御年69歳・現在進行形!6/25は沢田研二・ジュリーの誕生日!【GO!GO!ドーナツ盤ハンター】

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昨今のアナログ盤ブームで、改めて注目されているのが歌謡曲のレコード(ドーナツ盤)。
デジタル音源より音に厚みがあり、またCDでは味わえないジャケットの大きさも魅力の一つ。
あえて「当時の盤で聴きたい」と中古盤店を巡りレコードを集めている平成世代も増えているようです。
そんなアナタのためにドーナツ盤ハンター・チャッピー加藤が「ぜひ手元に置きたい一枚」をアーティスト別・ジャンル別にご紹介していきます。

6月25日は日本の歌謡史において、2つの記念日が重なった重要な日です。一つは、サザンオールスターズが『勝手にシンドバッド』でメジャーデビューした日(1978)。そしてもう一つが、忘れちゃいけない、沢田研二の誕生日(1948)です。6月は一年で唯一国民の祝日がない月ですが、「ジュリー誕生日」も祝日に制定すべきじゃないでしょうか。
今年69歳になるジュリーは、7月からデビュー50周年ツアーで全国を廻っていきますが、ザ・タイガースのリードヴォーカルとしてデビューして以来半世紀、常にバンドを従え、毎年欠かさずツアーを行っているシンガーは世界広しといえどもジュリーだけでしょう。今年はタイガース50周年、4年ぶりにメンバー再結集があるかも…と思いきや、ソロでのツアーとなりましたが、来年は古稀も重なるので、どうやらそこで何かありそうな予感がします。
といっても懐古趣味ではなく、いつも現在進行形で、トンがった新曲をライヴで披露し続けているジュリーですが、きょうは「バンドヴォーカル・沢田研二」という観点から、ぜひアナログで聴いて欲しいナンバーを3曲ご紹介していきましょう。

【その①】・・・『恋は邪魔もの』(演奏:井上堯之バンド/1974)

恋は邪魔もの

ジュリーのソロ初期を支えたのが、ご存じ「井上堯之バンド」です。タイガース・テンプターズ・スパイダースのメンバー6人で結成したスーパーバンド・PYG(ピッグ)が、萩原健一の俳優転向による離脱で、なし崩し的に「ジュリー+堯之バンド」になっていったわけですが、70年代のジュリーはまさにこのバンドと共にありました。スゴ腕のベーシストは岸部修三、現在の一徳さんです。
作曲は、ワイルドワンズのリーダー・加瀬邦彦。イントロから疾走感溢れるサウンドにジュリーも乗っかって、バンドとの一体感は最高!「本籍=ロック」をしっかり主張した名曲です。
ジュリーはこのシングルが出た74年、福島県郡山市で行われた『ワンステップフェスティバル』にも堯之バンドを従え参戦。30組以上のバンドが登場し、オノ・ヨーコも参加した伝説のフェスで本曲を歌い、気持ちよくロケンロールしています。映像が残っていますので、機会があればぜひご覧になるとよろしいかと。
本作はジャケットも秀逸で、ゴーグルを付け、胸をはだけたジュリーのグラムなセンスが目を引きますが、周囲にバンドメンバーの写真がコラージュされているところにも注目。「俺はこのバンドのヴォーカリストなんだ」というジュリーの主張がそこにはあるのです。300円前後で入手可能。

【その②】・・・『恋のバッド・チューニング』(演奏:オールウェイズ/1980)

恋のバッド・チューニング

初期ジュリーを支えた堯之バンドでしたが、エンターテイメント性も重視する沢田と、あくまでロック志向の井上の間にだんだんと溝が生じ、80年代『TOKIO』の電飾パラシュート衣裳を見て「もう付いていけない」と、井上はジュリーと袂を分かつことを決意。代わってバックを務めることになったのが、ベーシスト・吉田建率いるオールウェイズです。後に『イカ天』の辛口審査員として有名になった吉田ですが、沢田の信頼も厚く、80年代のトンがったジュリーを、幅の広い音楽性で支えました。
『TOKIO』に続き、作詞は糸井重里が担当。作曲はこれも加瀬邦彦ですが、ストレートなロックがたまらんです。こういうロックは、チューニングがちょっとズレてる方がイイんですが、演奏の最後にチューニング音をSEで入れる遊び心もGOOD。
TVでこの曲を演奏する際は、カラコンを付けたジュリーが目の色をコロコロと変えていましたが、キーイング処理というものを知らなかった中坊の私は衝撃を受け「アレって一体どうなってんだ?!」と、友人たちとさんざん議論したものです。200円前後で入手可能。

【その③】・・・『晴れのちBLUE BOY』(演奏:エキゾティクス/1983)

晴れのちBLUE BOY

ジュリーの新たなパートナーとなったオールウェイズは、81年に一旦解散。82年に新メンバーのオーディションを行います。
残留したメンバーは、リーダーの吉田建、後にアレンジャーとして名を馳せるキーボードの西平彰、ジュリーとは長い付き合いになる名ギタリスト・柴山和彦。これに元シュガー・ベイブのドラマー、ユカリこと上原裕と、二人目のギタリストとして安田尚哉が加わり、最強の編成になりました。
ジュリーもこのバンドをことのほか気に入っていたようで、バンドサウンドの追求をより意識するようになっていきます。あくまで「俺はこのバンドのヴォーカリスト」というスタンスで、それはソロデビュー以来、現在まで続く一貫した姿勢。このジャケットではそれが顕著で、沢田とメンバーが均等のサイズで写り、アーティスト表記も「沢田研二」ではなく、「JULIE & EXOTICS」になっています。
本曲は、当時最先端のジャングルビートをいち早く採り入れた意欲作で、「言いたいことはヤシの実の中」という銀色夏生のフレーズはいまだに意味が分かりませんが、こんなにやりたい放題の曲を、紅白歌合戦で堂々と演りきったジュリーとエキゾティクスは本当にカッコ良かった。ちなみに作曲は大沢誉志幸。500円前後で入手可能です。

ジュリーに関してはとても1回じゃ語り切れないので、また別なククリで名曲をご紹介していく予定です。お楽しみに!

【チャッピー加藤】1967年生まれ。構成作家。
幼少時に『ブルー・ライト・ヨコハマ』を聴いて以来、歌謡曲にどっぷりハマる。
ドーナツ盤をコツコツ買い集めているうちに、気付けば約5,000枚を収集。
ラジオ番組構成、コラム、DJ等を通じ、昭和歌謡の魅力を伝えるべく活動中。

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