自民総裁選~「参議院竹下派が石破氏支持」の本当の理由

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ニッポン放送「飯田浩司のOK! Cozy up!」(8月9日放送)にジャーナリストの鈴木哲夫が出演。自民党総裁選をめぐる竹下派の動向を解説した。

自民総裁選~竹下派は事実上の自主投票、参議院は石破氏支持

自民党第3派閥竹下派は、昨日東京都内で幹部会合を開き、9月の党総裁選での支持候補1本化を見送ることを決めた。事実上の自主投票となる。竹下派は衆院議員の多くは、安倍総理を、参院議員はほぼ一致して石破茂元幹事長をそれぞれ支持する方向となっている。

飯田)竹下派55人が割れる、ということになります。メールもいただいております、横浜市磯子区の横浜のダボハゼさん、64歳会社員の方です。「竹下派の総裁選は自主投票。結束が弱くなりましたね。総理につく人は、冷や飯を食べたくないから総理側につくのでしょうか?」という質問です。竹下派は割れましたね。

鈴木)ずっとこの政治を見ていらっしゃる方は「かつては鉄の結束だったのが、今回は割れてしまった」という印象をお持ちの方が多いと思いますが、基本的に竹下派でいまも影響力を持っているのは、かつて「参議院のドン」と呼ばれた青木幹雄さんですね。つまり、こう考えたらいいと思います。「竹下派の再建」です。もう1度派閥として力を持ち、復権するプロセスにあると思ったらいい。第1段階は、会長を額賀さんから変えたこと。つまり、「いろいろなことがやれる人だから」ということで、竹下さんに変えました。

竹下派閥内で支持が割れるのは織り込み済みのこと

鈴木)次に、この総裁選です。総裁選ではとにかく竹下派の存在感を示さなければいけない。そしてゆくゆくは、竹下派で総裁候補をしっかり持ち、そして挑む。この総裁候補には、いまは小渕優子さんではないか、と見られています。この段階にある。総裁選は第2段階くらいですね。ここで1度存在感を示そう、ということです。逆に言うと、ここまで来て、もし結束して「安倍さん支持!」となったら、これは麻生派や二階派、岸田派とみんな流れているなかで、「竹下派、お前もか」ということで、逆に存在感がなくなって、竹下派は埋没しますよね。

飯田)表明した段階で、埋没してしまう?

鈴木)逆に「石破さんを支持する」となったら、インパクトが大きく、驚かれます。
それから、割れてしまった話ですが、青木さんは今年の年明けから親しい人に、「総裁選は現閣僚の茂木さんとか、加藤勝信さん。それから、山口泰明さんとか。こういう人たちは、みんな安倍さんの方へ行く。仕方がないことで、それはそれでいい。だけど、派閥として誰を支持するか、存在感を考えた場合、それはそれでやればいい」と、実は言っていたのです。だから、割れるのは織り込み済みなのです。

飯田)そこも含めて、覚悟のうえであると?

鈴木)そうです。それで存在感をとにかく示す、ということでしょう。だから、結束についても。もちろん結束していない、というのは「あれ?」と思うけれど、ちゃんと青木さんのシナリオ内では、「これはこれでいい。とにかく今回のポイントは、参議院がまとまって、いわゆる石破支持の、そのインパクトである」ということです。

竹下派と安倍総理の力関係が変わらないことも織り込み済み

飯田)石破支持に関して言うと、報道されているところだと、青木さんの息子さんが合区にいて、この間の選挙で、鳥取・島根の合区で、島根側に青木さんがいました。鳥取側は、石破さんに応援してもらいました。その貸しがあるのではないか、みたいなことを言う人がいますね。

鈴木)いくつかの理由の1つなのは間違いないです。しかし、いちばん大きいのは、青木さんのいちばんの思いは、やはり「竹下派の復権」です。竹下さんも、それは絶対に分かっています。そういう意味では、「割れた」というのは、実は早くから仕組まれていた、存在感を示すための1つの段階的なことだと見た方がいいと思います。
それから、もう1つのポイント。竹下派は参議院が強いわけです。今回、石破さんを支持したことで、例えば「報復人事で干されてしまうのではないか」と言う人がいます。ですが、実は、「隠れ竹下派参議院議員」というのもいます。やはり竹下派は参議院で力を持っているわけで、総裁選が終わっても、安倍さんは法案とか、全部衆議院から参議院まで通すわけですから、今回石破さんを推したとしても、竹下派の参議院というのは一目おかなければいけない。この力関係というのは変わらないと思います。つまり、「変わらない」ということも全部青木さんは織り込み済みで動いていると思います。取材に基づくものですが、そういう風に見ていいと思います。

青木幹雄氏を来年の参院選に勝たせる都合上、安倍総理は竹下派を干せない

飯田)それは、来年参議院選挙がありますが、それも見越しているのですか?

鈴木)青木さんからすると、来年の参議院選挙がすべてですから。安倍さんも、干すわけにはいかないでしょう。参議院選挙に勝たせなければいけないのだから。そういう力のバランスはこれからも続く、ということです。
それよりも、とにかく存在感を高めるために。竹下派のインパクトは、たしかにこれで高まりましたよね。

飯田)ずっと最近まで報道されていましたからね。
竹下会長は、実は総務会長でもあって、執行部にいますよね。この辺については、「この地位は差し出しても仕方がない」と思っていらっしゃるのでしょうか?

鈴木)いや、何もこだわるもの、捨てるものはないです。それくらいの覚悟で竹下派をもう1度立て直す、という思いは竹下さんも持っています。だから、そういう意味ではこの辺は織り込み済みで、「政治がうごめきだしたな」というのが、今回の感想ですね。

飯田)昔みたいにスパッと2つに割れて、主流と反主流みたいな、その中心くらいのポジションを、竹下派は占め続けるということですか?

鈴木)そうです。そして、次ですよ。総裁候補を抱えてどう動くかです。ここに、流れがあると思います。

飯田)向こう3年に関しては、「小渕さんをどう盛り立てていくか」ということですか?

鈴木)そうです。徐々に、いま表に出始めているでしょう? まだ世間でいろいろあるけれど、そこが僕は狙いだと思います。総裁選はとにかく誰が勝つか負けるかではなく、しっかりした政策論争をして欲しいですね。

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