今年のFA権リストに公示されているのは、国内、海外を会わせて計88人。話題の多いオフとなりそうですが、最も注目されているのは、糸井でしょう。
「最初で最後。自分では後悔しないようにしたい」
と、しばらくは眠れない秋の夜長が続きそうなムードです。
所属するオリックスは高額な年棒を提示して残留を熱望しています。
今季、特筆すべきは、開幕前に宣言した、「35歳で50盗塁以上」をクリアしたこと。NPB史上最年長盗塁王というキャリアが新たに加わりました。
基本は強じんな肉体。父はトライアスロン選手、母はバレーボール選手。祖父が体育教師というアスリートの家系です。よくチームメートからは、
「化け物、といわれるけど、オレが化け物なら、おまえらは天才だと言い返す。だって、オレは、野球がヘタ。1年中、考えるのは野球のことだけだ。トレーニングもすべてが、野球のためにやっている」。
ショッピングをした後、大荷物でも、両手に持って上下運動をしながら歩くというのが糸井流です。
また、有名なのは、浜松・中田島(なかたじま)砂丘で行う自主トレ。糸井は「胃が口から飛び出るまで走り抜く」。ソフトバンク・柳田(やなぎた)が挑戦したものの、「糸井さんには、とてもついていけない」と白旗をあげています。
187センチ・88キロで、体脂肪が8%。サッカー界のスーパースター、レアル・マドリードのクリスティアーノ・ロナウドの肉体をみて衝撃を受けたそうです。2003年ドラフト自由枠で、近畿大学から日本ハムへ投手として入団。ただ、2シーズンはさっぱりで、06年に外野手転向を当時の高田繁ゼネラルマネジャー(現横浜DeNA)からすすめられました。
「初めての挫折。当時は、生きているのがイヤで、本当に死のうと思った」
と真顔で振り返っていますが、
「冗談だけどね」
と、すぐさま切り返す。
9月14日の日本ハム戦で、大谷が投じた164キロのストレートをライト前にはじき返すタイムリーを放ったのは、糸井の意地を見せつけたと言えるのではないでしょうか。
長く現役を続けたいとの希望で天然芝でのプレーを求めている。そんなところからも阪神へのFAが有力視されていますが、さて、どうなることでしょう。
11月1日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」