西川のアッと驚くサヨナラ満塁弾。
「感動しました。打った瞬間(フェンスを)越えると思った。みんなの力が乗り移っていたような感じがしたので良かったです」
目に涙を浮かべながら、栗山監督が大興奮!
西川といえば、14年の盗塁王。
まず、ファンが思い浮かべるのは快速でしょう。
特筆ものは今季、併殺打がゼロ、14、15年も各1本です。レギュラークラスでこのようなバッターはなかなかいるものではありません。
ブレークのきっかけは背番号7。プロ6年目で、すでに3度目の変更を行っています。
入団時は出世番号のひとつ、島田誠の26番でしたが、15年から8番になりました。片岡篤史、金子誠などがつけていたもの。期待の高さがうかがえます。
とはいえ、7月20日の楽天戦でまだ2アウトにもかかわらず、捕球後の打球を観客席へ投げ入れるなど、プロらしからぬイージーミスが結構ありました。
一方で、打撃不振にも見舞われて、2軍落ちまで経験。その反省もあり、自ら「金子さんの番号は重過ぎた」と、わずか1シーズン限りで背番号の再変更を希望。16年から7番になったのです。
不振の要因は、一度にアベレージ、本塁打、盗塁の3兎を追ってしまったから。
「トリプル3をマークするようなバッターになりたい」
と、本人が強く望み、この意識が強すぎて力が入りすぎたようです。
苦しむ西川に栗山監督は、「ハルキの脚を生かしたい」とコメント。
作戦担当の白井コーチも、「ゲッツーがないバッターは、どこにもいない」とメッセージを送りました。
ただし、コーチの総意を本人へ伝えたのは、打撃担当の城石コーチでした。
「トリプル3はやめろ」
最大11.5ゲーム差を逆転したのは6月以降、長打を狙わず、安打製造機に徹した西川が大活躍したからです。
4割を超える出塁率で、プロ入り以来、最高打率、リーグ2位の3割1分4厘をマーク。見事に才能が開花しました。
2010年のドラフトでの1位指名は、あの斎藤佑樹。智弁和歌山の西川は2位でした。
「何が起きたのかわからないぐらい興奮していた。燃えるものがあったし、チャンスで自分を打席に送ってくれた監督に感謝しています」
勝利監督、ヒーローがともに涙を流した。久々に男の涙もいいものだと感じる第5戦でした。
10月28日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」