日馬富士を破った関脇高安は横綱に張り手を一閃、いい相撲でした。
今は横綱が平気で張り手、かちあげなどを繰り出してくる時代。
「横綱へ敬意を払うのは、畳の上だけ。土俵では番付の上下はないと思う。張り手をまじえてもぐりこんでくる。それで応酬しました。少し、熱くなってしまったけど、相手の気持ちを崩しましたかね。」
と振り返っています。
今場所は2横綱2大関を下して9勝。
先場所は11勝をあげているだけに、二桁勝利をもぎとれば、来場所は大関獲りへ向かいます。
同部屋の兄弟子・稀勢の里の綱とりは事実上なくなっただけに
「手の届くところに来ていると思います。」
と言い切りました。
好調の要因は夏巡業23日間を皆勤だったこと。
ご存じのように巨体の力士は夏が大の苦手。でも、誰もが嫌がる季節に人一倍、けいこを積めば強くなるのも当然です。
今夏の高安はとにかく一生懸命。
「9キロも体重が増えました。177キロになっちゃいましたよ。各地でおいしいものをたくさん食べました。だから、巡業は大好きです、ちなみに、1位はきりたんぽ。2位が牛タンで、番外はジンギスカンかなぁ。」
でも、高安のエラいのは、巡業後、本場所までにきちんと調整をしてきたことで、172キロで今場所へ臨んでいます。
古参の親方も
「好調な力士は、けいこをたくさん積んでいる。巡業が大切だということを全力士がわかったと思う。」
高安だけではなく、全勝街道をひた走る豪栄道も夏巡業でクローズアップされた1人でした。
父が日本人、母はフィリピン人というハーフ。
アスリートは、ハーフの時代といわれていますが、相撲界も例外ではありません。豪快な取り口からは想像できませんが手先が器用で、お母さんのすすめで、3歳からピアノを習っていたことが、素晴らしい影響を与えたのでしょう。
今でも、ピアノは結構な腕前だとか。もっとも、照れくさいのか、人前ではなかなか弾くことはないそうですが…。
力士を目指したのは中学卒業後でした。
「身ひとつで稼ぐことが性にあう。」
お父さんのすすめで鳴門部屋へ入門、親方はおしん横綱と呼ばれた元横綱・隆の里。
学生相撲出身者よりも、中卒から叩き上げ力士を好み、出げいこ禁止など、独自の指導法で計7人の関取を育てました。
関脇といえば、上位の壁を感じるものですが、4回脱走の経験がある下積みの苦労が一気に才能を開花させた要因に違いありません。
しこ名の高安は両親の希望で本名です。
高安は26歳、ちょうど脂が乗り切ったところ、大関取りに向け楽しみです。
9月22日(木) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」