写真提供:産経新聞社
8月5日に開幕するリオデジャネイロオリンピックまで、あと1カ月。
ウインブルドン選手権では、4回戦でドイツのゲリク・ケルバーに完敗した土居美咲ですが「オリンピックが今年、一番の目標」と気持ちを切り替えています。
そのリオではシングルス、ダブルスへ出場します。
土居のプレースタイルは、わくわくするような攻撃的なテニスが身上で、全体の1割ほどといわれるレフティー。
これまで日本の女子は、フィジカルを補うため、守備的なプレーが基本のように思われてきました。
しかし、相手のラケットにボールがふれないよう、ウイナーと呼ばれる戦法を得意とする土居は、打ち返すボールへ必ずスピンを。
159センチ、55キロと体形は大きくないものの、素晴らしいテニスを展開します。
千葉・大網白里市出身で、6歳からキャリアをスタート。
「故郷は、何もないところ。自宅の近くにテニスコートがあったのが、きっかけでした。」
壁打ちからはじまり、グランドスラムでベスト16にまで進出する選手になりました。
早くから、国内では有望のジュニアでしたが、世界ではなかなか通用しませんでしたが、2008年12月17歳8カ月でプロへ転向。
日本女子シングルス10人目のツアー初優勝を飾ったのは2015年10月のルクセンブルクオープン、自身最高の約480万円の賞金を獲得しました。
「ジュニア時代から、1人で世界を転戦。あの頃、メールを送信するのに、何百円もかかっていた。それが今は、無料のRINEがある。時代が変わったと思う。」
土居が躍進したのは、錦織がマイケル・チャンコーチを迎えたように、アメリカ人のクリス・ザハルカコーチの指導を受けてから。
「内気で人見知り」と自身が語るほどで、指導者に恵まれなかったのが、才能を開花できなかった要因でした。
ザハルカコーチが、まず驚いたのは、土居のテクニックが素晴らしいこと。
いったい、どうしてか?と調べていくうちに、日本のテニス雑誌に行きついたそう。
「どうしたら、こんなボールが打てる?」など技術書のような雑誌を懸命に読みながら、土居はさまざまな技を身につけてきたということで、攻撃的なスタイルが完成。
そうはいっても、好不調の度合いが鮮明で、安定感にかけていた。
ザハルカコーチは「相手の弱点をつけ」「ショットの質をあげろ」と基本中の基本を繰り返し説くことで、勝つ術を植え付けていったそうです。
勝利を重ねることが、メンタル強化への早道ともなる。
試合を見守るザハルカコーチは、大声で「エナジー」などと叫ぶ。まさに、シンプル・イズ・ベストというわけでしょう。
ウインブルドン4回戦敗退。
この悔しさは、リオで晴らしてもらいましょう。
(原文)青木政司
7月5日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」