久々の川内。すっかり過去の人という趣でしたが、雑草魂は健在でした。昨日行われた福岡国際は来年8月、ロンドンで開催される世界選手権の選考会でした。
日本陸連の派遣設定タイムは、2時間7分以内。それには、及ばなかったものの、日本人トップの2時間9分11秒の3位は、かなり価値がある。
状況は最悪でした。11月12日、練習中に右足ふくらはぎを痛め、さらに、今月2日はこれまた、練習中、段差につまずき左足首をねんざを負いました。それでも、
「招待選手であるからには、どんなコンディションでも全力を尽くすのが選手の責任です」
と強い決意で挑んだ。
そんな頑張りが天へ通じたのか、スタート時は晴れていましたが、レース途中から雨が降り出した。まさに恵みの雨。痛めた左足首は、ポケットへ痛み止めの薬をしのばせていたほどで、だんだん、腫れてきた。そこへの初冬の雨は冷たく、アイシングの効果があったようです。
レース前の数日は気分が浮かなかったという川内。福岡へ訪れると必ず訪れるカレー屋さんがある。今回、その店に行くと、閉店していて、「もう、走らないほうがいいのかなぁ」と肩を落としたそうです。
日本男子マラソン黄金時代の瀬古利彦、宗兄弟などは100キロ距離走をするなど、そうとう過酷な練習をしていましたが、現在は、故障のリスクを抑えるため、科学的なトレーニングが持てはやされています。
駅伝ブームも手伝って、各実業団の指導者は気が遠くなるほど走ることを、選手に強要しません。
しかし、男子は14年、女子も11年間、日本記録の更新がなし。科学的トレーニングに傾斜するのは選手を育てないのではないかというような思惑もあり、川内は瀬古方式の長距離を走りぬく練習を取り入れました。そう聞いた瀬古は、「もっと早く気が付いて欲しかった」と苦笑い。
今はすごいニンジンがあります。日本記録を更新したランナーには1億円、指導者やチームにも5000万円を支給されるという大盤振る舞いを昨年3月に決定しました。これで燃えないマラソン界ではアフリカ勢を抜くことは難しいでしょう。
12月5日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」