大相撲納めの九州場所が13日、初日を迎えます。先日の番付発表で明らかになりましたが、あの豊ノ島が西幕下7枚目まで陥落しました。まさに地獄を味わっているところでしょう。
7月1日、名古屋場所を前に最重量力士、逸ノ城とのけいこで左アキレス腱断裂。2場所連続で全休して、12年8カ月ぶりに幕下に陥落しましたが、
「もう一度、復活する。幕内で優勝して歴史に名を残す」
と誓い、再起目指して動き出しています。
とはいえ、超えなくてはならないハードルは高い。相撲の世界は1枚違えば家来も同然。1段違えば虫けら同然と言い、一人前の力士の扱いは十両以上。幕下は力士ではなく、力士構成員。大銀杏を結うことはできません。普段のちょんまげのまま土俵へあがる。使用するまわしも、けいこ用の木綿性です。
部屋にいれば、いくら三役を張ったことのある豊ノ島でも、ちゃんこを食べるのも風呂に入るのも関取のあと。基本的に給料はなし。構成員ということで、場所毎に15万円が支給されるだけ。
幕の内で活躍した力士が幕下へ落ちるということになれば、親方株を手に入れて引退をするというのが通常の路線です。
そんな逆境からの再スタートから立ち直ったのは、9月場所で同じ、アキレス腱断裂から復帰して、十両で勝ち越した安美錦の頑張りがあるでしょう。
「すごいパワーになった」
と話していました。
10月22日、豊ノ島は13年ぶりに地元の高知で開催された巡業へ参加しました。
「奇跡的に歩くことができた。まさか、出られると思っていなかった」
地元では大声援を受け、
「本当に有難かった。行ってよかった」
と振り返っています。
豊ノ島が再起を目指すのは、自身のためだけではありません。悪性のリンパ腫で8月、現役引退を発表した元小結の時天空、間垣親方からのエールが再起を早めたのです。14年間の力士生活で最も思い出に残るのは、豊ノ島との同部屋対決、2003年初場所、三段目の優勝決定戦をあげています。
「ぼくの分まで相撲をとってほしい」
と激励。
日常会話も楽しい豊ノ島が関取、そして幕の内に戻ってくればまた、国技館へ声援を送りに行きたいと思います。頑張ってほしいです。
11月7日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」