いよいよ今夜8時に開幕する、平昌オリンピック。開幕に先立ってすでに始まっている競技もいくつかありますが、早くも今日、日本の金メダル候補の1人が登場します。
フリースタイルスキー男子モーグルに現れたニューヒーロー、堀島行真選手・20歳です。
堀島選手は、現在、中京大学に通う大学生。脚光を浴びるきっかけとなったのは、去年3月の世界選手権です。初出場ながらモーグルで日本男子史上初となる優勝を飾りました。しかも、ワールドカップで歴代最多勝利を誇る絶対王者、カナダのミカエル・キングズベリー選手を破って掴んだものでした。
さらに、先月20日、カナダで行われたワールドカップでも、今シーズン開幕6連勝と絶好調だったキングズベリーを破って優勝。平昌オリンピック前、最後の実戦で勝利したことで、堀島選手が金メダルの有力候に名乗りを上げました。
堀島選手は、1997年、岐阜県生まれ。池田町という雪の降らない町に育ちましたが、両親に連れられて、1歳の頃から週末になると県外のスキー場へ通い、基本の技術を習得したそうです。
本格的にモーグルに取り組むようになったのは小学4年から。その頃から既にオリンピックを意識していて、小学校の卒業新聞には「オリンピックでメダルを取る」と綴っていました。
そもそも堀島選手が数あるスキーの種目の中で、アルペンスキーでもクロスカントリーでも、ジャンプでもなく、モーグルを選んだのか。そのきっかけは、スキー大会の賞品としてもらった1枚のチケット、ウォータージャンプ場の1カ月券無料券にありました。
このウォータージャンプというのは、水着姿でスキーの板を履き、人工芝のジャンプ台を飛んでプールに飛び込むというもの。モーグル選手も、夏場のオフシーズンに練習によく訪れますが、堀島選手は、岐阜県の自宅から三重県のこの施設まで片道50キロほどの距離を自転車で通うほど夢中になったといいます。
そもそもモーグルとは、「雪のこぶ」という意味です。全長250メートルでコブのあるコースを滑走し、ターン、エア、タイムの3要素で採点し得点を競います。
そのうち堀島選手が最も自信を持つのが、エア。今では、世界最高難度のエア、身体を斜めにして3回転する「コーク1080(テンエイティー)」を飛び、「エアの申し子」と呼ばれていますが、華麗に雪の上を舞う大技は、水の上をひたすら飛び続けて習得したものだったのです。
これまで、オリンピックのモーグルで、日本勢のメダリストは里谷多英さんだけ。98年長野オリンピックで金、2002年ソルトレークシティー大会で銅と2つのメダルを獲得しました。堀島行真選手がメダルを獲得すれば、日本人男子初の快挙です。予選は今日、決勝は12日。
小学校の卒業新聞に書いた「オリンピックでメダルを取る」という夢を叶えるため、堀島選手が、決戦の地、平昌のスタートラインに立ちます。
2月9日(金) 高嶋ひでたけのあさラジ!「スポーツ人間模様」