日本列島“冬フェス”花盛り 成功する冬フェスの法則とは?!

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夏には、たくさんのアーティストが共演する音楽フェスや花火大会など、いわゆる「夏フェス」がにぎわいます。冬はどうなのか? 寒いし、人を呼ぶようなフェスティバルはあまりないんじゃいないか?と思っていたら、大間違い。関東にいますとあまり実感としてないのですが、ここ10年あまり、日本各地でさまざまな『冬フェス』が成長して、新しい名物となっているのです。

人を呼ぶ「冬フェス」にはどういう種類があるのか? なぜ成功することができたのか? そこを今回は解剖していこうと思います。

まずは、長崎に大成功を収めている冬フェスがあります。長崎の冬の一大風物詩「長崎ランタンフェスティバル」と言いますが、ご存知でしょうか。中華街がありますので、中国の旧正月を祝う行事「春節祭」に行う、中国の提灯=ランタンを飾るスタイルが長崎独自に発展したものなんです。毎年春節と合わせた日程になっていて、今年は今週16日(金)から3月4日(日)までの開催。なんと、毎年100万人もの人を集める大イベントに成長しました。

公園や商店街、眼鏡橋など市内各地で、15,000個に及ぶ、派手な赤や黄色、オレンジ、緑といった極彩色のランタンや、10mを超える「ねぶた」のような大型オブジェが、幻想的に街を彩ります。冬の夜に、街の中が明かりいっぱいで満たされて、それは幻想的。

実は100万人もの人を呼ぶ「ランタンフェスティバル」は、歴史的なものではありません。スタートは1994年。その2年前に開業したハウステンボスの影響で、県内の観光客はハウステンボス一人勝ち。長崎市に宿泊する観光客が激減してしまったのです。そこで目を付けたのが、中華街の春節のランタン。とはいっても当時はビニールランタン300個程飾っただけの、正直しょぼいもの。あとは獅子舞と、ちゃんぽんの早食い競争、チャイナ服女性との写真サービスといった素朴なものでした。

これを市と商工会議所が主導して、長崎独自のランタンフェスにしようと動き出したものの、近隣の商店街は「なんで中華街の祭りに同調しなくちゃいけないんだ」と抵抗したところもあったそうです。主催者側は「泊まってもらうためには、夜の演出が必須なのだ」と説得。長崎には三百数十年続く「長崎くんち」という素晴らしい祭りがあるのをお手本に、「やるからにはそれをお手本に末永く続く祭りにしよう」と、100年経って一人前、という気持ちにまとまったのです。

ネーミングにも工夫があったのがよかった。「春節祭」は神戸、横浜の中華街でも行っていたのでそれと差別化したい。さらに、ランタンの祭りはシンガポール、香港、台湾でも行われていたので、これを先輩として、国内では長崎で本格的に行いたい、ということで「長崎ランタンフェスティバル」としたのです。

それから20年以上たち、ランタンのデザインや色は長崎らしさが発展して、中国系の留学生や中国人観光客が自分達の国より美しいと驚いているそうです。

つなん雪まつり SNOWWAVE スカイランタン 雪まつり 津南

SNOWWAVEとスカイランタンの感動と幻想の雪まつり(つなん雪まつりHPより)

この「ランタン」を使って人を呼ぶ、という冬フェスで成功しているところは他にもあります。2012年から、豪雪の中ランタンが夜空を照らす、新潟の「つなん雪まつり」です。数メートルもの雪が積もる世界有数の豪雪地帯、新潟の津南町(つなんまち)。2011年の東日本大震災の際には、震度5強の地震が発生し、この地も被害に見舞われました。そこで、なんとか地元や日本中を元気にできないかと始まったのが、「スカイランタン」。

「スカイランタン」とは、1メートル近くの大きな紙のランタンに火をともして、風船のごとく夜空に飛ばすもので、灯篭流しの夜空版という感じ。今年行われるのは3月9日が前夜祭、3月10日が本祭。都会ではできませんが、スキー場のゲレンデで、一斉に2,000個のランタンを飛ばすのはとても幻想的。見るだけでしたら無料なのですが、飛ばしたい人のランタンの予約は、駐車場代金と合わせて5,000円から10,000円ほどしますが、2,000の枠が全部埋まっています。

こちらも、雪の夜空でランタンを打ち上げるということで、宿泊が必須になります。一晩で、町民より多い1万人が参加するということで、人を呼べる冬フェスとして、町は大喜びしているそうです。さらに商魂たくましいのは、旅行会社と個別の契約で、祭りとは別の日に「ランタンの打ち上げ」を設定していることです。

町の祭り自体は、3月10日なんですが、それ以外の日に、JTBや阪急交通社、クラブツーリズムなどが、自社のツアー客限定貸し切りで「ランタンの打ち上げ」を企画。つまり、ランタンを打ち上げるためにツアー客がやってくるという仕組みになっていて、これが町と旅行会社両方に恩恵をもたらしている、という成功例となっています。

というように、「冬フェス」を企画する側にとって、成功するには澄んだ夜空を利用することで宿泊を促す、という鉄則があります。その点で言えば、「冬花火」も大きなツールとなっています。

熱海 海上 花火大会

熱海海上花火大会|イベント|あたみニュース - 熱海市観光協会 公式観光サイトより

一番の成功例は、熱海の冬花火。夏は戦後昭和27年から始まっていますが、冬に打ち上げる花火もすでに歴史は30年あまり。すっかり熱海の冬の行事として定着して、ゆうべも行われました。

冬花火の特徴は、花火師もおススメするほど、澄んだ夜空に花火がくっきりと美しいこと。見ている側も上げる側も寒いので、あまり長い時間は上げられません。その代わりに、冬の間何度も上げる、という方法で客を呼ぶところがいくつもあります。12月毎週土曜日に行われている「お台場レインボー花火」。毎回2,000発近く打ち上がる花火とレインボーブリッジとの共演は定着しつつあります。

熱海同様、東海地方で定着しているのが、日本三大温泉の一つ、岐阜の下呂温泉で、毎週土曜日夜に打ち上げられる「冬の下呂温泉花火物語」毎週テーマが違っていて、「成人花火」とか「バレンタイン花火」「冬の星座」「合格祈願」「卒業・旅立ち」などと工夫を凝らしています。本数は少なくても、内容が違う。

ほかにも、河口湖や函館、木更津でも冬花火が行われるほど、冬花火も広がりも見せていることにより・・・花火師さんが冬にも大忙しとなっています。通常花火師さんは、野球選手同様シーズンオフの冬に新婚旅行に行くパターンが多いそうなんですが、冬にも花火が増えたことで、それもままならない状況が増えてきているようです。

ランタン、花火と冬フェスを見てきましたが、最後に、様々なイベントを展開することで成功したところを。少し前に、ジャーナリストの富坂聡さんが「青森に中国人が押し寄せている」とリポートしていましたが、彼らが集まっているのが、2月におよそ1か月にわたって開催されている「十和田湖冬物語」という冬フェスです。

十和田湖冬物語 2018 十和田湖国立公園協会

十和田湖冬物語2018 開催 - 十和田湖国立公園協会HPより

なんといっても、アクセスが悪い。最寄りの駅から、バスなど車で2時間以上という十和田湖にありながら、20万人もの人を集めています。その理由は・・・イルミネーション、乙女の像のライトアップ、イルミネーション、郷土料理が楽しめる屋台村、津軽三味線ライブ、自衛隊が作る雪像、自然の中のかんじきツアー、さらに海の上で楽しむバナナボートを持ってきた「雪のバナナボート」、そして最後は冬花火。見て、食べて、汗を流して、花火で涙も流す、という何でもありの総合的なイベントで、1999年の初開催以来、人を呼び続けてきました。で、外国人にも知られるようになったというわけです。

失礼ながら、札幌雪まつりは雪像メインですが、青森にはアクティビティはあるし、花火はあるし、屋台もある、というのが人気になった理由です。しかも泊りがけでないと行けないので、必ずお金が落ちる。「辺鄙な場所でも工夫次第で人を呼べる」といういい例になり、視察も絶えないそうです。

冬でなかなか観光客が見込めなかった場所も、「冬フェス」へと舵を切ったことでにぎわう場所が日本各地に出来てきている例を紹介しました。

2月13日(火)高嶋ひでたけのあさラジ!「三菱電機プレゼンツ・ひでたけのやじうま好奇心」より

高嶋ひでたけのあさラジ!
FM93AM1242ニッポン放送 月~金 6:00~8:00


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