国内FA権行使「自分のため、家族のために決めた」日本ハム・陽岱鋼(ようだいかん)外野手(29歳) スポーツ人間模様

By -  公開:  更新:

時おり言葉を詰まらせ、目には涙が。7日、国内FA権行使を表明した陽は、苦汁の決断であることをにじませていました。

「1週間ぐらい悩んだ。自分のために、家族のために決めた。来年から自分の名前が戦力のメンバーになかった。」

と激白しています。

陽岱鋼

国内FA権を行使することを表明した日本ハムの陽岱鋼外野手=7日、札幌市の球団事務所 写真提供:共同通信社

当初、残留を熱望してきましたが、球団は巨人からトレードで大田を獲得。中田翔と競わせると言った監督の言葉によって覚悟を決めたと言っていいでしょう。

日本ハムは、日本球団では珍しいメジャーの編成システムを採用しています。選手などの補強は、あくまでフロントが主導。完全分業で監督は、グラウンドに専念します。札幌移転して13年。リーグ優勝5回、Aクラス10回。常に血の入れ替えを行ってきたこの分業システムが成功していると言えるでしょう。

陽は今季、130試合へ出場。打率2割9分3厘、本塁打14、61打点をマークしています。数字だけで判断すれば、文句なしに打線の軸。しかも、センターの守備は、栗山監督が「日本一」と折り紙をつけています。ただ、ここ数年は故障が多く、自慢の脚も今シーズンは5盗塁。シーズン終盤は下位打線で、ポストシーズンでも、いまひとつに終わっています。

母国の台湾では英雄的な存在で、日本ハム戦を中継するCS放送は、加入者が激増中。そうはいっても、実質は単身赴任で夫人は一人娘のために、もっと台湾に近い球団への移籍を熱望していたのです。理想はかつて高校時代を過ごしたソフトバンクだったものの、獲得にはそれほど熱心ではない。ということで、有力な移籍先は、オリックスと楽天。

特にオリックスは、FA宣言した糸井の穴を埋めなければなりません。早い段階から水面下で調査を行っており、今年の育成ドラフト1位で、日本経済大・張奕(ちょう・やく)外野手を指名。陽とはいとこ同士の間柄で、「指名された翌日、電話でしっかり頑張れと励まされた。一緒にプレーできたら最高です」と話している。

一方、楽天は戦力としては当然。以前から、陽を目標の選手としてあげているオコエの教育係にもなってほしい、という狙いもあります。

「もっとステップできる」と常日頃から口にしている陽だけに、今回のFAは心機一転の絶好機。09年12月、岱鋼と登録名を変更した際も、虎のようになる、との願いを込めたからです。陽 岱鋼外野手、まだ29歳。

radiko_time_1116

11月8日(火) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」

Page top