「4年後には競技人生のピークがやってくる!」十種競技・男子日本代表・右代啓祐(うしろけいすけ)(29歳) スポーツ人間模様

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写真提供:産経新聞社

時代とともに、選手の気質が大きく変わってきました。
きのう、都内(代々木)で行われた壮行会で晴れやかな笑みを浮かべていたのは、リオ五輪で旗手をつとめる右代啓祐(うしろけいすけ)です。
195センチ・95キロの堂々たる体形はひと際目立つ素晴らしい人選でした。

ところが、右代は全国的にみれば、知名度がいまひとつ。
過去、レスリングの浜口、吉田、卓球の福原といった人気と実力を兼ね備えたアスリートがつとめることが慣例だったからです。
しかし、南半球のリオデジャネイロで開催されるスポーツの祭典は、極めて調整が難しい。
主将は開会式へ出席しなくてもつとまるものですが、旗手は開会式や他の公式行事へ参加しなくてはいけません。
フェンシングの太田、体操の内村、白井、はたまた陸上の桐生など、さまざまな選手にオファーがあったそうですが、いずれもノーでした。
ということで、快諾した右代へは「感謝してもしきれないほど」と関係者が最敬礼するのは無理もないことでしょう。

「一歩一歩地面を踏みしめ、堂々と歩きたい」という。さすが、キング・オブ・アスリートといわれる十種競技の選手です。
2日間で十種の競技を行う。
1日目は、100メートル走、走り幅跳び、砲丸投げ、走り高跳び、400メートル。
2日目が110メートルハードル、円盤投げ、棒高跳び、やり投げ、1,500メートルです。
言葉でいうのは簡単ですが、各日、12時間以上も時間がかかる。
最後の種目、1,500メートルでは「毎回、心臓が口から飛び出しそうになる。」と右代は語っています。

北海道江別市出身で、中学時代から陸上を経験し、高校時代に今日の基礎となる八種競技を本格的に行いました。
では、なぜこの競技の選手が少ないのかというと、ひとつは競技数が多く、トレーニングが大変ということ。
それから、各種目によってスパイクなどの用具を取りそろえなければならず、とてもお金がかかる。

右代は国士館大学大学院在学中ですが、スズキ浜松アスリートクラブにも所属して資金面は自動車メーカーのスズキがサポートしている。
2011年に同クラブへ入ってから、記録が伸びているのはそんな後ろ盾があるからでしょう。

10種競技といえば、元学生チャンピオンのタレント、武井壮が有名。
右代は、武井を師匠とリスペクトしている。「競技の練習をすることも大切だけど、もっと視野を広げて」とアドバイスを受けました。
2012年のロンドン五輪では日本人選手として東京五輪以来、48年ぶりに出場。
20位に終わっていますが「うれしくて涙が出た。たとえ、成績が悪くても、スタジアムにいた8万人の人たちから大声援をうけました。この競技を続けてきて本当に良かったと思う。」と言っていた。

昨年から、リオでのメダル獲得を目指し、食生活から見直したそうです。
男子テニスの世界ランク1位ノバク・ジョコビッチなどが実践して有名になった小麦抜きのグルテンフリーを取り入れ「生まれ変わったようです。体の調子がとてもいい。ベストは92キロになった。」

現在29歳。
一般に受ける印象はベテランですが、「4年後には競技人生のピークがやってくる」と2020年の東京五輪まで視界に入れています。

(原文)青木政司

7月4日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

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