダーについては「10.19川崎球場」として伝説になり、毎年10月になると必ず振り返り企画が行われるので、ご存じの方も多いだろう。

 

このときは涙を飲んだ近鉄だったが、元号が平成に変わった翌1989年、またしても伝説を作る。この年パ・リーグは、阪急ブレーブスが球団を売却して誕生したオリックスブレーブス(現オリックスバファローズ)がブーマー・ウェルズ、門田博光らを擁する「ブルーサンダー打線」の活躍で首位を独走。しかし前半戦はブライアントの不振もあって出遅れた近鉄が、夏場になってブライアントが復調すると前年同様の追い上げを見せ、そこに5連覇を狙う西武も加わって、3チームがシーズン終盤まで激しく優勝を争った。

 

一時、近鉄は自力優勝が消え、オリックスにマジック点灯を許したが、10月6日から10日まで近鉄は5連勝。自力Vが復活し、首位・西武、2位・近鉄、3位・オリックスが1ゲーム差の中にひしめく三つ巴の状況になった。翌11日の西武戦は雨で流れ、日本シリーズ開幕が迫っていたため、12日に西武球場(現・ベルーナドーム)でダブルヘッダーが開催されることに。同日、オリックスもロッテと川崎球場でダブルヘッダーを行っており、オリックスの勝敗次第では、西武の5連覇が決まる可能性もあった。

 

近鉄としては連勝するしかなく、またしてもダブルヘッダーで優勝を逃すのか……という嫌な予感もあったが、そんな不安を打ち砕いたのがブライアントだった。第1試合は、序盤で西武に0-4とリードを許す苦しい展開だったが、4回、西武先発・郭泰源からブライアントが追撃のノロシとなる46号ソロを放つと、1-5で迎えた6回には、同じく郭から同点の満塁47号! 森監督はたまらず8回にエース・渡辺久信をリリーフ登板させたが、またしてもブライアントが3打席連続の48号ソロ。いつも渡辺がブライアントを空振りさせていた外角のストレートを狙い打っての一発で、これが決勝点となり、第1試合は近鉄が逆転勝利を収めた。

 

ブライアントの3連発は、西武に強烈なダメージを与え、第2試合にも尾を引いた。ブライアントは第1打席、さすがに敬遠されたが、第2打席でセンター左に運ぶ49号ソロ。この4打数連続アーチで勢いづいた近鉄は14-4で西武に圧勝。マジック「2」を点灯させ、西武は一転、優勝が厳しくなった。2日後の10月14日、近鉄は本拠地・藤井寺球場で福岡ダイエーホークス(南海ホークスの球団売却で誕生)に勝って、9年ぶりのリーグ制覇を決め、前年あと一歩で叶わなかった仰木監督の胴上げを実現させた。ミラクルVの立役者・ブライアントはこの年、初の本塁打王と、パ・リーグMVPに輝いている。

 

<チャッピー加藤>

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