昔、大相撲の幕内に谷嵐という関取がいたのですが、その息子さんが横浜DeNA山口投手。187センチ、97キロ。今オフの去就が注目されています。
今シーズンは規定投球回には達しなかったものの、11勝5敗で防御率2.86。チーム大躍進の原動力になりました。シーズン中に国内FA権を取得ということから、にわかに周囲が騒がしくなりました。
10月30日、高田繁ゼネラルマネジャーが招集した、「全員集合」という全体ミーティングを山口は欠席。この日は来季の新体制発表で、しかも山口自身は選手会長という立場にもかかわらずです。これには同GMも「FAするんじゃないか」とちょっと呆れ顔でした。
山口はFA移籍の際、Bランク。仮に他球団へ移る場合は、獲得したチームが年俸60%か、もしくは年俸40%と人的補償を行います。年俸が推定8000万で、11勝。内、5完投、3完封という実績はお買い得で魅力的です。
大分県中津市出身。全国的にみても大分は野球熱がとても高く、ファンが多いのは昔から巨人。山口もかつては大のG党。巨人移籍の可能性が濃厚なムードです。しかし、巨人に移り、果たして同じパフォーマンスができるかといえば、ここが疑問視されている。
チームの先輩、村田も巨人へFA移籍しましたが、あの豪快崩落な村田ですらジャイアンツのプレッシャーから、かつての豪快なバッティングが影をひそめてしまいました。ましてや、山口は入団してからずっと、メンタルの弱さが指摘されています。
気は優しくて力持ちと言われる山口ですが、25歳53日という史上最速の通算100セーブを達成したものの、故障などの影響もあってどん底を味わいました。
転機は14年。4月2日の巨人戦で5点リードの8回1死満塁から、何と6失点で大炎上しています。その後も登板するたびに打ちこまれて、「山口」の名前が告げられると、ファンからはブーイングの嵐。人間不信に陥り、そのストレスで円形脱毛症ができたほどだったそうです。
そんな苦境から抜け出したのは、先発転向の配置転換。当時の中畑監督の大英断でした。
今季は、数字だけ見れば、まさにエース。ただし、ツキがないというのか、勝負弱さは相変わらず。ラミレス監督から年頭に開幕投手として指名を受けましたが、3月に右足首をねん挫。シーズン中も、地元横浜のオールスターでは先発が内定したものの、1週間前の練習中に左足を故障。極め付きは、9月10日の中日戦後での右肩痛発症で、クライマックスシリーズでの出番はありませんでした。
フロントはすでに3年契約を提示している模様ですが、山口の選択はどうか。巨人熱はまだ残っているのでしょうか、冷めているのでしょうか。
11月2日(水) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」