SMAPの大先輩にあたる4人組と言えば“フォーリーブス”【GO!GO!ドーナツ盤ハンター】

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昨今のアナログ盤ブームで、改めて注目されているのが歌謡曲のレコード(ドーナツ盤)。
デジタル音源より音に厚みがあり、またCDでは味わえないジャケットの大きさも魅力の一つ。
あえて「当時の盤で聴きたい」と中古盤店を巡りレコードを集めている平成世代も増えているようです。
そんなアナタのためにドーナツ盤ハンター・チャッピー加藤が「ぜひ手元に置きたい一枚」をアーティスト別・ジャンル別にご紹介していきます。

数多くのファンに惜しまれながら、去年の12月31日をもって解散したSMAP。
「スマロス」から脱けられない方も多いようですが、リーダー中居正広が『Some giri’SMAP』(ニッポン放送)最終回で語ったように「誰も悪くない」のです。
今後、それぞれの道を歩んでいく5人の人生は、彼ら自身のもの。
25年間楽しませてもらった私としては、ただただ「お疲れ様」という他ありません。

早くも再結成を望む声もありますが、仮に実現したとしても、それには長い時間が掛かると思います。
ただ、ジャニーズ事務所には前例があり、なんと解散から24年後に再結成を果たしたアイドルグループがいます。
SMAPの大先輩にあたる4人組・フォーリーブスです。

彼らは1978年8月に解散しましたが、2002年1月に復活ライヴを敢行。
詳しくは書きませんが、解散後いろいろあり過ぎただけに「まさか」のリユニオンで、中野サンプラザの初日公演に駆け付けたのは言うまでもありません。
(メンバーの一人・江木俊夫さんのラジオ番組構成を後に自分が担当することになるとは、その時は夢にも思いませんでしたが…)
何が言いたいかというと、長年一緒に頑張ってきた絆は、そう簡単に切れはしない、ということです。

SMAPファンにとっては何の慰めにもならないかもしれませんが、江木さんから、フォーリーブスに対する愛情、他のメンバー3人との強烈な仲間意識を聞かされた私としては、同じ思いがSMAPの5人(森且行も含めると6人)の中にも間違いなくあると思います。何年後になるかは分かりませんが、“その日”が来るのを、黙って待ちましょう。(長々とすみません)

ところでそのフォーリーブスも、爆発的ヒット曲こそありませんでしたが、先駆的な活動で、日本の歌謡史に大きな足跡を残したグループです。
今回は彼らの、ぜひ持っておきたいシングル盤をご紹介しましょう。

【ビギナー向け】・・・『地球はひとつ』(1971)

地球はひとつ

「ボクから逃げようたって駄目だョ!逃げれば逃げるほど、ボクに近付くってわけ。だって、地球はまるいんだもん!」
…江木俊夫のこんな語りで始まるヒット曲ですが、誰ですか、元祖ストーカーソングなんて言うのは?(笑)
ただ、アイドルソングであるにもかかわらず『All You Need Is Love』的な視点で世界平和と愛を歌ったのは画期的で、こういう発想はいかにもジャニーズです。(V6の『WAになっておどろう』にも通じるかも)
さらに驚くのは、この先鋭的な詞を書いたのが職業作詞家ではなく、メンバーの一人・北公次であることです。
この曲が出たとき、彼はまだ22歳。
デビュー曲『オリビアの調べ』(1968年・当時19歳)も北の作詞なのですが、それだけジャニー喜多川氏に才能を買われていた証拠で、地球は一つでみんなの都と言い切るセンス「天才」としか言いようがありません。
ちなみにステージでバク転を始めた先駆者も北公次です。5年前に逝ったのが惜しまれます。
江木さんに番組で、冒頭のセリフを生で言ってもらったときは感動しましたが、歌詞をよく見ると、1971年って世界はまだ「144国」だったのか…(現在は196ヵ国)という発見もあったりします。
作曲は、当時気鋭の都倉俊一が手掛けています。300〜500円ぐらいで手に入るかと。

なおこのレコード、ジャケットには「世界初の4チャンネル・シングルレコード」とありますが(スピーカーが4本必要)、メーカー間で再生機の規格統一ができなかったため、4チャンステレオは結局あまり普及せず消滅しました。
その意味でも実は貴重盤で、私は普通の2チャンネル機でしか聴いたことがないですが、ぜひ一度、4チャンネル再生機で鑑賞してみたいものです。

【上級者向け】・・・『君にこの歌を』(1969)

君にこの歌を

フォーリーブス6枚目のシングルです。
作詞は、ザ・ブロードサイド・フォーの『若者たち』を書いた劇作家の藤田敏雄が担当。
そんなにヒットした曲ではありませんが、彼らにとって、いや、ジャニーズ事務所にとってこの曲は非常に重要なナンバーなのです。(ちなみに先述の、私が担当していた江木さんの番組タイトルも『君にこの歌を』でした。)
もともとこの曲は、少年院を舞台にしたミュージカル『少年たち』の中で歌われた曲。
デビュー間もないフォーリーブスの主演で1969年に上演され、当時アングラ演劇の旗手だった天井桟敷のメンバーも関わっていました(その辺の人選もさすがジャニーズ)。
1976年まで上演されたこの作品ですが、2010年にA.B.C-Z、Kis-My-Ft2の主演で復活。
以降、定期的に公演されるようになり、ジャニーズの若手たちの登竜門的な作品となっていきました。
数年前、正月恒例のジャニーズ帝劇公演でも、久々にこの曲が歌われたそうですが、これぞ歴史の継承。
ステージを大切にするジャニーズにとって、いかに大切な一曲かお分かりになるでしょう。
今のジャニーズファンの方にも、ぜひアナログで聴いていただきたい名曲です。
出物が少なくあまり店頭で見掛けませんが、価格は800円前後かと。

【その他、押さえておきたい一枚】

『踊り子』(1976)

踊り子

後期を代表する佳曲。阿久悠ー井上忠夫(大輔)作品。
間奏が『今日を生きよう』なのはご愛嬌、酒瓶を前に呑んだくれてる4人のジャケットは貴重。

『ブルドッグ』(1977)

ブルドッグ

解散直前にリリースされた、彼らの代表曲の一つ。
首に掛けたゴムベルトを伸縮させるパフォーマンスでも話題に。
人気盤につき価格は1,000円前後。

【チャッピー加藤】1967年生まれ。構成作家。
幼少時に『ブルー・ライト・ヨコハマ』を聴いて以来、歌謡曲にどっぷりハマる。
ドーナツ盤をコツコツ買い集めているうちに、気付けば約5,000枚を収集。
ラジオ番組構成、コラム、DJ等を通じ、昭和歌謡の魅力を伝えるべく活動中。

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