108と質問をされ、まず浮かぶのが、人間の煩悩の数。ただ、きのうの全国高校野球選手権西東京大会決勝で、誰もが待ち望んでいたのは、記録を更新する高校通算108号本塁打でした。しかし、対戦した東海大菅生は傾向と対策を徹底研究。3打数1安打1四球に加え、守備でもまずいシーンが出た。甲子園出場はならず、清宮の夏は終わりました。
とはいえ、新記録更新のチャンスはまだ残されています。9月1日、カナダで開幕するU-18で最終メンバーへ入ればその可能性もある。もちろん代表候補へ名を連ねています。
今回のチーム、和泉監督は
「清宮以外は全員、投げることになるかもしれない」
と編成しました。軸になる投手が不在で、2年生エースの雪宮も捕手からコンバートされています。打ち勝つしかなく、仮に清宮が抑え込まれたらお手上げの状況でした。
昨年夏、準々決勝で敗退した後、キャプテンとなってチームをまとめあげた統率力も光ります。ただ、ホームランを量産するだけのすごいバッターではなかった。
「みんな、自分についてきてくれた。準優勝という結果でしたけど、日本一のチーム」
と胸を張っています。
偏差値70強が集結したエリート集団。当然ながら野球だけを頑張れば、という特別扱いはありません。文武両道を実践。西東京大会がスタートする1週前にも期末試験があったそうです。そうした不満を漏らさず、必死に甲子園へのラストチャンスに賭ける。
「終わってしまった。悔しいです。打撃でカバーできなかった。何が足りなかったのか…。しっかり考えます」
と話しています。
それだけに、注目されるのは卒業後の進路でしょう。1983年以来、早実から即プロ入りする選手は出ていません。というわけで、清宮は早大進学は既定路線のように思われている。その進路問題。これまでは要請がありNGでしたが、昨日の試合後から解かれました。ところが清宮は、
「この先、どうしようか考えていない。どこに行くにしても、さらにレベルは高くなる。まだまだ人生は長いし、最後に良かったなと言えるような、今日の負けにしたい」
明言は避けました。が、中学時代から元ラグビー選手で現在、トップリーグヤマハ発動機の清宮克幸監督の長男としてスポットを浴びながら、プレッシャーに負けることなく期待以上の成長を披露。スター性も加わり、今夏は一大フィーバーを展開しています。そして、昨日の決勝も初めて前売り券が発売されるなど、史上空前の騒動となりました。
仮にプロ入りを表明すれば、それこそ12球団が色めき立つのは間違いなし。中日・白井文吾オーナーが、「あの人は、お客さんを持っている」と早くも獲得指令を出したように、これほどのスター候補は見当たらない。どうせプロになるのなら遠回りをしないことがターニングポイント。日本ハムの大谷と斎藤佑樹。それぞれの例をあげるまでもないでしょう。
7月31日(月) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」