国会会期延長を必要とする3つの理由

By - NEWS ONLINE 編集部　公開：2018-05-31 　更新：2021-01-29

5/31　FM93 AM1242ニッポン放送『飯田浩司のOK! Cozy up!』今日の聴きどころ！②

国会会期延長～IR法案成立はかる
7：10～お早う! ニュースネットワークその1：コメンテーター鈴木哲夫（ジャーナリスト）

①IR法案成立～東京オリンピックに合わせてカジノを整備

自民・公明両党は来月20日までの今国会の会期を延長する方針を固めた。働き方改革関連法案の成立を確実にし、IR（カジノを含む統合型リゾート）の実施法案を成立させるために、やむを得ないとの判断。

飯田）参院の定数是正などの話も出てきています。この会期延長。「延長はないのでは」とGW明けくらいにはありましたが。

鈴木）延長すると、ずっと問題になってきているモリカケも含め、与党に政府野党の追求が続くわけです。だから、これは早く閉じた方がいいという政権側である政府与党の考え方としてはあるわけです。だけど、それを延長してでも成立させたい、もしくはさせなければならない背景みたいなものがあると受け取っていいと思います。
まず、IRに関してです。細部にいろいろ法律を作る必要はありますが、これは基本的に通る方向でずっと来ています。「実際にカジノをいつ作るか」の目標から、逆算している。本当は「2020年オリンピックに合わせて、カジノを整備できれば」という考えが、政府側にはあるわけです。そこからすると、もう間に合わないとも言われていますが、この国会で通しておかないと、ということだと思います。

②働き方改革～安倍総理の今国会最大の目玉法案

鈴木）働き方改革については、昨日もまた、「議論のベースで使っているデータがでたらめだ！」という話が出てきて。「そのデータは法案そのものの本筋とは関係ない」とは言っていますが、ハッキリ言って議論の信頼性がもう崩れているわけです。これはキッチリやり直した方がいいと思います。しかも働き方改革は、僕ら一般国民にものすごく影響してくるのです。でも、何とか通したい。これは、1つは安倍さんが「この国会の最大の目玉はこれだ！」と言い切ってきましたよね。

飯田）所信表明演説でも、「働き方改革国会」と言っていましたしね。

鈴木）そういう意味では、それができないということになると、「あれは何だったの」となる。それからやはり、財界などはこれを希望しているところがある。
一方で、中小企業は「まだ待ってくれ」と。去年の税制改正で、事業を承継譲渡するときに税制で優遇するとか、いろいろパッケージではあるけど、働き方については、中小企業のところでまだまだ議論すべきことがある。だけど、財界や、ある意味で安倍さんの要請がある。いつものパターンだけど、「言っちゃった！　やらなきゃ！」と逆にブーメランのようになってしまった、ということもあり延長する。

③安倍総理3選のための解散の可能性を探る

鈴木）ただ、1つ政局的な見方をすると、解散の話が一時期出ています。いまはすっかり消えてしまって、可能性は低いという人が永田町でも多いのですが、私は安倍さんの最大政治的テーマは、今年9月の総裁選での3選だと思うのです。それがなければ、憲法改正もできないし、政治生命も年齢的に終わってしまうかもしれない。絶対に3選しなければダメなのです。今後、支持率低下とか、党内で政局が動いてポスト安倍みたいな話になってくるとか、3選できなくなるとか、いろいろな可能性が出てくるわけです。3選のために解散しか方法がないと思ったら、やる可能性はあると思います。会期延長をしていると、会期末に野党が不信任案を出してくる可能性がある。すると、そこで解散する大儀が成立する。つまり、会期が延びていると、解散も含め様子見の時間が延びるというわけです。もう少し政局の様子を見ることができる。

飯田）いつ解散してもいいチャンスが生まれる？

鈴木）広がるのです。そういう側面もイメージしています。

飯田）確かに、よく解散は「伝家の宝刀」と言われますが、結局解散せずとも、チラつかせるだけで与野党を十分にビビらせる効果がありますよね。

鈴木）まず、野党はとにかく1つにならなければいけませんが、まだできていない。この辺で解散にあったら、どうなってしまうか。むしろ逆に、それが接着剤となり、「1つでやらざるを得ない！」となる可能性を指摘する人もいます。その意味では、非常に解散というのがチラつくと、心理的に追い込まれるというところもある。与党がそうですからね。ポスト安倍とかいろいろな動きがありますが、解散になったら自民党のために戦うでしょう？　選挙をやって、もし勝ったら安倍さんの信任となる。これは矛盾になってくる。すると、党内の動きも沈静化する。解散という言葉そのものが非常に効果がありますが、実際に安倍さんが3選のためにそれしかないのであれば、それは可能性としてゼロではない。これは会期末で解散しないときまで、持ち続けるイメージがあります。