ミルコ、バルト、ヒーリング…「RIZIN」の「無差別級トーナメント」を制するのは?

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■榊原信行氏インタビュー 第3回(計3回)

年末、大晦日(12月29日、31日)に、さいたまスーパーアリーナにて開催される格闘技の祭典「Cygames presents RIZIN FIGHTING WORLD GRAND-PRIX 2016 無差別級トーナメント 2nd ROUND / Final ROUND」。

「allnightnippon.com」では、いよいよ今日からスタートするこの大会の実行委員長・榊原信行氏のインタビューをお届けしています。最終回の今日は、18歳の現役高校生キックボクサー・名須川天心のサプライズ参戦、ヒクソン・グレイシーの息子クロン・グレイシーと戦う川尻達也、「RIZIN」最強の男を決める「無差別級トーナメント」など、注目の戦いの数々をお聞きしました。

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編集部:今大会では、キック界の神童・那須川天心選手のサプライズ参戦も話題を呼んでいます。まだ18歳の現役高校生。若き新星・那須川選手への期待を聞かせてください。

榊原:那須川天心選手は、「RIZIN」にとって、未来に向けての種まきとか、将来性を買っての出場と思っている人もいますが、決してそんなわけじゃありません。我々としては、ほぼ完成したキックボクサーとして、プロとしての魅力でオファーしました。

編集部:“キックボクシング史上最高の天才”と言われる那須川選手が、このタイミングで総合格闘技に挑戦することに驚いた人も多いと思います。

榊原:那須川選手は、キックボクサーとしては17戦無敗、ムエタイチャンピオンにも勝った実績があるほどの実力者。そんな彼が総合格闘技に“いま”のタイミングで出てくれることに敬意を表したいですね。高田延彦本部長も言っていましたが、キックと総合格闘技の二刀流として、格闘技界の大谷翔平になってほしい。あの打撃を持ってして、総合で学べばUFC(世界最大の総合格闘技団体)に売って出るかもしれない。那須川選手はRIZINで戦いながら、UFCの世界王者になる一番近い位置にいるかもしれません。

■ヒクソン・グレイシーの息子、クロン・グレイシーを日本人が迎え撃つ!

編集部:逆に、そのUFCを離れて、「RIZIN」に緊急参戦が決定した川尻達也選手にも注目が集まっています。しかも相手は、ヒクソン・グレイシーの息子のクロン・グレイシー選手。試合順も大晦日のセミ・ファイナルに抜擢されて期待の高さがうかがえます。

榊原:川尻達也選手は、プロフェッショナルとして、技術もそうだし、フィジカルもメンタルも、いま一番ノリに乗っている選手。日本の総合格闘技で求められる要素って、勝てばいいだけでなく、勝った先に、観ている人たちに何を見せられるか? 何を届けられるか?…というエンターテイメント性を体現できることが必要。それが出来るのが川尻選手の強みなんです。試合結果だけを求められるのはアマチュア。彼は、結果を出すだけでなく、試合を通して、観客に何かを伝えることを理解している選手なんです。

編集部:対するクロン・グレイシー選手は、90年代から日本の総合格闘技の発展の源流でもある「グレイシー柔術」の継承者です。しかも、そのグレイシー一族でも一番強いと言われた、ヒクソン・グレイシーの息子。川尻選手も簡単に勝てる相手ではありません。

榊原:グレイシー幻想は、日本の総合格闘技と切っても切り離せません。多くの日本人選手がグレイシー一族と戦っては負け、あの桜庭和志選手がホイス・グレイシー選手に勝って一矢報いても「幻想」自体は、いまだ格闘技ファンの心に刻まれています。「RIZIN」で、ヒクソンの息子・新型グレイシーが誕生してきて、これまでのファン、そして新たなファンも含め、「グレイシー対日本人」というテーマは、いまでも分かりやすい構図として、ファンの方にも楽しんでいただけると思います。

■「無差別級トーナメント」のダークホースは元大関のバルト選手!

編集部:今回の「RIZIN」の一番の見どころと言っていい、「無差別級トーナメント」についてお聞きします。トーナメントの出場者8名の中で、ズバリ、注目すべき台風の目になりそうな選手を教えてください。

榊原:トーナメントに関しては、怪我などで出場選手が変更になったり紆余曲折がありましたが、最終的に出場の決まった、キング・モー選手とヒース・ヒーリング選手が出ることで、一戦、一戦、締まった試合になりそうです。皆さんに見ていただける戦いはどれも激しい試合になることは間違いありません。29日に行われるトーナメント4試合は、どれも実力が拮抗していますが、その中でも台風の目はバルト選手になるんじゃないかと予想しています。

編集部:元大関のバルト選手ですか!

榊原:バルト選手が、どのくらいの仕上がりで29日に高坂剛選手と試合をするか?…でトーナメントの行方が左右しそうですね。身長、体重ともに、バルト選手はどの選手よりも勝っているし、相撲では大関までいった実績もある。29日にキング・モー選手と対戦するミルコ・クロコップ選手は、昨年度優勝の実績のあるモー選手とお互い試合で削りあって、どちらかがワンサイドで勝つとは思えない。そうやって考えていくと、29日にミルコ選手とモー選手の試合は消耗戦になって勝者もダメージを負うことは避けられません。

もし29日にバルト選手が無傷で勝ち上がった場合、ミルコ選手対モー選手の勝者と次の試合で戦うので、そうなったらバルト選手が有利でしょうね。昨日(インタビュー前日)、我々の元に送られてきたバルト選手の最新の映像を見たら、そうとうなポテンシャルを持っています。トーナメントは8名とも実力者ばかりなので、誰が優勝してもおかしくはありませんが、あえて、「トーナメントで、誰が、台風の目やダークホースになりそうか?」と聞かれたら、バルト選手になってくると思います。

編集部:では、最後に「allnightnippon.com」をご覧の方へ、榊原実行委員長からメッセージをお願い致します。

榊原:「RIZIN」自体は、12月29日と31日、「無差別級トーナメント」をメインにして、全24試合を行いますが、これまで格闘技に触れたことや、見たことのない人にも楽しんでいただけるように、さいたまスーパーアリーナのコミュニティアリーナで「格闘技EXPO」という無料のイベントを開催します。

「格闘技EXPO」では、「格闘技とのふれあい」をテーマに、格闘技の選手に直接会えたり、アマチュア格闘技の大会をやったり、キッズレスリングや、選手・ラウンドガールとの撮影会などを行う予定になっています。お時間のある方は、ぜひ「格闘技EXPO」にも足を運んで下さい。そして、会場まで来られない方は、12月31日の大晦日、フジテレビ系列で「RIZIN」が夕方の18時から23時45分まで、5時間45分の中継があるので、そちらを是非ご覧になってください。ストレートに分かりやすい競技なので、これを機会に総合格闘技、そして「RIZIN」に興味を持ってもらえればうれしいですね。

編集部:ありがとうございました。

[RIZIN]公式サイト http://jp.rizinff.com/

【取材・文:allnightnippon.com編集部 石川キンテツ】

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