プロ野球日本シリーズは、日本ハムが10年ぶり3度目の日本一。
4戦連続の逆転勝ちはプロ野球史上初の快挙。栗山采配が随所で際立ったシリーズとなりました。
11.5ゲーム差を大逆転し、ペナントレースを制した際、栗山監督は『北の国から2016 伝説』と名付け、日本一を達成すると、『北の国から2016 完結』と締めくくり、非常に印象に残りました。日頃から、目指してきたのは、
「日本一の中間管理職になりたい」。
チームは監督が全権を握ると思われがちですが、日本ハムはメジャーリーグのように各役割がきっちりと分割されています。通常、日本では、監督がお気に入りのコーチなどを、自身が選択するものと決まっていますが、すべてはフロント主導。ドラフト指名選手なども球団が決定します。
毎試合前、必ず行う担当記者との雑談では、
「孤独な仕事だよ」
とため息をつくシーンもあったようです。
今季から4年ぶりに復帰した吉井投手コーチは、かつて斎藤佑樹の起用法で衝突。退団して、その後はソフトバンクで日本一連覇に貢献しています。しかし、契約が終了すると、すぐさまフロントが動いた。「ファイターズから熱心に誘われ、断る理由もない」(吉井コーチ)。かつてのわだかまりを捨て去り、上手に付き合う。そんなところにも栗山監督の人柄がうかがわれます。
最も重くのしかかったのは、大谷の起用法でしょう。開幕投手に指名したことからもおわかりのように、今季は二刀流から投手専念の腹積もりができあがっていたムード。コーチ会議で、それを発言すると、「言っていることと、やることが違う。両方をやる、ということで大谷は入団した。投手と打者を一緒に、は監督が言ったことだ」と責められた。そこで、すぐさま、「二刀流を極める」がテーマになったと言われます。
師と仰いだ三原脩さんがかつて永淵洋三選手で行った「1番・投手」を大谷で実現し、プロ野球史上に残る名シーンを作り上げました。
札幌ドームの監督室には、ホワイトボードがあります。今シーズンを通して、1度も消さなかったのは、山本五十六の名言。男の修行でした。
《苦しいこともあるだろう。 云い度いこともあるだろう。 不満なこともあるだろう。 腹の立つこともあるだろう。 泣き度いこともあるだろう。 これらをじっとこらえてゆくのが男の修行である。》
その言葉をつぶやきながら、ベンチへ向かったのです。
昨年オフ、栗山監督は1年契約を申し出た。そして瀬戸際に立っての、見事なまでの日本一。あの笑顔の裏には相当強い根性と神経を持っていることでしょう。
10月31日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」