大相撲九州場所は、14日目に昨年9月以来の優勝を決めた鶴竜が千秋楽も日馬富士に快勝しました。
今場所は白鴎、日馬富士の2横綱を倒しての14勝1敗ですから、過去2回の優勝とは価値が違います。
「止まった時間がまた動き出した」という表現をしましたが、さまざまな批判の中で土俵に上がり続けたこの2年間でした。
相撲界でもナンバーワンともいわれる腰痛持ちで、病名は腰椎椎間板症。名古屋場所では、それを理由に途中休場しています。
表向きは全治2週間でしたが、本当は全治2カ月という重症だったようです。
「いろいろな治療を試したけど、すべて効き目がない」と頭を抱えていた鶴竜、もし、そのまま腰痛が治らなければ引退に追い込まれていたことでしょう。
鶴竜にとって幸運だったのは、PRP療法に出会えたこと。
師匠の井筒親方に相談すると、親方は弟の錣山親方に相談しましたが、なかなか解決策が見つからない。
そこで錣山親方は今度は、自身の弟子で15年に現役を引退した、立田川親方(元小結・豊真将)へ話をすると、「PRP療法がいいのでは」となった。
自分の血液を抽出して、遠心分離機へかけ、白血球、赤血球、血清、血小板に分ける。
その中から、血小板だけを取りだして損傷した患部へ注入。組織の損傷修復を促すものです。
有名な例は、ヤンキース・田中が、右ヒジじん帯の部分断裂で同様の治療を行って復活。
かなり高額の治療法とはいえ、おかげで秋場所に間に合い、九州での優勝につながりました。
入門時は65キロ。3カ月で80キロ台にまで増量したものの、それからがひと苦労です。
何しろ、食べても太らない。周囲からは、「魚を食べろ。肉だけではダメだ」と言われた。
モンゴル時代はあまり魚を口にする習慣がなかったのですが、生魚を注文して恐る恐る口にすると涙が出てきたと言います。
そんなに大変だったのかと思いきや、
「涙が出るほどおいしかった」。
要は食わず嫌いだったわけです。
11月28日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」