バレーボール全日本女子、奇跡の逆転劇が待っていました!
リオデジャネイロ五輪世界最終予選兼アジア予選。きのう18日、世界ランク5位の全日本は、同13位のタイと対戦し、最終セットで6点のビハインドを跳ね返しました。負ければ、リオ五輪出場が難しくなる大一番。宮下は、「第3セット以降は、手の震えが止まらなかった。こんな経験は今までにありませんと、熱戦を振り返っています。
ロンドン五輪で28年ぶりにメダルを獲得した真鍋ジャパン、この4年間の課題は、司令塔の育成。
10年以上も全日本を支え続けた竹下佳江、また、第2セッターの中道瞳、加えて、リベロの佐野優子が現役を引退。
3人に共通するのは、試合ではあまり目立たないが、戦術面やアタッカーを育成するという大仕事を続けてきました。奇しくもこのトリオは全員が、身長159センチ。まさに全日本では小さな巨人でした。
その3人が抜けた今、リオを目指すためには司令塔の育成が急務。真鍋監督は、7人のセッター候補のセレクションを行い、宮下に白羽の矢を立てた。
なんと!身長177センチの超大型司令塔。これこそ、真鍋監督が待ち望んでいた存在です。三重県桑名市出身で、バレーボールを始めたのは小学1年から。2009年、15歳2カ月のプレミアリーグデビューなど、女子バレーボール界のあらゆる年少記録を塗り替えてきました。
初の全日本も15歳で、セッターではあの中田久美以来、30年ぶりの快挙。
「とてもセンスがいい。大事に育ててほしい」と中田さんは話していました。なぜなら、全日本クラスのセッターが育てば、向こう10年、チームが活躍できるからです。素質に加え、根性もなかなかのもので、岡山シーガルスのデビューの久光製薬戦では、試合中、チームメートと交錯して前歯を2本折るアクシデントがありながら、プレーを続行しました。
セッターの資質は、技術とメンタル面の強さ。若い宮下は、より高い集中力を養うために、座禅を始めた。それもまた、きのうの大一番には大いに役立ったのでしょう。
一方、大先輩でもある、竹下佳江さんは、「1人で全部トスを上げなさい。そのぐらいの気持ちでプレーしなければ勝てるわけがない」
タイ戦の最終セット。宮下のサーブが冴えたことも見逃せません。
いつも「私が目立つ試合になってはいけない」と話していますが、タイムアウトの場面で、真鍋監督が「お前が決めなければ、誰が決める。」と背中を叩いた。その瞬間から、流れが一変。貴重な経験を積んで、次戦以降、宮下のプレーが大きく変わることでしょう。
そうはいっても、リオ五輪出場権を得るためには、①アジア最上位、②アジア最上位を除いた上位3チームに入ることが条件。苦しい戦いはまだまだ続きます。
(原文)青木政司
5月19日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」